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Channel: 感染症診療の原則
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髄膜炎菌ワクチン と その周辺

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髄膜炎(meningitis めにんじゃいてぃす)は、髄膜の炎症、、、でありますが、その原因となる病原体はいろいろです。

現在、乳児に接種するHibワクチンも肺炎球菌ワクチンも、Hib(ヘモフィルスインフルエンザ菌b)や肺炎球菌での髄膜炎を予防することが目的のひとつですね。

「髄膜炎菌」は特定の細菌の"菌名"です。

髄膜炎菌での髄膜炎は 髄膜炎菌性髄膜炎といいます。


髄膜炎菌はほかの部位でも病気の原因となります。必ずしも髄膜炎だけではありません。
髄膜炎菌感染症、です。

髄膜炎菌はいろいろある菌の中でも、感染症の専門家に大変おそれられています。
それは、進行がとても早く、致死率が高い、救命できても後遺症が残る率が高いからです。

そして、濃厚接触した医療者や同居者等は抗菌薬で予防投与が行われます。
24時間以内に保健所に必ず報告をする(全数報告)5類感染症です。



予防するワクチンがありますが、血清型でわかれており、A、C、Y、W-135の4価が入ったワクチンが先進国で使用されています。こどもや思春期の予防接種スケジュールに組み込まれている国もあります。

米国のテキサス州は大学に入学条件として接種を義務づけています。

世界地図でみる血清型の分布状況


日本では承認されていないワクチンでしたので、留学や駐在や旅行で必要な人は輸入ワクチンを扱うトラベルクリニック等で接種をしていました。上記の4価のワクチンです。

そして、このワクチンは昨年のうちに承認がきまり、2015年2月24日に薬価収載となりました。19,827円と高額です。
もうすぐどの病院でも取り寄せれば接種が可能になります(サノフィのメナクトラ(R)です)。


海外ではこの4価ワクチンでは予防できない血清型B群のワクチンも認可されています。
日本では輸入ワクチンを扱うトラベルクリニックで接種することはできます。

Pfizer's のワクチンはTrumenba、 Novartisは Bexseroという商品名です。

昨年、このB群の髄膜炎菌のアウトブレイクがプリンストン大学やカリフォルニア大学等でおきて、緊急接種等も行われました。
現在は、オレゴンの大学で複数症例が発生し、対応が行われています。

米国のACIPの会議が開かれたばかりで、HPVワクチンは9価が男子と女子の選択肢になりましたが、このB群の髄膜炎菌ワクチンは10-25歳を対象になりました。

製薬会社は、その対象がせますぎると不満のようです。ロイター:Pfizer, Novartis say meningitis vaccine scope too narrow


なるほど・・・と思っていたところ、英国が乳児の予防接種プログラムにこのB群の髄膜炎菌ワクチンを入れるというニュースが流れました。

全員に接種、、となるとそもそもの流行レベル、費用対効果なども検討事項になります。
年間1700例ほど英国では報告されているようです。

Breaking news: Meningitis B vaccine to be given to all babies free on the NHS

この背景には、ワクチンを広く接種できるようにしよう、と働きかけたサバイバーや子どもを失った家族の活動がありました。
Meningitis Now

闘病中の写真や動画を積極的に公開し、市民や専門家、議員に働きかけていました。


左足の膝から下を失った男児

両足を失った男児

こちらは成人男性。手首から先を失いました


日本でもアウトブレイク事例はおきています。

宮崎県における髄膜炎菌感染症集団発生事例 2011年10月号

三重県内の全寮制高等学校内で髄膜炎菌性髄膜炎が発生したため学校関係者に予防投薬を施行した事例 2013年12月号


米国の学校でのアウトブレイク

ドイツの男性同性愛者間でのアウトブレイク

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