Quantcast
Channel: 感染症診療の原則
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

そのHPVはどこから?

$
0
0
HPV関連の質問で一番困る、というか、よくわからないのが、どのように感染したのか?です。

ノドにもうつるんですよ、、というと、(オーラルだけでなく)キスでもうつりますか?と聞かれます。



いくつかの仮説があり、

カップルの観察研究
遺伝子情報での疫学調査(ルーツをさぐる)

などの検証がおこなわれています。


婦人科外来の汚染器具・環境・医療者を介しての感染も検証の対象になっています(清掃の仕方、手袋や手指衛生レベルは、病棟と外来でも意識や対策が違うんですよね・・・)


人生の早い時期の感染としては、生まれてくるときに母親から感染、があります。これは経膣分娩で、そこにいたHPVに曝露して、です。
稀ではありますが、乳頭腫の原因になり、重症例では窒息の危険、その手前には再発性の病変をとるための、なんどもしなくてはいけない手術があります。

HPVの6型と11型

2歳 喉頭腫
1歳 喉頭乳頭腫
若年喉頭腫および成人発症型の再発性呼吸器乳頭腫症
喉頭腫瘍(36症例)におけるHPV感染について


その後、思春期以降に始まる性的接触で、親以外の他人と皮膚や粘膜の濃厚接触がはじまりますが、このプロセスで相手からHPV感染をすることになります。

感染しても気づきません。多くは無症状。6型11型での尖圭コンジローマ、16型18型をはじめとする高リスクHPV感染によるがんが問題に。


「どうやって予防すればいいのですか?」ですが、コンドームには面積の限界があり、オーラルやキスは予防が大変難しいです。(ワクチンが開発された背景に、他の方法では予防に限界があるということがあります)

カナダの名門、マギル大学の専門家らの調査報告(2014年)が興味深いです。

Oral cancer-causing HPV transmission

今日は、カナダの男子(12歳)へのHPVワクチン接種と頭頸部がんの予防の費用対効果のレポートがニュースになっていました。

Should boys be vaccinated against HPV? Study suggests would be cost-saving

HPV vaccine for boys may prevent cancer and save money 'Morbid disease' of throat and mouth cancer often caused by HPV

医療制度がそもそも異なるので国を並べての単純比較はできませんが・・基本的に公費で提供される国では予防が重視されています。
そしてカナダはすでにいくつかの地域で男子への公費での接種が行われています(州によって異なります)。

正確な情報が把握されていくことはよいことなのですが。
こういった情報を断片的につきつけられて、不安が増強してしまうのは懸念事項のひとつ。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

Trending Articles