HPVワクチンでもGSKのCervarixのあとに、MSDのGardasilがでましたが、
ロタウイルスワクチンもGSKのRotarixのあとに、MSDのRotaTeqが販売承認、、、となりました。
これから医療者は、2つはどうちがうのか?といった質問を受けることになります。
診療チームで勉強しましょう。
どちらも経口の生ワクチンで、Rotarixは1価、RotaTeqは5価です。
臨床や公衆衛生的にはどのようなインパクトがあるのか。
Real-world Impact of Rotavirus Vaccination
Pediatric Infectious Disease Journal:January 2011 - Volume 30 - Issue 1 - pp S1-S5
日本語は「わが国にロタウイルスワクチンは必要か?」
モダンメディア 2008年
で2つのワクチンの違いを勉強できます。
保護者の関心事項は有効性と副反応です。
米国CDCのロタウイルスワクチンのところには、2つのワクチンについての有害事象報告を含めたサマリーがあります。
2010年8月までの時点で、米国内で使用されたロタウイルスワクチンは、RotaTeqが3200万ドーズ、Rotarixが280万ドーズ。
分母がだいぶちがうことにご注意ください。
米国で2006年に承認されたRotaTeqは、2010年8月までの約4年間に487例の腸重積が報告されています。1回目の接種から1週間後の報告が複数ありましたが、数が少なく、ワクチンとの関連性については確認されませんでした。
米国で2008年に承認されたRotarixは、2010年8月までの約2年間で22例の腸重積が報告されています。やはり数が少ないため、ワクチンとの関連性については確認されませんでした。
市販後調査も同様の報告です。
WHOのステイトメントは2010年9月に出ています。
米国だけではなんなので、
オーストラリアでは Paediatric Enhanced Disease Surveillance (PAEDS)とAustralian Paediatric Surveillance Unit (APSU) でワクチン導入後に有害事象が増加していないかをモニタリングしました。
中間報告では、1回目の接種後7日の間に腸重積リスク増が2つのワクチンで指摘されています。
効果ですが、ワクチン導入前は、年間に5歳以下の子どもが1万人がロタウイルス関連の胃腸炎で入院をしていました。
国の予防接種プログラムにワクチンが導入された後、5歳以下の急性胃腸炎でのER受診は70%減少しました。
オーストラリアのロタウイルスワクチンのFact Sheet
ヨーロッパで扱っている資料やデータはEuropean Medicines Agency で検索するといくつかみつかります。
ヨーロッパにはロタウイルスをモニタリングするネットワークもあります。EuroRotaNet
(日本は病原体のサーベイはどのようにやっているのでしょう?)
ところで、IASR
Vol. 32 p. 63-64: 2011年3月号に記載されている、日本におけるロタウイルスワクチン導入の問題点ですが、、、、
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わが国における問題点
ロタウイルスワクチンは、生ワクチンである。ワクチンの作用機序、弱毒化のメカニズムが明らかにされていない状態で、世界的規模での投与が開始されている。ワクチン投与先行国では、ワクチン接種者より排泄されたワクチン株と野生株とのリアソータント出現や、ワクチン由来株によるロタウイルス感染症が報告され始めている。これらは、国家レベルでの充実したサーベイランスシステムが継続して機能しているからこそ導き出すことのできるデータである。
わが国におけるロタウイルスの研究者は、ワクチン先行諸国に比べて少ない。また、ロタウイルスのサーベイランスシステムも十分ではない。我々は、ロタウイルスワクチンの投与開始前に、国家レベルで早急に現行のシステムを拡充させ、ポリオウイルス等での経験を基に、生ワクチンの投与で激変が予測される野外流行株の変遷と、ワクチン株の環境への広がり、ワクチン株由来のリアソータントの出現などの監視体制を整える必要がある。
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ポリオの生ワクチンでは、水平感染でのワクチン由来ウイルスでの感染・発症が問題指摘されています。
ロタではどうか?
6-14週の健康な双子に協力してもらった調査
Horizontal transmission of a human rotavirus vaccine strain--a randomized, placebo-controlled study in twins.
Vaccine. 2011 Nov 28;29(51):9508-13. Epub 2011 Oct 18.
