Quantcast
Channel: 感染症診療の原則
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

寺澤先生のお話

$
0
0
10日金曜日は、若手医師セミナーで寺澤先生のお話を聴く機会を得ました。

山中先生と林先生もERの先生なので、ERが全体の3コマ・・ではあるのですが、どの先生からも学びたい事があります。

そして寺澤先生にしか語れない、経験と魂にうらうちされた若手医師へのメッセージがあるのです。
これを初期研修の、ちょっと慣れた頃(8月)に聞いていただくのはとてもよい(必須)と青木編集長が考えています。

「年寄りにしかいえないからね」と微笑む寺澤先生。

10日のセミナーを聴講されたリピーターの方はお気づきになったとおもいますが、昨年度の内容と今回の内容は「ちがって」いました。
寺澤先生は「いつも最前列にいるリピーターの人に申し訳ないから、内容をちょっとかえたんですよ」と微笑んでいました。

(たしかに物真似レパートリーはかえてありました)

もともと、深く、静かな語り口でありつつも、たいへん熱いお話をされる先生ではありますが、10日の講義はなんといいますか、さらに深くというか、人間や組織の弱さへの優しい眼差しを感じました。

3月11日の地震/津波/原発事故をはさんで、2011年と2012年では寺澤先生のご講義の内容が少し変わっていた、ということを参加されなかった方のためにお伝えしようと思いました(関心をお持ちいただいた皆様、機会がありましたら寺澤先生の講演会にまた足を運んでください〜)。

寺澤先生をはじめとする ERと被ばく医療に対応という条件を備えた先生方の、震災直後の医療活動は2011年11月19日の朝日新聞「フロントランナー」で紹介されていました。
参照:福島第一原発事故で真っ先に被曝医療にあたった寺沢福井大学教授(blog hatehei666の日記)
「福島原子力発電所事故災害に学ぶー震災後5日間の医療活動から」日本救急医学会誌

そして、若手医師セミナーの講義の最後のスライドで、このときJビレッジでみたある紙の話を説明されていました。

自衛隊の人たちが、ある紙を壁に貼っており、それをよんで寺澤先生がiPhoneで写真をとっていたところ、上司の人が「コピーをとってさしあげなさい!」といい、寺澤先生はそのコピーを手にされました。

--------------------------
吉田茂 総理大臣訓示
君たちは自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり、歓迎されることなく自衛隊を終わるかもしれない。
きっと非難とか中傷ばかりの一生かもしれない。
御苦労だと思う。
しかし、自衛隊が国民から歓迎され ちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡の時とか、災害派遣の時とか、国民が困窮し、国家が混乱に直面している時だけなのだ。
言葉を帰れば、君たちが日陰者である時のほうが、国民や日本は幸せなのだ。
どうか、耐えてもらいたい。
(昭和32年2月 防衛大学校 第一回卒業式)
----------------------------

(感染管理等の話も似ているなあ・・・・と思いながら聞いていました)

被災地支援にいって、何もすることがなかったとき。「何もすることがない、と嘆くのではなく、自分達が活躍するような状況になかった(人々が安全や健康な状態にあった)とを、よかったと思えるようであってほしい」と。

スライドの一番上には「医療での主役は医師ではなく患者と家族」とありました。

よく言われたり書かれている言葉でありますが、それが難しいからくり返されるのであり、主役が自分になってしまう瞬間や場面を寺澤先生がリアルな言葉でたんたんと説明されました。


とりとめない報告ですみません。
今回の講義は、
前半は「めまい、失神、一過性意識障害、片麻痺、意識障害」という、現場ですぐ使える実際的なお話。
後半は「トラブル対応」として、謝罪、家族のケア、ミスをした人/自分のケアのお話でした。

「知識、技術に加えて、それらが未熟なうちに「姿勢」を学ぶといいですよ」
そう、微笑みながら語っておられました。

質問の紙は自ら持ち帰り、回答をつけて送ってくださるとの事でした。
「若い人たちの質問を読むと、次はこういうことをもっと話そう、付け加えよう、という努力ができます」(さらに微笑み)

Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

Trending Articles