Quantcast
Channel: 感染症診療の原則
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

5月16日(火)若セミ 水・電解質 by 須藤先生 Q&A

$
0
0
遅くなりましたが、5月16日(火)の若セミ 水・電解質 by 須藤先生のQ&Aを掲載致します。
///////////////////////////////////////////////////

<質問1>
Q.症例3(高張性脱水による高Na血症)の場合、ラシックスの使用はどうしたらよいでしょうか。

<須藤先生ご回答>
高張性脱水による高Na血症は,等張成分の欠乏に加えて真水の欠乏がある状態です。輸液は,等張液(生理食塩液)と真水(5%ブドウ糖液)の補充をおこなうことになります。ラシックスをあえて使用する意味はないと思います。


<質問2>
Q.Na異常の治療中、どのくらいの間隔で電解質チェックをしたらよいでしょうか。


<須藤先生ご回答>
これは,どれ位の速度でNa濃度の変化が起こるかが予想されるか,あるいは見るべきかによって違います。

例えば,重症の意識障害を伴った低Na血症で,3%食塩液を使用しつつ厳密にNa濃度の動きを監視したいときには,ICUに準じたベッドで電解質を2時間おきにチェックすることもあります。
特に,低容量(Hypovolemia)がベースにある低Na血症の補正でNa濃度が急上昇する可能性がある場合(低容量が改善されるとADHの抑制によって急速に低張尿が排泄されることによりおこる)には,頻回に血清Na濃度,尿中Na+Kを測定する必要があります。
逆に,Na濃度の変化がそれほど予想されない慢性の経過でみる場合には,数時間〜6時間とか12時間おき,あるいは1日1回でよい場合もあります。

Na異常の治療と,単純にひとくくりにはできず病態によって違うということです。



<質問3>
Q.急性低ナトリウム血症 (< 48hrs)ではナトリウムの補正スピードが早すぎ ても脱髄は起きないと聞いた事がありますが、私自身は急速補正に伴う脱髄 が怖いのでゆっくり補正しております。入院中に発症した急性低ナトリウム 血症では補正のスピードはあまり気にしなくても良いのでしょうか?


<須藤先生ご回答>
最近のある論文で,ODSはこれまで言われたよりも頻度が低かったという報告があるようです。またNa濃度の補正スピード以外にも誘因があるのではな いかと言われているようです。
また,Na濃度の補正は「低Na血症が起こった時間で元にもどせばよい」とい う言い方をされることがあります。明らかに発症の経過時間がわかっていれ ば,補正スピードが早めでもよいかもしれません。しかしどれくらいの経過 で低Na血症が起こったか分からないことも多いため,私も慎重にゆっくり目 にする方です。
https://evidence.nejm.org/doi/10.1056/EVIDoa2200215

Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

Trending Articles