日本語では疾病啓発、疾病喧伝と訳されるDisease mongering。
医薬品や薬事情報に詳しいブログの2012年7月の記事の解説から学びましょう。
アポネットR研究会 日本における Disease Mongering
"「病気づくり」「疾患喧伝」「病気の売り込み行為」などさまざまな和訳がありますが、簡単に言うと、「診断されていない疾病について、生活者が気づくのを助けるというメディアなどを通じての広告のキャンペーン」のことを指します"
Wikipediaや関連書籍を見ますと、これをやるのは製薬会社はもちろん、専門団体、消費者/患者団体などもならびます。病気をつくることで利益を得る人/組織は複数あるんですね。利益も売り上げばかりじゃなく、研究費をたくさんもらえる、基金を作れる、
○○病、○○症候群と名前や認知を受けて支援が整うこともあります。
救われたという人もいますし対行政交渉をできるようになった、ということもあります。
そもそも誰が「それは病気だ」と決めるのかですが、意図的か利用されてかはさておきメディアが大きく扱ったり繰り返し使われることがそのプロセスにあります。
となると、つくりたければメディアがとりあげやすい数値(研究成果)を出していく、ストーリー(被害、つらい、がんばっている)や画像/映像を提供していく、という手法が重要になります。
「こんなにつらい○○」
「あなたにはわからなくても私は困っているんです」
つらい、困っているという量的評価が難しく外側から評価が難しいものは、「たいしたことないでしょう」と周囲は言いにくい。
極端になると「わかってくれない人は優しくない、寄り添っていない、ヒドい」とまで言われたり。
疫学データよりもインパクトのある「ナラティブ最強!」な話になっていきます。
保険の宣伝でも体験談はよくつかわれます。
それが「悪い」ということではありません。
Directo to Consumerのためには企業も専門家も学会も患者団体も似たようなことをするという話。
そのmongeringですが。
そういえばアレとかアレとかアレかな? と思いつくものがありませんか?
編集部内で禁断の話題のひとつ、、、の話もそうです。
編集長が編集部員Bにお土産として依頼した某ローション。
編集部員Aに「それ病気?」「そんなの効果あるのか」と冷たい視線を向けられていたころ、TVでは「お医者さんに相談だぁ♪」という楽しげな音楽にのせて製品のHPにアクセスさせるCMが報じられていました。
その影響で飲むか飲まないかの会話がはじまります。
米国ではテレビコマーシャルで商品名を連呼したりそれが効くよとアピールできます。
日本では○○に効果がある薬○○とはいえないので、間接的にそれを理解させて、医師に相談しましょう〜と誘導するCMになります。
禁煙のための治療薬も「私がお医者さんです」という形で宣伝をしています。
製薬会社の宣伝は全て許せん!とご立腹の人もいれば、この禁煙の薬に着いては病気として認知することで依存から快復するきっかけを持てる、根性論の限界を超えられる、個人の健康としても公衆衛生としても意味があるじゃないかと前向きに語る人もいます。
(極端じゃない、の例)
手法としてはルールの範囲内ですので、これが違法だとかマズいだろうということではありません。
しかし、最近は違法じゃないならなんでもいいのか、という批判も受けます。
製薬会社が新薬をプロモートする際のプレゼン資料への厳しいチェックがはいったり。
情報をいろいろな角度から眺めたり時系列でプロモーション情報を整理すると見えるものがあるかもしれませんね。
以下、参考情報。
このDisease Mongeringが広く認知されはじめたのは2006年頃からとのことで、日本でも2006年から紹介されています。
Ray Moynihan
2002年4月 BMJ Selling sickness: the pharmaceutical industry and disease mongering
2006年5月 薬害オンブズパーソン 疾病啓発キャンペーンが健康人を病人に変える
2006年 Listerine’s Long Shadow: Disease Mongering and the Selling of Sickness
The Fight against Disease Mongering: Generating Knowledge for Action
PLoS Med. 2006 Apr; 3(4): e191.
2010年 A Decade of Controversy: Balancing Policy With Evidence in the Regulation of Prescription Drug Advertising
Am J Public Health. 2010 January; 100(1): 24–32.
