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Channel: 感染症診療の原則
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本気かどうか 梅毒対策

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梅毒が増加傾向にあることは、仕事で感染症週報を眺めているような人たちは皆気づいていましたし、ここ数年はメディアもせっせと記事にしてくれていました。

感染症の対策は減らしてなんぼ、ケアしてなんぼですので、そこにつながらないなら対策とはいえません。

誰にどのように読ませたいのかわからない資料をつくっても、それは啓発でもなんでもないんですよ。

梅毒の対策は難しいですが、「ゴールドスタンダード」があるわけですから、それをやるのかやらないのか。

本気で赤ちゃんや女性を守るつもりがあるのかが問われている訳です。


1)「確実な」治療のハードルが高い
ペニシリンは今でも有効ですが、第一選択薬がありません。
それゆえに患者さんに負担となっていますし、医師もたいへんです。

2)パートナーの検査が徹底されない
その仕組みがありません。
心あるドクターが声かけをしていますが、それだけでは検査に実際につながるかわかりません。
諸外国では対象を探して検査を勧奨するということをHIVと梅毒にはしています。
放置すると重症、死に至るわけですし、母子感染につながるからです。

各国も困ってはいますが、上記2つは手元にある対策です。

日本は「注意が必要」「気をつけよう」、そして梅の花のマーク。
コンドームが有効、それは最低限のことなのですが、今回の流行をとめるためには、はっきりと「オーラルセックスで感染しますよ」、「コンドームだけでは不十分です」と前面に打ち出す必要があります。

国や公衆衛生の専門家に「感染症を減らす気があるのか」が不明です....

梅毒 2008~2014年(IASR Vol. 36 p. 17-19: 2015年2月号)

本邦における先天梅毒発生予防に向けて―感染症発生動向調査報告症例におけるリスク因子の検討―(IASR Vol. 34 p. 113-114: 2013年4月号)


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