誰かテンパっている人がいるのかもしれません。
厚労省が落ち着け、といっているそうです(誰に?)。
夜中の記者会見とかまだ記憶に新しいです・・・。
誰が何を具体的にすべきかわからない案件について断片的事実だけ仰々しく発表されても不安層を刺激して現場の負担を増やすだけ・・・な4類感染症。
と、てんぱっている人をみかけたらささやいてください・・。
〇〇地域の〇〇才の人は〇〇のときに〇〇してください(しないでください)と具体的な助言とセットでないと恐怖をあおるだけになることがあります。
対処できる具体的な不安と、何をしていいかわからない漠然とした不安では見通しや心的負荷も異なります。
日経新聞 厚労省「冷静に対応を」 デング熱、国内感染69年ぶり確認
どんな症状?は、Q&Aや教科書を見ても羅列だと時間軸や体感することが難しいので患者さんの語りなども参考に。
「患者さんの語りから学ぶデング熱」
それまで流行していなかった島で患者が把握され積極的疫学調査、というパターンは報告があります。
Ongoing outbreak of dengue type 1 in the Autonomous
Region of Madeira, Portugal: preliminary report
渡航歴がない人での事例の把握が初という報道をしているところもありますが、初じゃなくて、昔流行っていた地域もあるので〇年ぶり、というのが正確な記載になります。
流行っていたのをふうじこめることは、感染症によっては可能なのですが、蚊が媒介する感染症の場合は蚊の対策をするか免疫を高めるかということになります。
日本脳炎は昔も今も大変怖い感染症ですが、日本脳炎ワクチンの普及によって接種した人での感染を予防することができるようになりました。
もっとも、感染した人全員が発症したり重症化するわけではないですが。地域においてウイルスを媒介する人が減っていくことによる抑え込みの成果をみているわけです。
ときどき「もう患者はほとんどいないからワクチンいらないんじゃね?」的誤解をしている人もいますけれども。
ワクチンを一斉にやめたらまた患者は報告されていきますよ。
なぜならば、日本脳炎ウイルスをもつ蚊は各地に存在し、その代理指標となる豚での抗体保有率調査がそれを示しているからです。
インドなどでこどもがばたばた脳炎で倒れていくのをみていると、「ワクチンいらない」とはとてもいえません。
最近話題のエボラもそうですが、動物由来・動物が間に介在することでなる感染症はヒトの異動、気候の変動などの影響を受け、その流行パターンがかわることがあります。
ヒトの行動によって広がることもあれば止まることもあります。
西表島を食ったマラリア
いずれにしてもそれまでは把握されていなかった感染症が、ある地域に持ち込まれ、症例が把握され、医師の意識が高まったり行政が積極的な調査をかけて、それまでより検査のオーダー(分母)が増えれば、それなりに分子が見つかるということもあります。
関心が高まったり新しい検査が導入されたり調査法を変えるとデータの性質が変わるので評価が難しくなります。
実際にはどうなんだろう?を調べるためには周辺の調査や、お金と手間暇のかかる(倫理的手続きなども最近はたいへんな)調査をしなくてはいけません。もっともそこまでしなくてはいけない根拠、したほうがいいメリットがある、など説明責任が伴いますが・・・。
それは2つあります。
まず、環境因子としての蚊や動物がどれくらいウイルスを持っているかを調べる方法。
これは定期的に各地で行われており、モスキートトラップでつかまえてウイルスを調べるんですね。たいへんな作業です。
ご関係の方の努力に頭が下がります。
もう1つは一定の同リスク集団(住んでいるところが同じ、行動パターンが同じ等)の血液をもらって抗体を調べることです。
わざわざやるのがたいへんなので、通常は定期健診などの血液で個人情報のリンクを外した血液で調査をします。
規模が大きい調査ではお金もかかりますしたいへんです。
妊婦健診や献血等のスクリーニング結果を活用することもあります(たとえばHIV感染症)。
蚊が媒介する感染症は、先進国の米国でもデング熱、ウエストナイル熱、チクングニアなどが問題ですし、EUでも輸入感染症が地域常在の感染症とならないかのモニタリングを続けています。
台湾やシンガポールは軍隊などが協力して、古いタイヤや雨水などが放置されやすい環境の「みずたまり」を除去するなど環境への介入も行っています。
感染症対策に関わる人が知っておいたほうがよいことをさらに追記。
針刺し事故や粘膜曝露後のマネジメントや評価が必要になります。
Non vector-borne transmission modes of dengue
Nosocomial dengue in health-care workers
Laboratory-Acquired Dengue Virus Infection―A Case Report
医師が発症5日目の患者の針刺し(採血)で感染、看護師が発症1日目の患者の 針刺し(採血)で感染。医療従事者が発症2日目の患者の血液の顔面曝露(血液培養ボトル分注時)で感染、という報告があります。
また、地域にかなり広がってしまうと、輸血用血液の安全性の問題が生じます。
Dengue Hemorrhagic Fever Transmitted by Blood Transfusion NEJM 2008年
Dengue Virus Transmission by Blood Stem Cell Donor after Travel to Sri Lanka; Germany, 2013
Implications of Dengue Outbreaks for Blood Supply, Australia
Dengue haemorrhagic fever after living donor renal transplantation
リスク因子などが検討されればまた具体的な動きになるかもしれません。
