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Update on human cases of influenza at the human–animal interface, 2012

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感染症の勉強をする過程で、Epidemiologyや危機管理も学ばねばと思う機会があるとおもいます。
遠くまでお金をかけてでかけなくても勉強するよい資料がありますので、まずはそこに目を通すのもおすすめです。

米国CDCのMMWR、ヨーロッパCDCのEurosurveillanceなどは、英語で報国を書くときの参考にもなります。

あまり迅速性はありませんが、WHOが出している週報も、世界全体で継続的におこなわれているモニタリングや対策の評価などを知るのによい資料です。

いいタイミングで、最新号(3月29日号)は Update on human cases of influenza at the human–animal interface, 2012です。

昨日のH7N9がどのような位置づけなのかどういったことが検討されているのかを知るのによいと思います。

ちなみに、Disease Outbreak Newsには、中国のH7N9症例の短報がのっています。

実際には、ここに掲載される前に、詳しい現場の調査や見当がありますので、時系列でみると速報とまではいえませんが、逆に言うとある程度調査や確認が終わっているんだなというみかたもできます。

それぞれの媒体の特徴なども考えながらよむと感染症情報の面白さの深みにはまれます。

梅毒の右と左

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本日は梅毒の「周辺」ではなくて「右と左」について・・

以前、都内最大規模の老人病院におりました時、梅毒によるAI(大動脈弁閉鎖不全)は高齢化による動脈硬化性変化についで第二位の原因という衝撃の事実がありました。

この時に言われたのは梅毒によるAR雑音は胸骨の右縁に聞こえる・・・という指導医のコメントでした。
「青木、おぼえておけよ。梅毒によるARは右に聞こえる。普通は左だが・・。右に聞こえたらRPRを出せ・・」

しかし、実際は必ずしもそうではない・・という事がSapira先生の本にありました。

AR雑音
1)大動脈「弁尖」の病変=胸骨左に雑音放散:リウマチ熱、梅毒
2)大動脈「基部」の病変=胸骨右に雑音放散:大動脈弁心内膜炎、大動脈瘤、解離性大動脈、マルファン、Osteogenesis imperfecta、Ankylosing spondylitis、梅毒性大動脈瘤

そうなんです。大動脈弁の基部が障害されていると右、弁尖がやられると左なのです。

いにしえの医師の注意深い事・・。脱帽です。

ああ、それから以下も学習しました。

Syphilisは詩に出てくる梅毒に罹患した主人公の名前
Luesはラテン語で不運の意味

そう、不運ねぇ・・。不注意、不徳・・・?


Sapira終わり

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Sapiraの身体診察のアートとサイエンス医学書院、読了しました。3週間かかりました。
(スケジュール管理のH嬢から早く次ぎの仕事に移れ・・と厳しく叱責されながら・・)

さすがに全部ではないが、実質的には8割がた読んだと思います。
読んだ章は1,2,3,4,5,6,8,10,14,16,17,18,19,20,24,26,27,28ですがページ数的には7-8割は読んだと思います。(腹部の章などに比較して眼の章などは何倍も何倍も厚いんですから・・)

書評を書くのですから丁寧に読みました。
正直、大変苦しかったです。

苦しさの内実は以下のとおり
1)Sapira自身の文学や歴史に対する造詣が散りばめられており簡単にはEssentialな医学情報のみ抽出しにくい。更に病名の文法上のあやまりに対するクレイムなども(例:polyareteritis nodos"a" 対 erythema nodos"um"。どうして一方がaで他方がumなんだよ!!とクレイム)そんなの読者は知るか・・!!
実際、訳者まで訳注で「ほんとにもう・・」とクレイムしていました。(笑)

2)身体診察独特の境界不鮮明さ。脾腫は超音波なら「cm」で記載出来ても身体所見では、診察する各医師の経験、意気込み、患者の腹壁の厚みなどがからまり、これがアート的混迷・迷宮に引きずり込む。

3)2D心Echoが聴診器サイズになる今日、困難な身体所見修行に耐える若手医師獲得の見込み。

などなど。です。

それでも何とか読了できたのはSapira自身の教育、身体所見伝授に対する誠実さ、熱心さが須藤先生がたの努力により日本語になっても伝わってきたからでしょう。

まだ、旭でブートキャンプ中ですが、帰宅したら書評に取りかかります。

編集長:編集長、ご苦労さまでした!!

