3−5月の混乱期に苦しみながらも学んだことも多かったので、6−8月は臨床での対応は(余計な苦労はまだ続いていたとしても)改善された、というか空気もだいぶ変わった。
8月末の安倍総理の会見の中にもあったように、すでに「未知のウイルス」でもないSARS-CoV-2は、「指定感染症/実際のところを1−2類"的な"対応」から、通常のカテゴリーの中に位置付けたりそこでの対応をどうするかという検討のフェーズに入っている。
8/19の中医協の資料には、いくつかの時限的なコロナの加算は9/30まで(案)と記載がある。疫学的にも制度的にも空気的にもコロナ対応は転換期を迎えている日本。
8月末から少しコロナの状況も落ち着いてきたこのタイミングで、これまでの課題を整理して今後に備えるチャンスなのだが、ここへきて現場の負担を増やし混乱させる問題が生じている。
HER-SYSとCoCoAだ。ちょうど1ヶ月前に このブログ記事でも
eSARS A-net そしてHER-SYSで紹介したことの「その後」的な話であるので、最近の事情を含めて紹介する。
まず、HER-SYSは、法律に基づいて行われていたこれまでの感染症発生動向調査とは異なる内容が含まれているが、同じだから大丈夫!的な説明をしているひとがいる。何か誤解しているのだろう。
いろいろあるが、問題の一つは先日IDATENのメーリングリストで指摘されていた、感染していない、つまり検査結果が陰性の人もこのシステムに個人特定情報を入力するということだ。「疑似症」の問題である。
(漏れたり失敗した時の制裁がハンパない案件なので、そもそも個人情報をぞんざいに扱う人を危機管理チームにいれないほうがいいし、勉強しない人をリーダーにしないほうがいい。全滅になるリスクがある)
疑似症の発生届をしたことがない医師にとってはなぜなのかわからないし(そもそも誰からも説明をうけていない)、膨大な検査数の分を誰が入力するのかという話があるなかで、根拠も目的も不明という恐ろしい話である。
(各医療機関からFAXがどんどのきたら保健所機能はますますヤバくなる)
またまた〜冗談でしょ、と最初から出していない人もいる。そのうち終わる祭りでしょ? と思われている。それくらい辻褄があわなくなっている。
確認するといっても厚労省がたくさん出している事務連絡のどこに根拠があるのか、探すだけでも現場にとっては大きな負担だ。検索しても見つけにくいし、似たような文書がいろいろあって、どの日付が最新なのかは見比べないとわからない。はっきりいって苦行である。
そもそも何にこの情報を使うのか明確に説明できなければ、自治体の個人情報保護審査会は通らないだろうと当初から詳しい人たちが指摘をしていたので、「通すことをあきらめた」ところは、保護審にかけもしなかったし、審査会には出したけど審議をさせずに「報告」ですませたところもある。
そもそも「保護審って何?」とかいう議員とか担当者がいたりするのだから、そんなの知らないよという医療者がいても別にかまわない(今回学べばいいんじゃないかな!青木編集長も全く知らないよ!)。なんだか知らない人たちのところでは、厚労省がやれっていっているからいいじゃね?的にやっていいと思っている人たちがいる。(そもそも個人情報の総元締めは総務省である。保健所も厚労省ではなくて自治体のマターである)
