ばいど君、梅の花。

ワクチンがない感染症を「ゼロにする」ということは基本的にはできないのでありますが、最近ではHIV/AIDSをゼロにというキャッチもみますし、最近増加中の梅毒についてはEllimination計画があったりします。

どのような人たちが感染リスクなのかを分析し、対策をたててはじめてできることでありますが、日本ではどれくらい本気でとりくまれているのでしょうか？がしばらく続くテーマです。

梅毒啓発キャラクター　「ばいど君」



このところの注目は若い女性ということで、11月末には厚労省がリーフレット（A4裏表）を作成しました。

11月27日　厚生労働省 報道発表　性感染症の予防啓発活動について～梅毒に関する啓発リーフレットを作成しました～

厚生労働省 梅毒 Q&A

・・・・これで減る予感がまったくしません。本気で減らすつもりがあるのかどうか。
なぜ花なのか。


一番報告の多い東京はどうでしょうか？

東京都健康安全研究センターの梅毒ページの最終更新は本日の時点で2015年5月。

その1年前の2014年5月には「速報」が出ています。
＜速報＞東京都における梅毒の発生状況（2007～2013年）

速報まで出して伝えたいはずなのに、この報告で一番多い地域が「A区」になっています。

なぜ固有名詞を伏せるのかよくわかりません。感染症では、ヒト、時、場所は基本中の基本です。
また、A区などといわなくてもそれが「新宿区」であることは容易にわかります。

「隠す」意図がなんなのか、それで対策をするつもりなのかよくわかりません。

"特別区保健所には2013年に392人の報告があり、そのうちの225人（57.4%）が1つの保健所（A区保健所）に報告されたものだった（図４）。A区保健所での2013年の人口10万対報告数は68.2であり、2013年は2007年に対して7.4倍に増加していた"

もちろんこの界隈でエンデミックであり、エピデミックになり、、ですが、熱心なドクターが多い地域で、検査もしてくれるし、報告率も高いのではないか？といえます。住所地ではなく報告医療機関で集計されていますので。

例えば、青木編集長が水曜日の外来を担当させていただいている、新宿東口クリニック等もその例です。

しらかば診療所からの「梅毒による口腔咽頭病変」も、症例が豊富な新宿ならではの知見。

対策がぬるいとどうなるか。妊婦さんや赤ちゃんが犠牲になります。

こちらの発表は検索するとPDFで全文読むことができます。2014年に報告された、たいへん勉強になる症例です。仙台から。
「妊娠中の検査結果の見逃しにより先天梅毒児を出産した一例」

新宿にある国立国際医療研究センター
「梅毒感染妊婦7例の周産期予後と問題点に関する検討」

横浜市民病院
先天梅毒の一例

亀田総合病院
梅毒罹患妊婦に対し治療不十分のため先天梅毒が疑われた2症例

富士重工業健保 総合太田病院
未受診妊婦から出生した先天梅毒の一例

東比恵皮膚科クリニック
妊婦梅毒の1例

韓国
Recent change in congenital syphilis in Korea: A retrospective study of 10 years.


韓国
A case of congenital syphilis mistaken for possible child abuse

中国
Prioritizing congenital syphilis control in south China: a decision analytic model to inform policy implementation

在宅検査→ネット購入で治療→治療に失敗→なんとか病院にたどりつく、という方もいます。
アモキシシリンは1錠80円前後です。