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Channel: 感染症診療の原則
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ホワイトハウスがPCRの代わりに「BinaxNOW」を使っていたら・・

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トランプ大統領がCOVID-19に罹患し発熱、一時はSaturationも94%以下になって酸素を投与されたが、現在は熱も無く元気でSUVに乗り支援者に手を振る様子がMSNBC、FOX、CNN、などで見られます。CXR、CT、D-dimer、何よりもVital signなど知りたいところですが公表されません。しません。代わりに「大統領の熱は下がりました(Dexamethasone使用後・・)元気です。明日にでもホワイトハウスに退院かも・・」と言ったアナウンスもあったようです。数例のCOVID-19を診ると分かりますが、数日の水平飛行の直後の突然の悪化がHigh risk群(例:高齢+肥満)では珍しくありません。 大統領はこれから心配な時期にはいるのですが、退院の話しですか・・医師団の苦労、苦悩が偲ばれます。
常時、マスクの使用に反対であった大統領周辺にどこまで感染が拡大しているのか・・最後にPCRが陰性であった日時は公表されず、最初にPCRが陽性になった日時についても一度発表後に修正がはいりました。周囲のStaffやFundraisingの人々の曝露を考慮した政治的な判断かも知れません。
無症状でウイルスを拡散している人を簡単に見つける方法が必要です。
Rethinking Covid-19 Test Sensitivity — A Strategy for Containmentという素晴らしい論文がNEJMに載りましたね・・(September 30, 2020)感度が少し劣っても(かえって利用して?)、その安さ(約500円)と簡便さ(綿棒とテスト用カードだけ)、早さ(15分)を利用して感染を拡大させている無症状の人々を片っ端から繰り返し検査・発見していこうというものです。
有症状の症例に対して検査前確率を考えながら行う「診断」ツールならば優れた感度・特異度が大事ですが、「診断」よりは「疫学的スクリーニング」のツールとして用いるのですね・・。陽性であった場合の受診行動、医療体制などの問題はありますが、検査数の抑制よりも積極的なScreeningの可能性を広げるTechnologyだと思います。https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp2025631?fbclid=IwAR0DlMl2xMfWdu0g8_eVq9Cgh1rg8x38MaYGnr4hATIo4vnddoDq4R7Mv9I
私が医療担当であれば大統領とその周辺に毎日BinaxNOWをやってたかも・・まあ、させて貰えなかっただろうけど・・
ワクチンは自然界に存在するProtective Immunity以上のものは期待できませんから、麻疹、風疹のようなワクチンはコロナ(風邪?)には期待できないかも知れないと思います。70点くらいのワクチンが、それでも弱者には80点以上の効果を挙げて、更にHIV感染症の時のように優れた抗ウイルス薬がワクチンを補完出来るようになれば良いと思います。それまではHammer & Danceをアシストする早期発見ですね。
そう言えば、大統領が入院前に投与された(ウイルスのスパイクに対する)モノクローナル抗体(Regeneron)は、HIV感染症を「死の病」から「天寿を全うできる感染症」に変えた抗ウイルス薬(プロテアーゼ阻害剤+カクテル)の開発者David Ho先生の研究成果だったと思います。


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