手続きを踏む・議事録を残すとか、管理責任者をおく、破綻した際の即時対応法を決めておくということはすべてのガバナンスで最も重要視されているので、このあたりをチャラくするということは、結果的に事故がおきたときに自分たちを守る砦を自ら壊しているのである。が、それに気づいていないという怖い状況があるわけだ。気になったら地域の個人情報保護審議会の開催日程・議案書・議事録をみることをお勧めする。大切な友人がそんなところで働いていて責任をとらされそうなら助言もしたほうがいいだろう。
今回、このような人災の最中に医療者がおかれている原因のひとつが接触者アプリCoCoAである。なので、記事のタイトルはココア禍にした。
これについては、わかりにくい通知が届くことや、日本語が不親切(不安を煽る)といったこと以前に、そもそも最初から検査をすることにはなっていなかったのに、誰かが途中で検査につなげたために誤解が生じている。
「CoCoAで通知がきたら誰でも無料で検査ができる」
と誤解をさせたのは、議員がそのようなSNS発言をしたり、山梨県のように全員PCR検査しますとうたっている自治体があるためなのだが、大変な業務負荷の中にある保健所をこのスキームに巻き込み(そんなこと聞かされていなかった)、さらに受診者に対して、この通知の意味はですねえ・・・とかナースががアプリの説明までしなくてはいけないというおかしな状況になっている。
これまでの経緯はCoCoA問題を救うために立ち上げられたサイトに詳しいのでそちらを参照されたい。本体そのものの問題はこちら。
あくまで医療機関は症状があって、他の病気との鑑別をして、最適な医療を提供するためのところであって、「通知が来たから検査してほしい」人たちの対応をするのに適したところではない。他の業務に差し障るので負荷をこれ以上かけないでほしい。
「行政検査」枠での検査ができるとしても、その手続きや説明が煩雑であるし、検査は無料だが、初診料やトリアージ料の自己負担が発生するが「誰でも無料!」と思って来た人から「払いたくない」と言われて会計のところで何十分も説明する、ヒートアップして困るという、これまた誰得だかわからない苦行の風景がある。
「拍手はいらないから、ふつうの医療をさせてくれ」
3月に各地の医師らが、疲れたなかで呟いていた言葉は9月の今もくりかえされている。
保健所も陽性者の入院やホテル調整、濃厚接触者調査などの対応をしているところに、「アプリで連絡がきたんですけどー」「でもその日は自宅にいて誰とも会ってなくってー」「外出はゴミ出しだけですね」「あまり歩いていなくて、一番遠くて自宅のトイレ」といった問い合わせに、そのそもこのアプリとはから説明をせざるをえなかったり電話が塞がり、また「誰でも無料!っていっているのに嘘つき!うったえるぞ!」といったクレーム対応までさせられている。
今回、最前線で頑張っている人たちが、このあと「もうやだ」と去ったり病んだりしたら大きな損失だ。またそんなところに新しい人たちはきてくれないかもしれない。ただでさえ公衆衛生医の確保は大変なのに。
たとえば14日前の通知でも無料で検査したい!という人たちは、医療機関や保健所が対応するような案件ではないので、ココア専用ホットラインで、ココアアプリ通知者のためのお手軽検査キット&回収センターが、オンラインで完結するような仕組みまで作りこめばよかったのではないか。
保健所の人員不足を補うための案として、潜在保健師のデータベースを作るという案があがっているそうだが、鼻から牛乳的なアイデアである。
保健所に丸投げしている案件を減らすのが先に決まっているだろう。
高齢者施設等の職員と入居者の一斉検査・定期検査という事務連絡も出たが、保健所以外のところでやるように!
