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Channel: 感染症診療の原則
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ニューキノロンと食べ物 と その周辺

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医者にもいかないし、薬なんかのまないもん!という生活をプライドにしていても、食べ物経由でいろいろな薬をとりこむ構造になっています。
大量生産、低価格で高い効率を求めるなかで、そういった介入が必要悪的にとして入ってきます。
一切の化学的なものを排除するのが目標かというと、病原体に汚染された食べ物を摂取するリスク(と、その代わりに手間暇かけてのコスト高)とのひきかえになります。


安全安心は○か×か、白か黒かではない、ということであります。

どのように扱うのがよいのか、、、なのですが。


2004年 韓国産ヒラメからエンフロキサシン
2004年 台湾製ウナギからエンフロキサシン

横浜市は今年の5月にも中国のイシモチで回収命令

そして今週月曜8月12日に読売が載せていた記事:
韓国産ヒラメから合成抗菌剤…保健所が回収指示(読売新聞)

横浜市保健所は10日、輸入された韓国産ヒラメから、合成抗菌剤「エンロフロキサシン」が検出されたと発表。
同抗菌剤を含有する魚介類は食品衛生法で流通が禁止されており、厚労省から通報を受けた市保健所はすでに関西地方などに全量販売されたヒラメ3000キロを回収するよう指示。同保健所は「食べても健康への影響はない」としている・・・ですが、

・・・即、個人の健康への影響はないでしょうが、もっと根深い問題があるわけですよ。

科学部でも社会部でもいいからじっくり足で調べて書けばいい記事になるんですけどね・・・・ぜひ関心ある記者さん、チャンスがあったら追跡レポなどもがんばってください。

米国では鶏への使用は禁止。
EUは食用養殖水産物への使用は禁止。

Quantifying potential human health impacts of animal antibiotic use: enrofloxacin and macrolides in chickens.

Antibiotic resistance in bacteria associated with food animals: a United States perspective of livestock production.


一般向け資料 薬剤耐性菌の評価指針について
一般向け講演会資料 「耐性菌問題の背景」



"わが国で市販されている各種食品由来大腸菌について薬剤耐性状況を検討してきているが、ここに紹介したようにESBL産生大腸菌は2003年から出現、以後急増しており、その由来は全て鶏肉であった。
国内では養鶏でセフェム系薬剤は使用されていないと思うが、飼育環境に第3世代セフェム系薬剤耐性菌汚染源の存在が推測される。早急な保菌実態の調査、防止対策が望まれる。"
「食品由来大腸菌におけるフルオロキノロン系薬剤耐性菌
および基質特異性拡張型βラクタマーゼ産生菌の動向」(2008年)より


医療機関中の問題(だけ)で起きているわけじゃないんですよ・・・・。
もっと大きな概念図をみたほうがよいですし、ときにブラックな世界の情報を知らないと書けない。それが耐性菌問題の構造です。

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