前にも書いたとおり、Active Surveillance cultureをして陽性者を隔離して・・といった研究をしても実際はSurveillanceやCultureの内実が均一でないために研究結果の判定が難しい・・といった事を書きましたが、そこにまた、面白い試みが・・ Harvard大学のErika D'Agata先生によるScreening for VREというタイトルの研究です。
書きました通り、隔離をしっかりしたが、抗菌薬の使い方が悪かった。隔離と抗菌薬Stewardshipは良かったが、Educationがまずかった。それから手洗いも・・というふうに複数の変数Variableが複雑に交絡する中での検討は本当に難しいし、大抵は「あれが駄目だった・・」的な「後の祭り現象」が常です。
この「後の祭り」対策として提示されたのが、それぞれの変数を使った数学モデルを作って、「隔離」変数は固定して、「抗菌薬Stewardship」を変えて・・といった感じで何がVRE対策として有効かを模索した・・という研究です。変数としてPickupされた項目の例としては「手洗い遵守率」「接触隔離の遵守率」「抗菌薬Stewardshipの程度」などです。数式自身は見た瞬間にNausea,Vomiting,Diarrheaといった症状を誘発する感じでしたが、変数を変えると感染率が変わる様子は数学Anaphylaxis派としても非常に面白かったです。
さて、この発表の中で80/20 Principleというのが紹介されました。これはですね・・80%の現象が20%の人によって生じているという話です。例えば・・
80%の売り上げは20%の製品によって得られている。(全ての製品が同様に売りあげに貢献してるわけではない)
80%の犯罪は犯罪者の20%が起こしている。(犯罪者の中には、沢山、犯罪をおこす人がいる)
80%の交通事故は20%の運転手が起こしている。(事故りやすい運転手がいる)
感染症の業界も同じでSuper spreader20%が80%の感染症を起こしている。このようなSuper spreaderが認知されている微生物・感染症にはHIV, Measles, Influenza, Smallpox, TB, STD
(写真はPGY1のDrYなどを引き連れてHarvard大学を見学した時のもの。案内係は今度は「市中でみる世界の感染症」にご招待したEdward Ryan先生)