そんな悲惨な現場に行きたいどMな人もいなくはないが、看護師や保健師にしても現場を去る理由や戻らない理由があるのであって、条件や環境をかえずに誰かが来てくれると思っている時点で終わっている。
ということで、コロナ禍ではなくてココア禍が改善される必要がある。
IDATENメーリングリストで指摘されていたのは、検査をする人(陰性であっても)HER-SYSに入力する 疑似症扱い問題である。
当然のことながら、自治体や医療機関から「おかしくないか?」「ほんとか?」という疑問の声はあがっている。そして、医療機関から「必要ですか?」と問い合わせた時の回答が保健所や自治体で異なることが混乱をさらに大きくしている。
別にいいんですよ。これに限らず自治体ごとに対応は違っても。事務連絡は法律ではない。お願いなのだから、と弁護士がいう。地域の事情を勘案するように最初からなってる。
それで不具合があるなら必要な法整備をすればいい。今回このことがクローズアップされてるので、オンラインセミナーなどでも感染症と法律をテーマにしたものが増えている。
何をお願いされてるか。まず、5月29日の事務連絡に基本事項が書いてある「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS) を活用した感染症発生動向調査について」
陰性でもHER-SYSに入力してね、といっている。
8月21日にでた事務連絡は28ページもある。ページ数もふり忘れているので慌てて作って出したのかもしれない。そのページ数をみただけで閉じてしまった人が多いかもしれないが、まずその通知が「誰に」(自治体)に、何をしてほしいかは1ページ目の最後に書いてあるのが通常。
"引き続き、本アプリで通知を受けて検査の受診を案内された方が、迅速に検
査を受けられるよう、検査機関、関係者との調整・連携の上、必要な体制を整備していただくようお願いいたします。"
この関係者に医療関係者も入るのだろう。
8月21日は金曜日である。メディアが報じて「やったー!無料で誰でも検査うけられるって❤️」ともりあがっているところ、お役所は本来おやすみだし、病院も機能はしているが事務的な対応は平日のようにはいかない。
ハイテンションの問い合わせ者に、気持ちも情報も噛み合わない医療者が対応して揉め事になる。そもそも法律でもなんでもない、事務連絡は「おねがい」でしかない。
しかし、すごいことが書いてある。
「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)で通知を受けた者に対する
行政検査等について」
1つめの擬似症患者
接触確認アプリで通知を受けた者のうち有症状の者
(有症状であり、新型コロナウイルス感染症の 鑑別を要したもの)
2つめの擬似症患者
接触確認アプリで通知を受けた者のうち無症状の者
(医師が新型コロナウイルス感染症を疑うもの)
無症状の疑似症患者・・・
そして、無症状で濃厚接触者じゃないけど医師が感染を疑うに足りる正当な理由があるもの😧 ・・・って何・・・。
もう書いている人たちもやけくそなのか、よくわからない人に書かせているのか想像も難しくなってきた。
で、(くどいけど)IDATENのメーリングリストの質問にもどると、これは疑似症としてHER-SYSに入力する対象ということだ。
インターネットに個人名や電話番号、濃厚接触者情報まで、個人情報をそのまま入れることじたい、おいおい本当に大丈夫なのかよなのに、検査で陰性の人の情報までいれていいか?
よくわからない通知、よくわからない接触歴、無症状だけど検査して入力せよ?もうわかんないよ!誰か助けて。。。。と各地でお困りの人が増えている。
ところで、全員無料とは厚労省は書いていない。保健所や医師が判断する余地があると書かれている。でも、問い合わせをしてくる人たちは全員無料だと思っている。
誰がやるんですか?いつまでやるんですか?
