第7回 若手医師セミナ 水・酸塩基平衡の考え方 by 須藤先生 Q/A
質問者 : 48歳 消化器内科医
質問内容 : 敗血症、肝硬変のとき呼吸性アルカローシスになるのはなぜなんでしょうか?
細菌によるエンドトキシンや肝硬変のときに代謝されないアミンなどの蓄積が直接呼吸中枢を刺激するためと言われているようです。
質問者 : 研修医2年目
質問内容 : 尿中の電解質は、利尿薬を使用している方だと、尿中電解質が変化してしまうと思うのですが、そのままスライド通りに考えて大丈夫でしょうか?
利尿剤が投与されている場合は,もちろん尿中電解質は変化します。たとえばフロセミドが投与された場合に,その効果が残っている状況では尿中Na, Kは高くなる可能性があります。その状況で尿中Naが高い場合には,判断はできません(利尿剤の効果か,もともとの病態が原因かを決めることはできない)が,もし利尿剤を使用しているにもかかわらず尿中Naが低い場合には,Na再吸収が非常に亢進している状態であると判断することができます
質問者 : 薬剤師 20代
質問内容 : 尿のNaやその他の電解質データが手に入らないことがしばしばあります。代わりに尿の比重のデータは比較的入手しやすいのですが、尿の比重の解釈方法はどうすればよいですか?
尿比重をそのまま尿中Naの代用に使うことはできませんが,ある状況では尿浸透圧のおよその代用には使うことができます。つまり尿中に比重を増加させるような物質が尿中に存在する場合(尿糖や造影剤使用後など)でなければ,およそ 尿比重 1.010=350,1.020=700,1.030=1050 mOsm/Lくらいと換算することができます(350の倍数と覚えます)。
具体的には,尿一般検査で,尿糖が陰性であること,カルテを確認してその尿検査が行われる直前に,造影剤やマニトールなどが投与されていないことが確認できれば,上記の概算を適応することができます。
質問者 : 研修医2年目
質問内容 : cace4でGluが高値の場合は補正NaでAGを計算しなくてよいのでしょうか?
理由はわかりませんが,あえて補正Naを使用しなくてもいいと思います。
質問者 : 医師 呼吸器内科 30代
質問内容 : 血液ガスのデータはやはり静脈血ではあてにならないのでしょうか?
Po2やPco2を厳密にみる必要がなく酸塩基平衡の状態をみるのなら,静脈血を使って推定することは可能だと思います。動脈血は,静脈血よりもpH はおよそ0.03高く, HCO3-の値は静脈血よりも1程度低くなると言われています。
質問者 : 医師 30代
質問内容 : 補正HCO3の考え方なのですが、スライドの棒グラフから考えると、Clの増減があるときに隠れた、代謝性アシドーシス・アルカローシスが隠れていると考える事は出来るのでしょうか?
まさにNa―Clの値が,36より大きいか小さいかで,代謝性アルカローシスや高Cl性アシドーシスの存在を疑っているということと同じです。
質問者 : 医師 内科医
質問内容 : Case2の方は内服のKを行われたのですか?
当初は経静脈的(輸液に混注して)行いました。途中から経口摂取が可能となってからは,内服に変更していったと思います。
質問者 : 2年目研修医 20代
質問内容 : 代謝性アルカローシスはtriggerとそれを維持する因子にわけますが、どうして区別して考えなければならないのでしょうか?
絶対に区別して考えなければならないという訳ではありませんが,代謝性アルカローシスの治療を行う時に,原因と維持されている要因を治療する必要があるからです。(根本的な原因を治療しなければアルカローシスは補正できないから)これの最も多い原因は,hypovolemiaです。
質問者 : 医師 内科 50代
質問内容 : 血液ガスや電解質の測定は、動脈血でそろえたほうが良いのでしょうか。静脈血での測定意義はありますでしょうか。
前述のように,多少HCO3-の値が動脈血と違うことを理解していれば,酸塩基平衡の状態に考えるためなら簡便さを考えて静脈血でも充分使えると思います。呼吸状態を見る場合には使えないのは言うまでもありません
質問者 : 医師 糖尿病内科 20代
質問内容 : 肝硬変では、なぜ呼吸性アルカローシス+代謝性アルカローシスになるのですか?
詳細はよくわかっていないようですが,二次性アルドステロン症や利尿剤使用によるcontractionの要素により代謝性アルカローシスを,また肝性脳症にともなって呼吸性アルカローシスを伴うことが多いとされています。シャントによる酸素分圧低下に対する代償作用としての過換気,アンモニアなどによる呼吸中枢への直接刺激などが原因と考えられているようです。
質問者 : 医師 内科 50代
質問内容 : pHの変化は、病気が発症してからどのくらいの時間単位で起こってくるのでしょうか。例えば敗血症の場合、代謝性アシドーシスが見られると重症になってくるように思いますが、感染してから、早い時間帯で変化があるものなのでしょうか。
これは厳密にどれくらいで発生しているのかを知る方法はないのではないでしょうか。ただ敗血症に限らず,末梢循環不全がおきて乳酸アシドーシスが起こるということを考えると早い時間で起こると予想されるような気がします(すみません根拠はわかりませんが)
質問者 : 30代 神経内科
質問内容 : ここまで覚えるんですか?