もっともMongeringするのは巨大企業ばかりでもなく。
Pseudo scienceによるRisk Mongering Fear Mongeringも紹介されています。例:ワクチンやオーガニック●●の記事。
2014年3月 “WHAT’S THE HARM”: The Body Count of Pseudoscience
2015年3月 Fear vs. Fact: The Modern Anti-Vaccination Movement
2015年4月 Reporting on quacks and pseudoscience: The problem for journalists
2015年4月 New study overturns yet another anti-vaccine talking point
2015年9月 20 reasons why you should not support the organic food
2016年2月 The Inherent Dangers of the Anti-Vaccination Movement
いずれにしても極端な物言いには注意が必要で、
誠実にコミュニケーションを取っている人は誰なのか。間違った情報を修正していける機関はどこか。
どこから(誰から)発信されているのかを見極めていきたいとおもいます。
(あ、頭にローション塗るのは個人の選択です)
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怖くて飲めない!―薬を売るために病気はつくられるヴィレッジブックス
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Selling Sickness: How the World's Biggest Pharmaceutical Companies Are Turning Us All Into PatientsNation Books
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Disease-Mongers: How Doctors, Drug Companies, and Insurers Are Making You Feel SickWiley
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Sex, Lies, and Pharmaceuticals: How Drug Companies Plan to Profit from Female Sexual DysfunctionGreystone Books
2013年 TEDxByronBay - Ray Moynihan - Too Much Medicine
Bad Scienceの著者 The Medicalisation of Everyday Life
医薬品や薬事情報に詳しいブログの2012年7月の記事の解説から学びましょう。
アポネットR研究会 日本における Disease Mongering
"「病気づくり」「疾患喧伝」「病気の売り込み行為」などさまざまな和訳がありますが、簡単に言うと、「診断されていない疾病について、生活者が気づくのを助けるというメディアなどを通じての広告のキャンペーン」のことを指します"
Wikipediaや関連書籍を見ますと、これをやるのは製薬会社はもちろん、専門団体、消費者/患者団体などもならびます。病気をつくることで利益を得る人/組織は複数あるんですね。利益も売り上げばかりじゃなく、研究費をたくさんもらえる、基金を作れる、
○○病、○○症候群と名前や認知を受けて支援が整うこともあります。
救われたという人もいますし対行政交渉をできるようになった、ということもあります。
そもそも誰が「それは病気だ」と決めるのかですが、意図的か利用されてかはさておきメディアが大きく扱ったり繰り返し使われることがそのプロセスにあります。
となると、つくりたければメディアがとりあげやすい数値(研究成果)を出していく、ストーリー(被害、つらい、がんばっている)や画像/映像を提供していく、という手法が重要になります。
「こんなにつらい○○」
「あなたにはわからなくても私は困っているんです」
つらい、困っているという量的評価が難しく外側から評価が難しいものは、「たいしたことないでしょう」と周囲は言いにくい。
極端になると「わかってくれない人は優しくない、寄り添っていない、ヒドい」とまで言われたり。
疫学データよりもインパクトのある「ナラティブ最強!」な話になっていきます。
保険の宣伝でも体験談はよくつかわれます。
それが「悪い」ということではありません。
Directo to Consumerのためには企業も専門家も学会も患者団体も似たようなことをするという話。
そのmongeringですが。
そういえばアレとかアレとかアレかな? と思いつくものがありませんか?
編集部内で禁断の話題のひとつ、、、の話もそうです。
編集長が編集部員Bにお土産として依頼した某ローション。
編集部員Aに「それ病気?」「そんなの効果あるのか」と冷たい視線を向けられていたころ、TVでは「お医者さんに相談だぁ♪」という楽しげな音楽にのせて製品のHPにアクセスさせるCMが報じられていました。
その影響で飲むか飲まないかの会話がはじまります。
米国ではテレビコマーシャルで商品名を連呼したりそれが効くよとアピールできます。
日本では○○に効果がある薬○○とはいえないので、間接的にそれを理解させて、医師に相談しましょう〜と誘導するCMになります。
禁煙のための治療薬も「私がお医者さんです」という形で宣伝をしています。
製薬会社の宣伝は全て許せん!とご立腹の人もいれば、この禁煙の薬に着いては病気として認知することで依存から快復するきっかけを持てる、根性論の限界を超えられる、個人の健康としても公衆衛生としても意味があるじゃないかと前向きに語る人もいます。
(極端じゃない、の例)
手法としてはルールの範囲内ですので、これが違法だとかマズいだろうということではありません。
しかし、最近は違法じゃないならなんでもいいのか、という批判も受けます。
製薬会社が新薬をプロモートする際のプレゼン資料への厳しいチェックがはいったり。
情報をいろいろな角度から眺めたり時系列でプロモーション情報を整理すると見えるものがあるかもしれませんね。
以下、参考情報。
このDisease Mongeringが広く認知されはじめたのは2006年頃からとのことで、日本でも2006年から紹介されています。
Ray Moynihan
2002年4月 BMJ Selling sickness: the pharmaceutical industry and disease mongering
2006年5月 薬害オンブズパーソン 疾病啓発キャンペーンが健康人を病人に変える
2006年 Listerine’s Long Shadow: Disease Mongering and the Selling of Sickness
The Fight against Disease Mongering: Generating Knowledge for Action
PLoS Med. 2006 Apr; 3(4): e191.
2010年 A Decade of Controversy: Balancing Policy With Evidence in the Regulation of Prescription Drug Advertising
Am J Public Health. 2010 January; 100(1): 24–32.
もっともMongeringするのは巨大企業ばかりでもなく。
Pseudo scienceによるRisk Mongering Fear Mongeringも紹介されています。例:ワクチンやオーガニック●●の記事。
2014年3月 “WHAT’S THE HARM”: The Body Count of Pseudoscience
2015年3月 Fear vs. Fact: The Modern Anti-Vaccination Movement
2015年4月 Reporting on quacks and pseudoscience: The problem for journalists
2015年4月 New study overturns yet another anti-vaccine talking point
2015年9月 20 reasons why you should not support the organic food
2016年2月 The Inherent Dangers of the Anti-Vaccination Movement
いずれにしても極端な物言いには注意が必要で、
誠実にコミュニケーションを取っている人は誰なのか。間違った情報を修正していける機関はどこか。
どこから(誰から)発信されているのかを見極めていきたいとおもいます。
(あ、頭にローション塗るのは個人の選択です)
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2013年 TEDxByronBay - Ray Moynihan - Too Much Medicine
Bad Scienceの著者 The Medicalisation of Everyday Life