Quantcast
Channel: 感染症診療の原則
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

小栗豊子先生のアイデア

$
0
0
ベクトン・ディッキンソン社の血液培養ボトル不足は日本だけでなく、世界的な問題となっています。
日本ベクトン・ディッキンソン社の報告によると今後約3か月間、本製品の製造・出荷が世界的に通常時の50%程度に制限される見込みです。

原因は、原材料であるプラスチックボトルの供給遅延にあり、グローバルなサプライチェーンの問題を示唆しています。その意味では同様に現在、医療現場に深刻な問題を突きつけているEssentialな抗菌薬不足とも通じるものがあります。

いずれにしても、当面、1セットで対処するしかないと思われます。

さて血液培養を複数セットとる理由は3ヶありました。
1.感度がVolume依存性
2.菌血症が間歇的
3.コアグラーゼ陰性ブドウ球菌が生えた時に1セットだけではコンタミか起炎菌かの区別ができない。

1.2.に関しては血液培養装置の感度の向上によって一定程度は対処が可能かも知れませんが、3.については採血部位を複数にする以外に手立てがありません。

それに対してBrilliantなアイデアを与えて下さったのが、順天堂練馬病院の微生物検査室に居られた小栗豊子先生でした。
それは2箇所で採血して、それぞれを1つは好気性、もう1つは嫌気性のボトルに入れるのです。(全部で20ml。各ボトル10mlづつで、)
これでコンタミの問題は解決されるでしょう。表皮ブドウ球菌は、嫌気性環境でも発育可能なため、嫌気性菌用ボトルでも良く増殖します。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

Trending Articles