昔言われた事だったかな?

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最新のNEJM(April 4, 2013 Vol. 368 No. 14)に昔習ったと思ったAmpB対AmpB+5FCの比較が乗っていました。(3ヶ目のArmはAmpB+FLCZです)

結論は:300人弱の患者さんをEnroleして
Amphotericin B plus flucytosine, as compared with amphotericin B alone, is associated with improved survival among patients with cryptococcal meningitis.

という事で編集長が小学生であった時くらいに有名な真菌の大家Bennet先生が証明した事実(AmpB+5FCはAmpB単独よりも良い)が更に死亡率も含めて確認されたという事でした。

ちなみに編集長が長年紹介してきた人間を使った研究で抗真菌薬の併用が有効という研究は長年これだけといって良かったのです。もちろん5FCは血液に入ると5FUになりますのでAmpBにより5FCの腎排泄が低下すると骨髄抑制の原因になります。

Rates of adverse events were similar in all groups, although neutropenia was more frequent in patients receiving a combination therapy.

一昨年、Board review courseでお会いした大長老のBennet先生の思いは如何に・・

写真は筑波大学で徳田教授と・・

お知らせまで・・

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編集長が4日間の旭中央病院での研修医合宿から帰宅しましたらNEJMの最近の感染症関連の記事のリストがMailで送られて来ていました。

以下、ご参考までに・・・

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Update Infectious Disease

A Summary of Recent Published Activity


PERSPECTIVE
Security of Health Care and Global Health
R. Coupland
N Engl J Med 368:1075, March 21, 2013

Ensuring Public Health Neutrality
L.F. Roberts and M.J. VanRooyen
N Engl J Med 368:1073, March 21, 2013
Audio

Routine HIV Testing, Public Health, and the USPSTF ― An End to the Debate
R. Bayer and G.M. Oppenheimer
N Engl J Med 368:881, March 7, 2013
Audio

Updating the HIV-Testing Guidelines ― A Modest Change with Major Consequences
E.G. Martin and B.R. Schackman
N Engl J Med 368:884, March 7, 2013

When to Start ART in Africa ― An Urgent Research Priority
K.M. De Cock and W.M. El-Sadr
N Engl J Med 368:886, March 7, 2013

ORIGINAL ARTICLE
ONLINE FIRST
Treatment of HCV Infection by Targeting MicroRNA
H.L.A. Janssen and Others
N Engl J Med, March 27, 2013

ONLINE FIRST
Rhinovirus Wheezing Illness and Genetic Risk of Childhood-Onset Asthma
M. Çalışkan and Others
N Engl J Med, March 27, 2013

Four-Year Efficacy of RTS,S/AS01E and Its Interaction with Malaria Exposure
A. Olotu and Others
N Engl J Med 368:1111, March 21, 2013

SPECIAL ARTICLE
Norovirus and Medically Attended Gastroenteritis in U.S. Children
D.C. Payne and Others
N Engl J Med 368:1121, March 21, 2013
CME

REVIEW ARTICLE
Global Health: Governance Challenges in Global Health
J. Frenk and S. Moon
N Engl J Med 368:936, March 7, 2013
Interactive/Multimedia | Comments

IMAGES IN CLINICAL MEDICINE
Strongyloides stercoralis Embryonated Ova in the Lung
L. Schroeder and N. Banaei
N Engl J Med 368:e15, March 21, 2013

Cutaneous Blastomycosis
A.G. Ortega-Loayza and C.O. McCall
N Engl J Med 368:e13, March 7, 2013

Obstructive Ileal Ascariasis
A.S. Mwenda and J.H. Ilkul
N Engl J Med 368:943, March 7, 2013

