セファロスポリンの話し、続きます。
前回はフレミングのペニシリン発見だけでは実用には遠く、実際にはFlorey先生によるペニシリン大量生産の技術が必要であった話しをしました。
その当時のFlorey先生の論文、British Medical Journal(1945年)
さて、セファロスポリンでした。Guiseppe Brotzu教授
イタリアはSardiniaでチフスが流行っていました。そして下水は海水に流れ込むだけだったのですが、不思議と近くで水泳している人はチフスになりません。Brotzu教授は思います。もしかしたら海水にはバイキンを殺す力があるのでは・・
そして下水が海に排出される出口で検体を集めます。写真はBrotzu教授が部下と汚水を採取しているところ
そして取り出したのがセファロスポリンの先祖、Cephalosporium acremoniumでした。これは抗Typhoid、Paratyphoid、Cholera効果があります。
この薬物はOxfordの学者に送られ、Cephalosporin P, N, と改善されて行きます。(PはグラムPositive、NはグラムNegative)。しかし大量生産する技術の開発は米国のEli Lilly社によります。
そして最終的にCephalothin(Keflin)が出来たのは1964年でした。
その後、新しいセファロスポリンが開発されますが、同時に耐性の問題も広がります。
そしてTalbot先生の講演最後ではセファロスポリンは耐性問題の原因であり抗菌薬の将来を危うくしている・・といったコメントさえ出てきました。勿論、セファロスポリンだけが問題ではありませんが・・。
でも、たしかにC.diff,MRSA,ペニシリン耐性Pneumococcus,耐性GNR, VRE, などとセファロスポリンの関係は気になりますね。