本日もICAAC/ICC 2015 Keynote講演です。
演者はテキサス大学のBarbara Murray先生
腸球菌の耐性
・1983年、編集長が初期研修を終える頃までには全てのAMGLに耐性(ペニシリン系との併用効果無し)の報告が揃いました。
・そこで登場するのがABPC+CTRX(ダブルβラクタム)という組み合わせ。詳細は後ほど
・基本的に腸球菌に対してPCNは殺菌的ではない。
・更に問題なのは「なぜ抗菌薬で菌が死ぬか不明」である事。(編集長:分かってるつもりだったが・・)
①βラクタム剤:Autolysis
②アミノグリコシド系:Misreading
③殺菌性抗菌薬:Reactive Oxygen Species(ROS) (Kohanski/Collins,Cell 2007 797:120)
腸球菌のToleranceのメカニズム
Kohanski MA
Cell. 2007 Sep 7;130(5):797-810.
A common mechanism of cellular death induced by bactericidal antibiotics.
PMID: 17803904
コメント:
・3クラス(AMGL、FQ、PCN)の殺菌効果は最終的には共通のhydroxyl radical damageによる。
―――――――――
Verneuil N, Hartke A.
Implication of (Mn)superoxide dismutase of Enterococcus faecalis in oxidative stress responses and survival inside macrophages.
Microbiology. 2006 Sep;152(Pt 9):2579-89.
PMID: 16946253
コメント:
・殺しやすい”More killable”の腸球菌は細胞壁をLysed(溶かす?)
・Less killableの腸球菌はAutolysinが欠損、あるいは「損傷」している。
・ToleranceにはSodA(Superoxide dismutase)が必要。SodAはReactive Oxygen Species(ROS)を無力化する。
・遺伝子がSodAを「ON」にするとToleranceになる。「OFF」にするとペニシリンで殺せるようになる。
(編集長なりに簡単に「翻訳」すると・・Toleranceな株にはSodAが活性化していて、ROSを無力化することにより菌が死ににくくしてる・・依然として分かりにくい・・)
―――――――――
Dubée V
The in vitro contribution of autolysins to bacterial killing elicited by amoxicillin increases with inoculum size in Enterococcus faecalis.
Antimicrob Agents Chemother. 2011 Feb;55(2):910-2.
PMID: 21098238
コメント:
・腸球菌のAutolysinをKnocked outしたマウスで実験。
・低InoculumではAutolysinの有無は殺菌性に関係無い。
・高InoculumではAutolysinの有無は殺菌性に関係ある。
・腸球菌殺菌には2種類のメカニズム関与か?:低InoculumではSodAが大事? 高InoculumではAutolysinが大事?
―――――――――
Kim KS, Bayer AS.
Significance of in-vitro penicillin tolerance in experimental enterococcal endocarditis.
J Antimicrob Chemother. 1987 Apr;19(4):475-85.
PMID: 3108228
コメント:
・これはネズミの研究。
・MICが同じでMBCが大きく異なる2種類のE.faecalis
PCN MIC 2 対 4 μg/mL
PCN MBC 4 対 256 μg/mL
←当然、Time-kill curveは大きく異なる。
・更にネズミのIEでは死亡率や疣贅の殺菌効果は大きく異なる。
―――――――――
Conceição N
Penicillin-resistant, ampicillin-susceptible Enterococcus faecalis of hospital origin: pbp4 gene polymorphism and genetic diversity.
Infect Genet Evol. 2014 Dec;28:289-95
PMID: 25445645
コメント:
・βラクタマーゼ関与しないペニシリン耐性を扱う時、Ampicillinでβラクタム剤を代表するのは問題かも。
・通常、腸球菌のβラクタム剤に対する感受性はAmpicillinで代表。PCN、IPM、PIPを予想する。
・問題の株はAmpicillin耐性、PEN,IPM,PIP感受性。
・ここで問題になったのはPBP4に変異のあった株。
・Ampicillinで他のβラクタム剤を代表できないかも・・。
―――――――――
Ono S, Muratani T, Matsumoto T.
Mechanisms of resistance to imipenem and ampicillin in Enterococcus faecalis.
Antimicrob Agents Chemother. 2005 Jul;49(7):2954-8.