厚労省が落ち着け、といっているそうです(誰に?)。
夜中の記者会見とかまだ記憶に新しいです・・・。
誰が何を具体的にすべきかわからない案件について断片的事実だけ仰々しく発表されても不安層を刺激して現場の負担を増やすだけ・・・な4類感染症。
と、てんぱっている人をみかけたらささやいてください・・。
〇〇地域の〇〇才の人は〇〇のときに〇〇してください(しないでください)と具体的な助言とセットでないと恐怖をあおるだけになることがあります。
対処できる具体的な不安と、何をしていいかわからない漠然とした不安では見通しや心的負荷も異なります。
日経新聞 厚労省「冷静に対応を」 デング熱、国内感染69年ぶり確認
どんな症状?は、Q&Aや教科書を見ても羅列だと時間軸や体感することが難しいので患者さんの語りなども参考に。
「患者さんの語りから学ぶデング熱」
それまで流行していなかった島で患者が把握され積極的疫学調査、というパターンは報告があります。
Ongoing outbreak of dengue type 1 in the Autonomous
Region of Madeira, Portugal: preliminary report
渡航歴がない人での事例の把握が初という報道をしているところもありますが、初じゃなくて、昔流行っていた地域もあるので〇年ぶり、というのが正確な記載になります。
流行っていたのをふうじこめることは、感染症によっては可能なのですが、蚊が媒介する感染症の場合は蚊の対策をするか免疫を高めるかということになります。
日本脳炎は昔も今も大変怖い感染症ですが、日本脳炎ワクチンの普及によって接種した人での感染を予防することができるようになりました。
もっとも、感染した人全員が発症したり重症化するわけではないですが。地域においてウイルスを媒介する人が減っていくことによる抑え込みの成果をみているわけです。
ときどき「もう患者はほとんどいないからワクチンいらないんじゃね?」的誤解をしている人もいますけれども。
ワクチンを一斉にやめたらまた患者は報告されていきますよ。
なぜならば、日本脳炎ウイルスをもつ蚊は各地に存在し、その代理指標となる豚での抗体保有率調査がそれを示しているからです。
インドなどでこどもがばたばた脳炎で倒れていくのをみていると、「ワクチンいらない」とはとてもいえません。
最近話題のエボラもそうですが、動物由来・動物が間に介在することでなる感染症はヒトの異動、気候の変動などの影響を受け、その流行パターンがかわることがあります。
ヒトの行動によって広がることもあれば止まることもあります。
西表島を食ったマラリア
いずれにしてもそれまでは把握されていなかった感染症が、ある地域に持ち込まれ、症例が把握され、医師の意識が高まったり行政が積極的な調査をかけて、それまでより検査のオーダー(分母)が増えれば、それなりに分子が見つかるということもあります。
関心が高まったり新しい検査が導入されたり調査法を変えるとデータの性質が変わるので評価が難しくなります。
実際にはどうなんだろう?を調べるためには周辺の調査や、お金と手間暇のかかる(倫理的手続きなども最近はたいへんな)調査をしなくてはいけません。もっともそこまでしなくてはいけない根拠、したほうがいいメリットがある、など説明責任が伴いますが・・・。
それは2つあります。
まず、環境因子としての蚊や動物がどれくらいウイルスを持っているかを調べる方法。
これは定期的に各地で行われており、モスキートトラップでつかまえてウイルスを調べるんですね。たいへんな作業です。
ご関係の方の努力に頭が下がります。
もう1つは一定の同リスク集団(住んでいるところが同じ、行動パターンが同じ等)の血液をもらって抗体を調べることです。
わざわざやるのがたいへんなので、通常は定期健診などの血液で個人情報のリンクを外した血液で調査をします。
規模が大きい調査ではお金もかかりますしたいへんです。
妊婦健診や献血等のスクリーニング結果を活用することもあります(たとえばHIV感染症)。
蚊が媒介する感染症は、先進国の米国でもデング熱、ウエストナイル熱、チクングニアなどが問題ですし、EUでも輸入感染症が地域常在の感染症とならないかのモニタリングを続けています。
台湾やシンガポールは軍隊などが協力して、古いタイヤや雨水などが放置されやすい環境の「みずたまり」を除去するなど環境への介入も行っています。
感染症対策に関わる人が知っておいたほうがよいことをさらに追記。
針刺し事故や粘膜曝露後のマネジメントや評価が必要になります。
Non vector-borne transmission modes of dengue
Nosocomial dengue in health-care workers
Laboratory-Acquired Dengue Virus Infection―A Case Report
医師が発症5日目の患者の針刺し(採血)で感染、看護師が発症1日目の患者の 針刺し(採血)で感染。医療従事者が発症2日目の患者の血液の顔面曝露(血液培養ボトル分注時)で感染、という報告があります。
また、地域にかなり広がってしまうと、輸血用血液の安全性の問題が生じます。
Dengue Hemorrhagic Fever Transmitted by Blood Transfusion NEJM 2008年
Dengue Virus Transmission by Blood Stem Cell Donor after Travel to Sri Lanka; Germany, 2013
Implications of Dengue Outbreaks for Blood Supply, Australia
Dengue haemorrhagic fever after living donor renal transplantation
リスク因子などが検討されればまた具体的な動きになるかもしれません。