CASE RECORDS OF THE MASSACHUSETTS GENERAL HOSPITAL
Case 10-2013 ― A 30-Year-Old Man with Fever, Myalgias, Arthritis, and Rash
J.H. Stone and M.R. Murali
N Engl J Med 368:1239, March 28, 2013
CME | Comments | Poll

Case 9-2013 ― A 9-Year-Old Boy with Fever, Cough, Respiratory Distress, and Chest Pain
M.S. Fracchia and Others
N Engl J Med 368:1141, March 21, 2013
CME

EDITORIAL
ONLINE FIRST
Micromanaging Hepatitis C Virus
J. Lieberman and P. Sarnow
N Engl J Med, March 27, 2013

CORRESPONDENCE
Rapid Diagnostic Test for Sleeping Sickness
P. Büscher and Others
N Engl J Med 368:1069, March 14, 2013

「H7N9で何したらいいんですかっ!」

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というお問い合わせが2件。

いろいろ種類があるインフルエンザですが、予防や対応は通常のインフルエンザと同じです。 以上。

ニュースの流れをおっていくにはProMEDをみたり、専門家が解説をしているCIDRAPの情報をみていくと自分で情報をさがさなくてもフォローできます。

WHOのQ&Aはすでに感染研が日本語で公開しているので、質問対応はまずここを案内するとよさそう。

個人レベルでは流行地に行かないとか以外では特別な対応はないですが、専門家には仕事があります。
社会へのインパクトの大きさを考えます(リスクアセスメント)。市民が混乱をしないように、早めに上記結果をもとに広報を行うこと。

「あわてふためいている様子」
「ずれた対応」
「怖さだけ強調」

すると、不安が増します。
実際のリスクは生じていないのに不安ベースで混乱する人がでると、それはまたそれで感染症対策としてマイナスです。

メディアが五月雨式に個別の情報を流すのは良くないので、ぱきっとかっこいいおじちゃん(おばちゃんでもいいですが、お兄さんでもいいですが)がネイビーブルーのカーテン(赤でもいいですが、いやよくないか)の前に広報担当感としてしゃきっと現れ、我が国にとってのリスク、現在国としている対応、などを語る姿がほしいんですけどね。

専門家インタビューがポツリポツリ流れるのは・・・

ベトナムが中国からの鶏肉輸入を止めた、各国が注意喚起を行った、厚労省は日本の医療機関に中国渡航歴のある重症の呼吸器症状のある人は全例報告しなさいというのがニュースで出ています。

同じタイミングで、高病原性トリインフルエンザのH5N1の報告もありますが、こちらはニュースにさえもうなりません(なぜかしらん)。
ヒトヒト感染もおきていますけどね(ぼそぼそ)。
カンボジアではH5N1で、6歳の男子が入院中。重症。2013年に入って10例目。このうち8例が死亡。
実際には感染者はもっとたくさんいて、カンボジアの(地域によって医療事情が違いますが)大きな病院に運ばれてくる症例は皆重症ですから、重症の人の中で死亡が8例をどう評価するかです。

H7N9以外にも、今のところ動物だけ・・・というインフルエンザがありますが、今後も人間と動物の距離が近くなれば変異しやすいことで知られているインフルエンザですから、人間に感染するかもしれませんね(どういう条件がそろえばなのかは研究者が検討しています)。

ヒトヒト感染すると新型インフル対策室も動くらしいのですが(それでいいのか?)、とりあえず、とりさんのインフルエンザでしょうということなら日本では動物衛生研究所。
4月4日のニュースでは、「ハト」からH7N9みつかりましたよのニュース。
MoA Detects H7N9 Virus in Pigeon Samples

・・・想定の範囲内。


現場の医師の仕事には「報告」があります。4月3日にでたお願い通知 中国における鳥インフルエンザA(H7N9)の患者の発生について (情報提供及び協力依頼) 報告基準をみると、まあ、そんなにないわよね、というレベル。
中国に直行便が飛んでいる地方空港はたくさんありますので、東京や大阪から報告されるというわけでもないでしょう。
渡航歴を問診時に確認しましょう。


