Quantcast
Channel: 感染症診療の原則
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

母集団(そのデータはどこから?)と その周辺

$
0
0
麻疹は2012年排除予定でしたがうまくいかず、風疹は2013年の大流行でたくさんの被害者を出し・・
現在の目標がオリンピックまでになんとかしたいね・・・という状況です。

抗体検査などの風疹対策も3月末で補助が終わってしまう地域もあるそうで・・・

東京ですと意外にも(人口が少なくて財源はある)千代田区は3月で終了。
その他の区や神奈川の政令都市などでは、4月以降にワクチンの補助もついたりするようで、住んでいるところによって全然情報がちがうんですね。

医療者がはたらきかけをした地域では議員や行政担当が考えて新しい施策につながったようですが。
提案や意見もなければ終わります。どこももともと予算はないので。

その成果はいかほど?でありますが、めっきり報道も減る中の厳しい啓発ですので、地道に公衆衛生や医療の専門家が動いた分が数字に表れます。

墨田区が全体でみるとよいほうなのかどうか、比較するものがないのでわかりませんが(元の人口もちがうわけですが)

墨田区が発表した風疹事業の暫定数値

がNHKでニュースになっていました。

抗体が足りない人が意外と多いよ・・・という結果なのでありますが、あれ?これは以前みていた情報とずいぶんちがうんじゃないか?と思った方もいるかもしれません。

複数あるデータはそもそも比較していいのか?という話であります。
データの取り方やサンプルの母集団はどこから?が違います。
また、検査法が同じかどうか?ということも注意が必要です。

墨田区の場合は、検査を受けた人は区の事業について関心をもち様々な手続きを乗り越えて検査に至った人たちです。

よく引用される感染研HPにある対象は、明記を避けられているようですが、保健所の職員や家族が血液を提供していますので、一般の人とは異なるサンプルです。

"年齢別/年齢群別の風疹HI抗体保有状況について図2に示した。HI試験により抗体陽性と判定される抗体価1:8以上についてみると、20歳未満では男性と女性でほぼ同じ傾向であり、0歳で30%程度であった抗体保有率は1歳で上昇し、2歳以上ではおおむね90%以上を維持していた。一方、20歳以上についてみると、女性では50代で抗体保有率が前後の年齢群と比較して低いものの、ほとんどの年齢群は90%以上であった。しかし、男性では多くの年齢群で90%を下回り、30代(30~34歳群84%、35~39歳群73%)、40代(40~44歳群86%、45~49歳群81%)では、同年齢層の女性(97~98%)と比較して10ポイント以上(12~25ポイント)低い抗体保有率であった。また、20代(男性90%、女性95%)および50歳以上(男性88%、女性89%)では、抗体保有率に大きな男女差はみられなかった。"

これはそんなに難しくない比較の問題の話です。

墨田区の、検査情報さえしらない集団で検査をしたらどうなるのか・・・
は気になるところです。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 3238

Trending Articles