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Channel: 感染症診療の原則
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環境と動物 と その周辺

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環境感染という名称の学会がありますが、昔は、流しの周りや床などを調べて○○だった、、、という発表などもあったのだと
聞いています。
「施設の中で」環境という因子に注目が集まった時代についた名前なのだろうと教えてくださった先生がいました。

医療者も患者さんにとっては環境因子でありますが。



毎日新聞に、もうちょっと規模の大きな環境の話題がありました。

タイトルは大いにミスリードっぽいですが。

薬剤耐性菌:都市河川に 東京工科大「感染症発生の恐れ」

水系サンプルを調べたら、第三世代セファロスポリン耐性の大腸菌がいたよ、です。

いたよ、ということと「感染症」が「発生」するは直接関係ないんのでミスリードだなと思うわけですが。

医療系以外の学会でこういった切り口で情報発信があるということは知っておいたほうがよいですね。



記事は伝聞情報だけですが(もう少し調べて書いたら面白い記事になると思うのですけれども)

これまでにもいろいろな問題してきや調査があります。


下水はだいぶ発達しましたが、動物のし尿は環境に染み込んだり雨水とともに河川に流れ込んだりします。

セファロスポリン系の薬はヒトだけでなく動物でも使用されますので、そちらも気になるところです。

Cephalosporins in veterinary medicine - ceftiofur use in food animals.

たとえば、
獣医さんが使う 第三世代の ceftiofur  セフチオフル 

        第四世代のcefquinome  セフキノム 

牛や豚での代謝試験のデータがありますが、けっこう尿に出るんですね〜。周囲や水系に拡散していくわけです。


こちらは英国の資料。8ページにある図がわかりやすいですね。

こちらは米国の情報ですが、このレクチャースライドの17枚めあたりから読んでいくと、大変怖い現実が。



食べる方はどうなんでしょう?こちらは東京都健康安全研究センターからの情報
「食肉からの基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌の検出」

食べ物の方は世界各地から輸入されますので・・・
グローバルな疫学の図表はこちらの論文のFig1が参考になります。日本も図示されています。
The changing epidemiology of resistance



農林水産省 家畜共済における「抗菌性物質の使用指針」という資料がありました。

動物版 適正使用、でしょうか。環境汚染と合わせて考えないとなると、大掛かりですね。

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