最初から全て覚えようとしなくても,症例を経験するたびに使っているうちに自然に覚えると思います。逆に使わないのであれば無理に覚える必要なないと思います。その度に教科書なりメモを見るなりすれば十分です。
質問者 : 48歳 消化器内科医
質問内容 : 敗血症、肝硬変のとき呼吸性アルカローシスになるのはなぜなんでしょうか?
細菌によるエンドトキシンや肝硬変のときに代謝されないアミンなどの蓄積が直接呼吸中枢を刺激するためと言われているようです。
質問者 : 研修医2年目
質問内容 : 尿中の電解質は、利尿薬を使用している方だと、尿中電解質が変化してしまうと思うのですが、そのままスライド通りに考えて大丈夫でしょうか?
利尿剤が投与されている場合は,もちろん尿中電解質は変化します。たとえばフロセミドが投与された場合に,その効果が残っている状況では尿中Na, Kは高くなる可能性があります。その状況で尿中Naが高い場合には,判断はできません(利尿剤の効果か,もともとの病態が原因かを決めることはできない)が,もし利尿剤を使用しているにもかかわらず尿中Naが低い場合には,Na再吸収が非常に亢進している状態であると判断することができます
質問者 : 薬剤師 20代
質問内容 : 尿のNaやその他の電解質データが手に入らないことがしばしばあります。代わりに尿の比重のデータは比較的入手しやすいのですが、尿の比重の解釈方法はどうすればよいですか?
尿比重をそのまま尿中Naの代用に使うことはできませんが,ある状況では尿浸透圧のおよその代用には使うことができます。つまり尿中に比重を増加させるような物質が尿中に存在する場合(尿糖や造影剤使用後など)でなければ,およそ 尿比重 1.010=350,1.020=700,1.030=1050 mOsm/Lくらいと換算することができます(350の倍数と覚えます)。
具体的には,尿一般検査で,尿糖が陰性であること,カルテを確認してその尿検査が行われる直前に,造影剤やマニトールなどが投与されていないことが確認できれば,上記の概算を適応することができます。
質問者 : 研修医2年目
質問内容 : cace4でGluが高値の場合は補正NaでAGを計算しなくてよいのでしょうか?
理由はわかりませんが,あえて補正Naを使用しなくてもいいと思います。
質問者 : 医師 呼吸器内科 30代
質問内容 : 血液ガスのデータはやはり静脈血ではあてにならないのでしょうか?
Po2やPco2を厳密にみる必要がなく酸塩基平衡の状態をみるのなら,静脈血を使って推定することは可能だと思います。動脈血は,静脈血よりもpH はおよそ0.03高く, HCO3-の値は静脈血よりも1程度低くなると言われています。
質問者 : 医師 30代
質問内容 : 補正HCO3の考え方なのですが、スライドの棒グラフから考えると、Clの増減があるときに隠れた、代謝性アシドーシス・アルカローシスが隠れていると考える事は出来るのでしょうか?
まさにNa―Clの値が,36より大きいか小さいかで,代謝性アルカローシスや高Cl性アシドーシスの存在を疑っているということと同じです。
質問者 : 医師 内科医
質問内容 : Case2の方は内服のKを行われたのですか?
当初は経静脈的(輸液に混注して)行いました。途中から経口摂取が可能となってからは,内服に変更していったと思います。
質問者 : 2年目研修医 20代
質問内容 : 代謝性アルカローシスはtriggerとそれを維持する因子にわけますが、どうして区別して考えなければならないのでしょうか?
絶対に区別して考えなければならないという訳ではありませんが,代謝性アルカローシスの治療を行う時に,原因と維持されている要因を治療する必要があるからです。(根本的な原因を治療しなければアルカローシスは補正できないから)これの最も多い原因は,hypovolemiaです。
質問者 : 医師 内科 50代
質問内容 : 血液ガスや電解質の測定は、動脈血でそろえたほうが良いのでしょうか。静脈血での測定意義はありますでしょうか。
前述のように,多少HCO3-の値が動脈血と違うことを理解していれば,酸塩基平衡の状態に考えるためなら簡便さを考えて静脈血でも充分使えると思います。呼吸状態を見る場合には使えないのは言うまでもありません
質問者 : 医師 糖尿病内科 20代
質問内容 : 肝硬変では、なぜ呼吸性アルカローシス+代謝性アルカローシスになるのですか?
詳細はよくわかっていないようですが,二次性アルドステロン症や利尿剤使用によるcontractionの要素により代謝性アルカローシスを,また肝性脳症にともなって呼吸性アルカローシスを伴うことが多いとされています。シャントによる酸素分圧低下に対する代償作用としての過換気,アンモニアなどによる呼吸中枢への直接刺激などが原因と考えられているようです。
質問者 : 医師 内科 50代
質問内容 : pHの変化は、病気が発症してからどのくらいの時間単位で起こってくるのでしょうか。例えば敗血症の場合、代謝性アシドーシスが見られると重症になってくるように思いますが、感染してから、早い時間帯で変化があるものなのでしょうか。
これは厳密にどれくらいで発生しているのかを知る方法はないのではないでしょうか。ただ敗血症に限らず,末梢循環不全がおきて乳酸アシドーシスが起こるということを考えると早い時間で起こると予想されるような気がします(すみません根拠はわかりませんが)
質問者 : 30代 神経内科
質問内容 : ここまで覚えるんですか?
最初から全て覚えようとしなくても,症例を経験するたびに使っているうちに自然に覚えると思います。逆に使わないのであれば無理に覚える必要なないと思います。その度に教科書なりメモを見るなりすれば十分です。