接種をしていない年上のきょうだいが感染、という報告。
”Results of our investigation suggest that reassortment between vaccine component strains of genotypes P7[5]G1 and P1A[8]G6 occurred during replication either in the vaccinated infant or in the older sibling, raising the possibility that this reassortment may have increased the virulence of the vaccine-derived virus. "
Sibling Transmission of Vaccine-Derived Rotavirus (RotaTeq) Associated With Rotavirus Gastroenteritis
Pediatrics 2010;125;e438;
ワクチンを接種したあと、どれくらい便の中に出ているかは、免疫に問題のある家族がいるような場合気になる話です。
Detection of fecal shedding of rotavirus vaccine in infants following their first dose of pentavalent rotavirus vaccine
Volume 29, Issue 24, 31 May 2011, Pages 4151–4155
ロタウイルスワクチンもGSKのRotarixのあとに、MSDのRotaTeqが販売承認、、、となりました。
これから医療者は、2つはどうちがうのか?といった質問を受けることになります。
診療チームで勉強しましょう。
どちらも経口の生ワクチンで、Rotarixは1価、RotaTeqは5価です。
臨床や公衆衛生的にはどのようなインパクトがあるのか。
Real-world Impact of Rotavirus Vaccination
Pediatric Infectious Disease Journal:January 2011 - Volume 30 - Issue 1 - pp S1-S5
日本語は「わが国にロタウイルスワクチンは必要か?」
モダンメディア 2008年
で2つのワクチンの違いを勉強できます。
保護者の関心事項は有効性と副反応です。
米国CDCのロタウイルスワクチンのところには、2つのワクチンについての有害事象報告を含めたサマリーがあります。
2010年8月までの時点で、米国内で使用されたロタウイルスワクチンは、RotaTeqが3200万ドーズ、Rotarixが280万ドーズ。
分母がだいぶちがうことにご注意ください。
米国で2006年に承認されたRotaTeqは、2010年8月までの約4年間に487例の腸重積が報告されています。1回目の接種から1週間後の報告が複数ありましたが、数が少なく、ワクチンとの関連性については確認されませんでした。
米国で2008年に承認されたRotarixは、2010年8月までの約2年間で22例の腸重積が報告されています。やはり数が少ないため、ワクチンとの関連性については確認されませんでした。
市販後調査も同様の報告です。
WHOのステイトメントは2010年9月に出ています。
米国だけではなんなので、
オーストラリアでは Paediatric Enhanced Disease Surveillance (PAEDS)とAustralian Paediatric Surveillance Unit (APSU) でワクチン導入後に有害事象が増加していないかをモニタリングしました。
中間報告では、1回目の接種後7日の間に腸重積リスク増が2つのワクチンで指摘されています。
効果ですが、ワクチン導入前は、年間に5歳以下の子どもが1万人がロタウイルス関連の胃腸炎で入院をしていました。
国の予防接種プログラムにワクチンが導入された後、5歳以下の急性胃腸炎でのER受診は70%減少しました。
オーストラリアのロタウイルスワクチンのFact Sheet
ヨーロッパで扱っている資料やデータはEuropean Medicines Agency で検索するといくつかみつかります。
ヨーロッパにはロタウイルスをモニタリングするネットワークもあります。EuroRotaNet
(日本は病原体のサーベイはどのようにやっているのでしょう?)
ところで、IASR
Vol. 32 p. 63-64: 2011年3月号に記載されている、日本におけるロタウイルスワクチン導入の問題点ですが、、、、
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わが国における問題点
ロタウイルスワクチンは、生ワクチンである。ワクチンの作用機序、弱毒化のメカニズムが明らかにされていない状態で、世界的規模での投与が開始されている。ワクチン投与先行国では、ワクチン接種者より排泄されたワクチン株と野生株とのリアソータント出現や、ワクチン由来株によるロタウイルス感染症が報告され始めている。これらは、国家レベルでの充実したサーベイランスシステムが継続して機能しているからこそ導き出すことのできるデータである。
わが国におけるロタウイルスの研究者は、ワクチン先行諸国に比べて少ない。また、ロタウイルスのサーベイランスシステムも十分ではない。我々は、ロタウイルスワクチンの投与開始前に、国家レベルで早急に現行のシステムを拡充させ、ポリオウイルス等での経験を基に、生ワクチンの投与で激変が予測される野外流行株の変遷と、ワクチン株の環境への広がり、ワクチン株由来のリアソータントの出現などの監視体制を整える必要がある。
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ポリオの生ワクチンでは、水平感染でのワクチン由来ウイルスでの感染・発症が問題指摘されています。
ロタではどうか?
6-14週の健康な双子に協力してもらった調査
Horizontal transmission of a human rotavirus vaccine strain--a randomized, placebo-controlled study in twins.
Vaccine. 2011 Nov 28;29(51):9508-13. Epub 2011 Oct 18.
接種をしていない年上のきょうだいが感染、という報告。
”Results of our investigation suggest that reassortment between vaccine component strains of genotypes P7[5]G1 and P1A[8]G6 occurred during replication either in the vaccinated infant or in the older sibling, raising the possibility that this reassortment may have increased the virulence of the vaccine-derived virus. "
Sibling Transmission of Vaccine-Derived Rotavirus (RotaTeq) Associated With Rotavirus Gastroenteritis
Pediatrics 2010;125;e438;
ワクチンを接種したあと、どれくらい便の中に出ているかは、免疫に問題のある家族がいるような場合気になる話です。
Detection of fecal shedding of rotavirus vaccine in infants following their first dose of pentavalent rotavirus vaccine
Volume 29, Issue 24, 31 May 2011, Pages 4151–4155