誰にもいいことがなく、現場の負担がどんどん増え、(予算がどれだけあるのかしらないけど)バンバンお金使って、気づいたらいろいろなものを失っていて、次世代に多大なるご迷惑をおかけし・・・ということを早くやめたいですね。
いつの時代も頭のいい人たちはいて、やめたほうがいいんじゃないかなあ、変えた方がいいんじゃないかなあ・・・って言ってくれている。だから今回も、数ヶ月前から今にいたるまで、あちこち働きかけているひともいる。それでうまくいくなら戦争もなかっただろうし、たくさんの犠牲もなかっただろうし、そんなに単純な話じゃない。メンツが、予算が、もうはじまっちゃったし・・・そんななかでも組織や部下を守った人たちも実際にはいた。
戦争の末期の頃だってきっと、神風が吹くのだ!戦えといわれても、あー無理無理、この後の準備はじめなきゃ、って賢い人たちは動いていたわけで。この後を闘う余力を温存しないといけない。消耗を短期間・最小限にとどめよう。
いつかは終わる。頭のいい人たちは実際いるから。絶望はしなくても大丈夫。
空気と戦争 (文春新書)
猪瀬 直樹文藝春秋
昭和16年夏の敗戦 新版 (中公文庫)
猪瀬直樹中央公論新社
8月末の安倍総理の会見の中にもあったように、すでに「未知のウイルス」でもないSARS-CoV-2は、「指定感染症/実際のところを1−2類"的な"対応」から、通常のカテゴリーの中に位置付けたりそこでの対応をどうするかという検討のフェーズに入っている。
8/19の中医協の資料には、いくつかの時限的なコロナの加算は9/30まで(案)と記載がある。疫学的にも制度的にも空気的にもコロナ対応は転換期を迎えている日本。
8月末から少しコロナの状況も落ち着いてきたこのタイミングで、これまでの課題を整理して今後に備えるチャンスなのだが、ここへきて現場の負担を増やし混乱させる問題が生じている。
HER-SYSとCoCoAだ。ちょうど1ヶ月前に このブログ記事でも
eSARS A-net そしてHER-SYSで紹介したことの「その後」的な話であるので、最近の事情を含めて紹介する。
まず、HER-SYSは、法律に基づいて行われていたこれまでの感染症発生動向調査とは異なる内容が含まれているが、同じだから大丈夫!的な説明をしているひとがいる。何か誤解しているのだろう。
いろいろあるが、問題の一つは先日IDATENのメーリングリストで指摘されていた、感染していない、つまり検査結果が陰性の人もこのシステムに個人特定情報を入力するということだ。「疑似症」の問題である。
(漏れたり失敗した時の制裁がハンパない案件なので、そもそも個人情報をぞんざいに扱う人を危機管理チームにいれないほうがいいし、勉強しない人をリーダーにしないほうがいい。全滅になるリスクがある)
疑似症の発生届をしたことがない医師にとってはなぜなのかわからないし(そもそも誰からも説明をうけていない)、膨大な検査数の分を誰が入力するのかという話があるなかで、根拠も目的も不明という恐ろしい話である。
(各医療機関からFAXがどんどのきたら保健所機能はますますヤバくなる)
またまた〜冗談でしょ、と最初から出していない人もいる。そのうち終わる祭りでしょ? と思われている。それくらい辻褄があわなくなっている。
確認するといっても厚労省がたくさん出している事務連絡のどこに根拠があるのか、探すだけでも現場にとっては大きな負担だ。検索しても見つけにくいし、似たような文書がいろいろあって、どの日付が最新なのかは見比べないとわからない。はっきりいって苦行である。
そもそも何にこの情報を使うのか明確に説明できなければ、自治体の個人情報保護審査会は通らないだろうと当初から詳しい人たちが指摘をしていたので、「通すことをあきらめた」ところは、保護審にかけもしなかったし、審査会には出したけど審議をさせずに「報告」ですませたところもある。
