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Channel: 感染症診療の原則
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ベッドが、病院がたりない

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日本ではなく、エボラウイルスの広がりを食い止めようと国際支援が増強されている西アフリカでの話です。

日本からは、国立国際医療研究センターの加藤先生のあとに、日本からGOARNのメンバーとしてリベリアに派遣された古宮先生が活躍中です。

国境なき医師団でも日本人医療者が最前線で診療などを支援中。

医療者がいたとしても、診療や入院のスペースが圧倒的に足りないとの報道が続いています。

ユニセフ等が治療センターを作っていますがおいついていません。

米国は軍隊を投入してこれを支援するとのことです。

U.S. military to set up field hospital in Ebola-stricken Liberia

(リベリアと米国の関係は複雑なので、関心ある方はぜひ一度関連情報をみてください)

インフラや建物系は日本の海外援助で定評のある分野ですが、JICAやその契約企業は退避中です…が、日本からも支援に行く人たちがいるので、それをサポートする医療が重要です。

現地で活動をするためには、黄熱ワクチン、腸チフスワクチン、肝炎ワクチンやマラリア予防などプレトラベル相談が不可欠です。

また、万が一現地で感染、となった場合は治療可能な施設・国へのmedical evacuationが行われます。
WHOはドイツ、スイスの病院と提携、国境なき医師団はベルギーの病院のサポートがあるようですが、現地の病院から空港への移送、空港から受け入れ病院までの飛行機の調達と搬送医療者の確保、着陸空港から病院までの移送、などの机上訓練や関連団体との調整が課題となります。

米国で3例目となっ本国へのた搬送例は、アトランタのエモリー大学病院ではなく、ネブラスカ州の病院が受け入れました。
スペイン、ドイツでの搬送例と同様にパトカー先導で病院まで運ばれましたが、その様子をメディアが中継しています。

日本には受け入れ可能な医療の準備がありますので、実際のところは最善を尽くせると思うのですが、心配なことがあるとしたら"集団ヒステリー"ですかね。

デングでこれだけ慌てる自治体やメディアが、果たして(たった1例でも、完全隔離で移送しても、準備をしている専門機関が対応しても)"適切な"対応をできるのかどうか。

リスクを引き受けて国内外で対策や支援を行う人に石を投げるようなメディアがいないことを祈ります。

72歳のボランティア。
Ebola Aid Volunteer Says She's Aware Of Risks, But Work Is Important

事前の準備は医療だけでは足りないですね。



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