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Channel: 感染症診療の原則
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第4回 若手医師セミナー(青木編集長) Q&A

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第4回 編集長の若手医師セミナー Q&A (2017年8月18日)

質問者 : 研修医 25歳
質問内容 : K.peumoniaeの第一選択薬は何でよろしいですか。
回答:原則の軸、4ヶのうちK.pneumoniaeという原因微生物の固有名詞が決まっているので、後は、この菌が「どの臓器・解剖にいるか?」がAgendaになりますね。青木はAmpicillinに対して自然耐性である事、ESBL産生株であるか、CREであるか、中枢神経系の移行性などを考えて選ぶようにしています。また膿瘍形成といった抗菌薬の移行が期待できない解剖も考えるようにしています。


質問者 : 老年病科 30代
質問内容 : 療養型の透析病院で月1バイトしています.
高齢者の医療介護関連肺炎 (かなり抗菌薬も過去にPIPC/TAZなどを沢山使われている状況) の場合なかなか固有名詞で菌を挙げることが難しく困っています.
考え方につきご教示いただけましたら幸いです.
回答:透析にいたる腎不全のかなりの部分は糖尿病によるもので、このような症例は原因微生物の固有名詞を「推測」しようとすると危険な患者が多いですね。Broad Spectrumの抗菌薬の使用の既往があれば、なおさら難しいですね。このような場合には「推測」よりも微生物の「名称」と「感受性」を担保するための(一般細菌と抗酸菌に対する)染色や培養が重要だと思います。勿論、施設のLocal factor(頻繁に検出される微生物名と、その感受性)が判明していれば参考になると思います。療養型施設で染色も培養も難しければ、申し訳ありませんが妙案が浮かびません。私事で恐縮ですが、91歳の父が老健施設で亡くなる前の一年間、尿路感染症や肺炎を繰り返した時の対処方法は、とても参考にして頂けるようなものではありませんでした。


質問者 : 医師 内科 50代
質問内容 : 耐性菌問題は可逆的とのことですが、どのくらいのアクションが必要で、どのくらいの期間が必要なのでしょうか。アクションプランでは、3GCやLVFXなどの広域抗菌薬の使用率が50%減少という目標が出ていますが、その結果はどのくらいで現れるのでしょうか。
回答:臨床医としては、できる限りのアクションを、いつまでも続ける事が重要だと思います。言い換えれば、可能な限り「感染症診療の原則」を守り続ける事と同義です。そしてアクション開始前から疫学的な観察が施設規模でも、地域規模でも用意されており、アクションの効果が測定できる仕組みが準備されている事が望ましいですね。結果が出るスピードやパターンは、施設や地域の特殊性によりCase by caseであると思います。


質問者 : 医師 内科 50代
質問内容 : 細菌感染症は改善か悪化ということですが、ウイルスや真菌感染症はいかがでしょうか。
回答:抗酸菌感染症や真菌感染症は動きが遅いので、(お話したような速度では)「改善か悪化」の判断が難しいと思いますが、問題の臓器が1つで、病態の主体が感染症だけならば、一歩下がってBig pictureを見ると多少は「改善か悪化」のルールが使えるかも知れません。ウイルス性の場合にも、ある程度「改善か悪化」のルールが使えると思います。しかし傷害されている臓器の種類や、ウイルス感染症以外の病因・病態(例:二次性の細菌感染症やARDS)が複数あるような場合判断に困る事もあるかも知れません。その場合には「改善か悪化」のルールよりも、治療のPrincipleでお話したように、生検などで病因を可能な限り厳密に決定して治療をしっかりと完了する事が大事であると思います。


質問者 : 医師
質問内容 : 抗菌薬の強さは皆同じ。
よく言っていただきました。ありがとうございます。

回答:こちらこそ、ありがとうございます。

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