早速、林先生から昨夜のセミナーに関するQ&Aを頂きました。↓↓//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
① 質問者 : 医師 内科 50代
質問内容 : 今の症例は、PR間隔がやや長く、症状のわりに心拍数が少ないようです。
ACSだとしたらRCAの可能性を考えるかもしれませんが、心電図でST変化がわからなければ、大動脈解離を考えてCTを撮りに行く施設もあるかもしれません。心エコーも有用かもしれませんが、心電図を再度とる他に、エコーやCTをすることについてはいかがでしょうか。
質問ありがとうございます。臨床に強い先生のご質問と思い感謝いたします。症例がどれかわからないため、適切な回答になっていなかったらすみません。
実際は胸痛の場合、ACS、Ao解離、肺塞栓は同時に検索していくことが多いため、ご指摘通りと存じます。ECGを繰り返しとる間には、超音波を同時に行っています。CTにすぐに行くかどうかは施設の慣れや特性が関係してくるものと思います。CTは造影剤を使うためややハードルが高くなります。CTでも大動脈解離も完全に否定できません(intramural hematomaなど)。
一番大事なのは検査ではなく病歴と身体診察、そしてフォローアップであると考えます。本来なら詳細な病歴や身体所見から診療を進めます。多くの場合ご指摘の診療の流れと存じます。ご指摘通りACSのみ狙ってAo解離など見逃されている例が散見されており、私も危惧しております。一方病歴をきちんと聞いたうえで検査を行うべきなので、胸痛だからCTへすぐ行くというそれほど単純なものでもないと理解しております。今回病歴として詳細なものを提示することができなかったため、臨床のアプローチまで議論できないものになっていると愚考します。すみませんでした。
一方、今回の主旨はECGの解釈にフォーカスしたものなので話を広げると焦点がずれてしまうと愚考し極力省略していますので、ベテランの先生には言葉足らずのプレゼンになったものと考えます。どうぞお許しください。的確なご指摘ありがとうございます。
② 質問者 : 医師 内科 50代
質問内容 : 心電図で急性心筋梗塞と診断してもトロポニン検査はされますか?
また定量検査値を診断の助けにすることはありますか?
ご質問ありがとうございます。はい、トロポニン検査をします。
AMI mimicsの ECGはありえます。Reciprocal changeがあればほぼAMIで間違いないですが、Ao解離ではreciprocal changeがでることがあります。
反対にトロポニンはAo解離や肺塞栓でも上昇することがあるので、ECGもトロポニンも必ずしもどちらか一方の方が優位であるとは言い難いです。
STEは大動脈解離、肺塞栓、電解質異常(K)、消化器疾患(食道疾患、膵炎、胆道系疾患)、肺疾患、Brugadaなど多数報告がありますので、前壁AMI(reciprocal changeなしの場合)はトロポニン値を確認します。
定量検査は診断の助けになりますが、現在各社においてカットオフ値(99%)が異なるため、定量値による判断は現場ではわかりにくく混乱があるのは否めません。高感度トロポニンは1時間(0/1 h protocol)で問題なければ95-98%否定できるため除外の助けになります(Europ Heart J 37: 267–315, 2016)。世界的にもどの時間までフォローアップし、どの会社の検査キットのカットオフ値が信頼できるかについてはまだ結論がでておらず、様々な論文がでています。ACSの頻度が北米とは明らかに少ない日本ではまだ独自のプロトコールで何時間のフォローが正しいのかはわかっていないと思います(現在研究中の先生方がいらっしゃいますので結果に期待しています)。したがって若手の先生達にはこの辺り(トロポニン)はルーチンにしていただく方が安全かと考えます。
③ 質問者 : 医師 感染症科医 20代
質問内容 : 些細な質問ですが,後壁梗塞を疑ってV7-9を撮る際にどのリードを使用すれば良いでしょうか?
連続性を考えるとV4-6は残してV1-3で撮影でしょうか?
ご質問ありがとうございます。ご指摘通りV1-6をそのままずらして、V4-9という形でとるとできあがりがきれいです。しかしながら急いでいるときはそのままV4-6をV7-9に貼ってしまうこともあります。