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「母子感染以外のB型肝炎」 (読売新聞 子どもの予防接種:3)

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医療者の知識が、20年前にならったままで止まっていると、ネットで最新情報をみている保護者との間で大きなコミュニケーション上の問題が発生します(しています!)。

専門誌(団体)よりも、新聞TV,SNSのほうが先を行っており、これは信頼の問題にもつながるおそれがあります。


12月2日 子どもの予防接種(1)ヒブ・肺炎球菌「安全」と結論

12月5日 子どもの予防接種(2)ポリオ「不活化」望む声多く

12月6日 子どもの予防接種(3)B型肝炎 母子感染以外も

藤澤先生を取材されており(取材先大事!)、現在の問題の核心が書かれている良記事になっています。

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肝硬変や肝臓がんを引き起こすB型肝炎も、予防接種で防げる病気だ。
都内に住む看護師Aさん(35)は2008年12月、当時2歳だった次女(5)の手足にぶつぶつができているのを見つけた。
かかりつけ医は、手足や口の中に発疹ができる「手足口病」と診断した。通常、手足口病の発疹は数日でなくなる。
だが、次女の発疹は消えず、むしろ増えていった。
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ここでおかしいな、と思って次の病院を受診できたのはお母さんが看護師だからかも、と思いました。


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翌月、近くの病院を受診し、血液検査を受けると肝機能の数値に異常がみられた。
入院して詳しく調べると、B型肝炎ウイルスに感染していることがわかった。
発疹は、ウイルスによるものだった。
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成人でも、最初に自分が肝炎ウイルスに感染していると気づくのは別の疾患での精査中が約半数を占めます。
日常的に、「自分は感染しているかな?」と考えて生活している人はいませんし。


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Aさんは感染者ではなかった。
「次女がなぜ感染したのか全くわからず、ショックでした」とAさん。
母親が感染者でない場合、子どもにワクチンを接種させるかどうかは、保護者の判断に委ねられている。
Aさんには3人の子どもがいるが、いずれもワクチンを接種していなかった。
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WHOが乳幼児のルチンワクチンにいれましょうと強く推奨していますが、日本では任意接種です。
しかも、自治体のHPなどでもっとも情報が薄いのがこのワクチン。
看護師が母親でもしていない、ということを考えると、非専門家の人たちが、このワクチンの意義を見出して自費で接種するためには大きなハードルがあります。

加えて医療者が「母親がキャリアじゃなければ不要」とか「海外に行かないなら不要」とか、なかには「不特定多数とセックスしないなら不要」とか、誤解偏見を拡散していたりもします。


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Aさんは夫も含めて5人家族。
次女の感染経路を調べるため、家族全員が血液検査を受けたところ、長男(7)が感染していた。
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家族の病気、とくに子どもの病気は保護者にとってとてもとてもつらいものです。
ひとりだけでなく二人、ということのショックははかりしれません。


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B型肝炎ウイルスは、唾液や汗、涙などから見つかることもある。長男の感染経路は不明だが、保育園などで感染し、その後、次女にうつった可能性が考えられた。
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国内で感染症発生動向調査や研究班で把握されている全体の一部の急性肝炎例であっても、原因不明が一定数あります。
原因わからず感染するリスクがある、しかも感染力はとても強い。「このような病気にワクチンがあってよかった」わけですが、日本ではその存在や効果についての情報提供そのものが不足しており、相談した先の医療者が誤った情報提供をしているのが現状です。


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藤沢さんらが09年、B型肝炎ウイルスに感染した子ども57人の感染経路を調べたところ、母親からは65%で、残りは父子感染などだった。
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B型肝炎ウイルスが保育園や家庭内などで水平感染することはかなり前から知られている事実です。

ユニバーサルプリコーションが導入される前の、医療・歯科関連感染も多いことが疫学調査や医療者調査などからも把握されています。

母子感染対策事業も、有効ではありますが、100%予防できません。
(母子感染は100%予防できると思っている医療者もたくさんいます)

以前は、抗体ができて「治った」と思われていた症例群でも、人生の後半で、様々な病気の治療をする際に、劇症肝炎のリスクがあることがわかっています。

死亡例も出ているのですから、そのようなことがおこらないよう、今できることに取り組む必要があります。

まずは乳幼児にユニバーサルワクチンを導入し、思春期層含めたキャッチアップが必要です。

ワクチンは、おそらくこれに対応するだけの在庫がないでしょう。

ワクチンで防げる病気はワクチンで防ぐ。この軸を展開する独立機関はやはり必要でしょうね。

今週末は日本ワクチン学会です。

東京で開催です。ぜひ関心ある方ご参加ください。
テーマは「感染症・ワクチン:教育と啓発 マジでしないと」です。



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