PMID: 15980374
コメント:
・日本からの報告
・Ampicillin耐性、IPM耐性、両方耐性。
・こういう報告も・・。
演者はテキサス大学のBarbara Murray先生
腸球菌の耐性
・1983年、編集長が初期研修を終える頃までには全てのAMGLに耐性(ペニシリン系との併用効果無し)の報告が揃いました。
・そこで登場するのがABPC+CTRX(ダブルβラクタム)という組み合わせ。詳細は後ほど
・基本的に腸球菌に対してPCNは殺菌的ではない。
・更に問題なのは「なぜ抗菌薬で菌が死ぬか不明」である事。(編集長:分かってるつもりだったが・・)
①βラクタム剤:Autolysis
②アミノグリコシド系:Misreading
③殺菌性抗菌薬:Reactive Oxygen Species(ROS) (Kohanski/Collins,Cell 2007 797:120)
腸球菌のToleranceのメカニズム
Kohanski MA
Cell. 2007 Sep 7;130(5):797-810.
A common mechanism of cellular death induced by bactericidal antibiotics.
PMID: 17803904
コメント:
・3クラス(AMGL、FQ、PCN)の殺菌効果は最終的には共通のhydroxyl radical damageによる。
―――――――――
Verneuil N, Hartke A.
Implication of (Mn)superoxide dismutase of Enterococcus faecalis in oxidative stress responses and survival inside macrophages.
Microbiology. 2006 Sep;152(Pt 9):2579-89.
PMID: 16946253
コメント:
・殺しやすい”More killable”の腸球菌は細胞壁をLysed(溶かす?)
・Less killableの腸球菌はAutolysinが欠損、あるいは「損傷」している。
・ToleranceにはSodA(Superoxide dismutase)が必要。SodAはReactive Oxygen Species(ROS)を無力化する。
・遺伝子がSodAを「ON」にするとToleranceになる。「OFF」にするとペニシリンで殺せるようになる。
(編集長なりに簡単に「翻訳」すると・・Toleranceな株にはSodAが活性化していて、ROSを無力化することにより菌が死ににくくしてる・・依然として分かりにくい・・)
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Dubée V
The in vitro contribution of autolysins to bacterial killing elicited by amoxicillin increases with inoculum size in Enterococcus faecalis.
Antimicrob Agents Chemother. 2011 Feb;55(2):910-2.
PMID: 21098238
コメント:
・腸球菌のAutolysinをKnocked outしたマウスで実験。
・低InoculumではAutolysinの有無は殺菌性に関係無い。
・高InoculumではAutolysinの有無は殺菌性に関係ある。
・腸球菌殺菌には2種類のメカニズム関与か?:低InoculumではSodAが大事? 高InoculumではAutolysinが大事?
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Kim KS, Bayer AS.
Significance of in-vitro penicillin tolerance in experimental enterococcal endocarditis.
J Antimicrob Chemother. 1987 Apr;19(4):475-85.
PMID: 3108228
コメント:
・これはネズミの研究。
・MICが同じでMBCが大きく異なる2種類のE.faecalis
PCN MIC 2 対 4 μg/mL
PCN MBC 4 対 256 μg/mL
←当然、Time-kill curveは大きく異なる。
・更にネズミのIEでは死亡率や疣贅の殺菌効果は大きく異なる。
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Conceição N
Penicillin-resistant, ampicillin-susceptible Enterococcus faecalis of hospital origin: pbp4 gene polymorphism and genetic diversity.
Infect Genet Evol. 2014 Dec;28:289-95
PMID: 25445645
コメント:
・βラクタマーゼ関与しないペニシリン耐性を扱う時、Ampicillinでβラクタム剤を代表するのは問題かも。
・通常、腸球菌のβラクタム剤に対する感受性はAmpicillinで代表。PCN、IPM、PIPを予想する。
・問題の株はAmpicillin耐性、PEN,IPM,PIP感受性。
・ここで問題になったのはPBP4に変異のあった株。
・Ampicillinで他のβラクタム剤を代表できないかも・・。
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Ono S, Muratani T, Matsumoto T.
Mechanisms of resistance to imipenem and ampicillin in Enterococcus faecalis.
Antimicrob Agents Chemother. 2005 Jul;49(7):2954-8.
PMID: 15980374
コメント:
・日本からの報告
・Ampicillin耐性、IPM耐性、両方耐性。
・こういう報告も・・。