そもそも「保護審って何?」とかいう議員とか担当者がいたりするのだから、そんなの知らないよという医療者がいても別にかまわない(今回学べばいいんじゃないかな!青木編集長も全く知らないよ!)。なんだか知らない人たちのところでは、厚労省がやれっていっているからいいじゃね?的にやっていいと思っている人たちがいる。(そもそも個人情報の総元締めは総務省である。保健所も厚労省ではなくて自治体のマターである)
手続きを踏む・議事録を残すとか、管理責任者をおく、破綻した際の即時対応法を決めておくということはすべてのガバナンスで最も重要視されているので、このあたりをチャラくするということは、結果的に事故がおきたときに自分たちを守る砦を自ら壊しているのである。が、それに気づいていないという怖い状況があるわけだ。気になったら地域の個人情報保護審議会の開催日程・議案書・議事録をみることをお勧めする。大切な友人がそんなところで働いていて責任をとらされそうなら助言もしたほうがいいだろう。
今回、このような人災の最中に医療者がおかれている原因のひとつが接触者アプリCoCoAである。なので、記事のタイトルはココア禍にした。
これについては、わかりにくい通知が届くことや、日本語が不親切(不安を煽る)といったこと以前に、そもそも最初から検査をすることにはなっていなかったのに、誰かが途中で検査につなげたために誤解が生じている。
「CoCoAで通知がきたら誰でも無料で検査ができる」
と誤解をさせたのは、議員がそのようなSNS発言をしたり、山梨県のように全員PCR検査しますとうたっている自治体があるためなのだが、大変な業務負荷の中にある保健所をこのスキームに巻き込み(そんなこと聞かされていなかった)、さらに受診者に対して、この通知の意味はですねえ・・・とかナースががアプリの説明までしなくてはいけないというおかしな状況になっている。
これまでの経緯はCoCoA問題を救うために立ち上げられたサイトに詳しいのでそちらを参照されたい。本体そのものの問題はこちら。
あくまで医療機関は症状があって、他の病気との鑑別をして、最適な医療を提供するためのところであって、「通知が来たから検査してほしい」人たちの対応をするのに適したところではない。他の業務に差し障るので負荷をこれ以上かけないでほしい。
「行政検査」枠での検査ができるとしても、その手続きや説明が煩雑であるし、検査は無料だが、初診料やトリアージ料の自己負担が発生するが「誰でも無料!」と思って来た人から「払いたくない」と言われて会計のところで何十分も説明する、ヒートアップして困るという、これまた誰得だかわからない苦行の風景がある。
「拍手はいらないから、ふつうの医療をさせてくれ」
3月に各地の医師らが、疲れたなかで呟いていた言葉は9月の今もくりかえされている。
保健所も陽性者の入院やホテル調整、濃厚接触者調査などの対応をしているところに、「アプリで連絡がきたんですけどー」「でもその日は自宅にいて誰とも会ってなくってー」「外出はゴミ出しだけですね」「あまり歩いていなくて、一番遠くて自宅のトイレ」といった問い合わせに、そのそもこのアプリとはから説明をせざるをえなかったり電話が塞がり、また「誰でも無料!っていっているのに嘘つき!うったえるぞ!」といったクレーム対応までさせられている。
今回、最前線で頑張っている人たちが、このあと「もうやだ」と去ったり病んだりしたら大きな損失だ。またそんなところに新しい人たちはきてくれないかもしれない。ただでさえ公衆衛生医の確保は大変なのに。
たとえば14日前の通知でも無料で検査したい!という人たちは、医療機関や保健所が対応するような案件ではないので、ココア専用ホットラインで、ココアアプリ通知者のためのお手軽検査キット&回収センターが、オンラインで完結するような仕組みまで作りこめばよかったのではないか。
保健所の人員不足を補うための案として、潜在保健師のデータベースを作るという案があがっているそうだが、鼻から牛乳的なアイデアである。
保健所に丸投げしている案件を減らすのが先に決まっているだろう。
高齢者施設等の職員と入居者の一斉検査・定期検査という事務連絡も出たが、保健所以外のところでやるように!
