Quantcast
Channel: 感染症診療の原則
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

沖縄県立中部病院Boot camp Day#1-1

$
0
0
症例は高齢の男性がShaking chillを起こした日に中部病院受診

現病歴:
悪寒戦慄X12-24時間

既往歴:
高血圧、冠動脈疾患、COPD、胆のう炎、胆道系感染症、前立腺肥大など

服用薬:
TNTC (Too numerous to count) 沢山・・
但し最近の変更無し

身体所見:
BP:180/70, P:60, R:18, T:37.1 O2Sat:100% (酸素沢山投与中)
右季肋部に双手法が陽性(右の腎臓の圧痛みたいなもの)

検査所見:
血算:白血球↑、生化学:軽度ALP↑、尿グラム染色:白血球++、細菌++

まとめると:
Shaking chill + 腎臓圧痛 + 尿グラム染色でグラム陰性桿菌と白血球:腎盂腎炎でしょう?

編集長とのDiscussion:
1)
編集長:中部病院の症例検討会にしては簡単すぎる!
その通りでした!!後で分かりましたが・・

2)
編集長:脈圧↑+徐脈+Shaking chill は心内膜炎がA弁について、弁周囲膿瘍で房室Blockか?
Dr.Sのカウンター:この方、β遮断剤服用してます
編集長:脈圧↑は動脈硬化のためかも・・

3)
編集長:尿中の白血球とグラム陰性桿菌を腎盂腎炎と一元的にくくるのは危険。BPHがあるから普段からGNRなど見えていたかも。
白血球の存在は尿路外の病変由来かも。後腹膜の病変など。

その後の経過:
尿培養:大腸菌++
血液培養:クレブシエラが4/4本
画像:Psoas abscessとL5/S1の椎間板炎

最終診断:
#1:恐らくKlebsiellaによるPsoas abscessとL5/S1Discitis(ちなみに身体所見ゼロ!)
#2:Red herringとしてのE.coliによるUTI

編集長いいわけ:
・病歴と身体所見から化膿性脊椎炎にたどりつくのは至難
・但し尿グラム染色の白血球とグラム陰性桿菌を、腎盂腎炎の表現といった一元的な説明をするのは危険とコメントし、尿路周囲、後腹膜の病変の可能性を示唆したのはさすが。誰かが褒める・絶賛するなどの行為が必要

Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

Trending Articles