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Channel: 感染症診療の原則
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IGRA クオンティフェロン この不完全なもの#4・・ ICAAC Online 潜在結核

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先日、実地医家から受けた真剣な相談、それは・・

「潜在結核の検査をツ反からクオンティフェロンに代えたら陽性者が激増した、全員INHを飲ませるのか?」

というものでした。

余程IGRAの性能が向上・安定しないと恐らく将来的にはNoになるのではないか・・と素人の編集長は思いますが・・

ということで本日もトラック#120:潜在結核の診断(Diagnosis of Latent TB Infection (LTBI))です。
今日もStanford大学のNiaz Banaei先生による講演。

タイトルは「IGRA その変動の原因(Sources of IGRA Variability)」

#:Lot間の変動
・下記のグラフは結核の集団発生など無いと分かっている同じ施設で継続的にIGRAの測定をしたら、ある特定のLot(Lot121200T)で突然、IGRA陽性が増えて、いくつかのLotに変更後、最終的にIGRA陽性が元のBase lineに戻った・・というものです。
Slater M, Dubose A, Banaei N.
False-positive quantiferon results at a large healthcare institution.
Clin Infect Dis. 2014 Jun;58(11):1641-2.
PMID: 24610428


#:免疫現象による変動
・これは前回の繰り返しになりますが、ツ反に用いるPPDにはIGRAを陽性にする物質があるのでツ反同様のBooster効果がある・・との事です。
(ツ反で使用するPPDにはRD1抗原が存在し、これはIGRAが使用するタンパクとも関係する。ESTA6,CFP10,TB7.7はPPDに含まれるRD1抗原)
・通常、Booster効果とは本当のLTBIが存在するのにリンパ球がそれを忘れて、ツ反が偽陰性になる。そこにツ反を繰り返すとリンパ球の記憶が戻り陽性になる・・というもの。
・IGRAでも偽陰性>ツ反>陽性となる事がある。これは基本的にはLTBI存在下での現象ですが、Banaei先生によるとLTBI無しでもIGRAの場合、陰性>陽性の変化があるとの事です。

#:微生物との相互作用
・これも前回、一部、LPSなどがIGRAの値を揺らせる・・と書きましたが、更に・・
・ブドウ球菌の増殖もIGRA値を上げる・・との事でした。大腸菌や緑膿菌はそれほどでもない・・。


##:まとめると
・IGRA値は多数の要因でぶれる・揺れる。特にCutoff-point付近がやばい。
・採血量、Incubationまでの時間が「分析前」のぶれ要素として重要。
・同じ人物・個体でのぶれも。
・最終的にこのような「ぶれ要素」を除けるかは将来の研究にかかっている。

皆様、ゆめゆめクオンティフェロンを絶対視しないで下さい。

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