そんな悲惨な現場に行きたいどMな人もいなくはないが、看護師や保健師にしても現場を去る理由や戻らない理由があるのであって、条件や環境をかえずに誰かが来てくれると思っている時点で終わっている。
ということで、コロナ禍ではなくてココア禍が改善される必要がある。
IDATENメーリングリストで指摘されていたのは、検査をする人(陰性であっても)HER-SYSに入力する 疑似症扱い問題である。
当然のことながら、自治体や医療機関から「おかしくないか?」「ほんとか?」という疑問の声はあがっている。そして、医療機関から「必要ですか?」と問い合わせた時の回答が保健所や自治体で異なることが混乱をさらに大きくしている。
別にいいんですよ。これに限らず自治体ごとに対応は違っても。事務連絡は法律ではない。お願いなのだから、と弁護士がいう。地域の事情を勘案するように最初からなってる。
それで不具合があるなら必要な法整備をすればいい。今回このことがクローズアップされてるので、オンラインセミナーなどでも感染症と法律をテーマにしたものが増えている。
何をお願いされてるか。まず、5月29日の事務連絡に基本事項が書いてある「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS) を活用した感染症発生動向調査について」
陰性でもHER-SYSに入力してね、といっている。
8月21日にでた事務連絡は28ページもある。ページ数もふり忘れているので慌てて作って出したのかもしれない。そのページ数をみただけで閉じてしまった人が多いかもしれないが、まずその通知が「誰に」(自治体)に、何をしてほしいかは1ページ目の最後に書いてあるのが通常。
"引き続き、本アプリで通知を受けて検査の受診を案内された方が、迅速に検
査を受けられるよう、検査機関、関係者との調整・連携の上、必要な体制を整備していただくようお願いいたします。"
この関係者に医療関係者も入るのだろう。
8月21日は金曜日である。メディアが報じて「やったー!無料で誰でも検査うけられるって❤️」ともりあがっているところ、お役所は本来おやすみだし、病院も機能はしているが事務的な対応は平日のようにはいかない。
ハイテンションの問い合わせ者に、気持ちも情報も噛み合わない医療者が対応して揉め事になる。そもそも法律でもなんでもない、事務連絡は「おねがい」でしかない。
しかし、すごいことが書いてある。
「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)で通知を受けた者に対する
行政検査等について」
1つめの擬似症患者
接触確認アプリで通知を受けた者のうち有症状の者
(有症状であり、新型コロナウイルス感染症の 鑑別を要したもの)
2つめの擬似症患者
接触確認アプリで通知を受けた者のうち無症状の者
(医師が新型コロナウイルス感染症を疑うもの)
無症状の疑似症患者・・・
そして、無症状で濃厚接触者じゃないけど医師が感染を疑うに足りる正当な理由があるもの😧 ・・・って何・・・。
もう書いている人たちもやけくそなのか、よくわからない人に書かせているのか想像も難しくなってきた。
で、(くどいけど)IDATENのメーリングリストの質問にもどると、これは疑似症としてHER-SYSに入力する対象ということだ。
インターネットに個人名や電話番号、濃厚接触者情報まで、個人情報をそのまま入れることじたい、おいおい本当に大丈夫なのかよなのに、検査で陰性の人の情報までいれていいか?
よくわからない通知、よくわからない接触歴、無症状だけど検査して入力せよ?もうわかんないよ!誰か助けて。。。。と各地でお困りの人が増えている。
ところで、全員無料とは厚労省は書いていない。保健所や医師が判断する余地があると書かれている。でも、問い合わせをしてくる人たちは全員無料だと思っている。
誰がやるんですか?いつまでやるんですか?
誰にもいいことがなく、現場の負担がどんどん増え、(予算がどれだけあるのかしらないけど)バンバンお金使って、気づいたらいろいろなものを失っていて、次世代に多大なるご迷惑をおかけし・・・ということを早くやめたいですね。
いつの時代も頭のいい人たちはいて、やめたほうがいいんじゃないかなあ、変えた方がいいんじゃないかなあ・・・って言ってくれている。だから今回も、数ヶ月前から今にいたるまで、あちこち働きかけているひともいる。それでうまくいくなら戦争もなかっただろうし、たくさんの犠牲もなかっただろうし、そんなに単純な話じゃない。メンツが、予算が、もうはじまっちゃったし・・・そんななかでも組織や部下を守った人たちも実際にはいた。
戦争の末期の頃だってきっと、神風が吹くのだ!戦えといわれても、あー無理無理、この後の準備はじめなきゃ、って賢い人たちは動いていたわけで。この後を闘う余力を温存しないといけない。消耗を短期間・最小限にとどめよう。
いつかは終わる。頭のいい人たちは実際いるから。絶望はしなくても大丈夫。
空気と戦争 (文春新書)
猪瀬 直樹文藝春秋
昭和16年夏の敗戦 新版 (中公文庫)
猪瀬直樹中央公論新社