国のインフルエンザ対策と専門家のもうひとつの仕事に、ワクチンの開発がありますが、2003年SARS流行時はウイルスをもらえなくてこまった、という話もありました。
いずれにしても、なんにしても情報が迅速にはいるというのはいいですね。

2003年のときの経験から、J−GRIDというプロジェクトが動いており(厚労省ではなく文科省、というところが興味深い)、何かおきたときに慌てて対応するのではなく、最初から重要拠点に日本の研究者を配置して、新興再興感染症のリアルタイムに対応をしようという努力があります。

新興・再興感染症研究ネットワーク推進プログラム

2005 〜2009年度 文部科学省は新興・再興感染症研究拠点形成プログラムが1期。

(1)アジア・アフリカの国々に、日本の大学/研究機関と現地の大学/研究機関が互恵関係のもと共同研究拠点を建設し、両国の研究者が一緒になって日々感染症研究を行う
(2)理化学研究所に設置された感染症研究ネットワーク支援センターが、これらの共同研究拠点を結んで研究ネットワークを作る

日本で海外に関連した感染症研究をしているところはどれくらいあるのかの調査:
大学・研究開発機関等における感染症研究の実態に関する動向調査の概要について(平成23年5月18日 理化学研究所 新興・再興感染症研究ネットワーク推進センター)

上記オフィスは神田にありますが、東京近辺の理化学研究所といえば、和光にありまして、4月20日は一般公開などもありますから、感染症拠点巡り(目黒の寄生虫館とか!)の1つとしておぼえておいていただければと思います。

この日は和光市駅から理研までシャトルバスも出るそうです。

地味ですが、日々の人的関係、信頼関係づくりが大切ですから、こういった事業が仕分けされないよう感染症関係者は関心をもっておくことも重要かも。

今、往診から戻りました。

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午後、知人と会って帰宅。一休みしていると「Help」の叫びMailが都内大学病院から!!


30分後に編集長の体は都内大学病院の一室にありました。
主治医とマンツーマンのつもりで行ったらStaffやResidentら、総勢20名のAudienceでした。


そこでは肺梗塞の治療後の○○歳男性の不明熱が問題となっていました。

主治医はGood jobをしていましたが、やはり発熱が続くとどうしても「苦し紛れ」の抗菌薬なども・・仕方ないね・・。

編集長は家族構成から、先祖の疎開先での仕事内容まで聞いて、この辺りは師匠の喜舎場先生譲りの徹底した病歴聴取。
白血球もCRPも正常から軽度上昇。生化学も著変なし。QF陰性。殆ど非特異的な画像、検査所見が並びます。
血培も5セット陰性。

その後、研修医数名を連れてBedsideへ。
話ながらPoor dentition, Accessory 呼吸筋の動き、眼球のPetchiae、爪のSplinter Hemorrhage、滑車上や耳介前後のリンパ節などを調べます。


結局、いくつかの重要な可能性を指摘する事が出来ましたが、最も診療に役立ったのはPresentationの時点で発見した赤沈:100mm/時でしたな・・。Sapira曰く「赤沈とは間接的なFibrinogenとGlobulinの測定なので簡便なInterleukin1検査である」

今回の収穫
#1:編集長がBedsideが好きである事が、自身で確認された。
#2:研修医達も「青木先生もBedsideに行くんだ・・」と認識を新たにした事。
#3:いくらPresentationが良くても、Bedsideにはやはり新しい発見がある・・という事
#4:血沈はやはり有用という事。
#5:Sapiraは偉いと確認した事。

写真:今回のPresentationを聞きながら作成した編集長のFlow sheet。如何に電子カルテが不便であり、如何にAnalogueなFlow sheetが強力であるか・・。分かる?


4/25, 26 ダリワル先生カンファレンス(公開)

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湘南藤沢特集会病院になった旧ちがとく ですが、
ティアニー先生のところのダリワル先生が来日して国技をされるそうです〜。一部公開。ありがたいですね。

ダリワル先生、なんとNew York Timesにものっていました。去年の12月です。
For Second Opinion, Consult a Computer?


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〜 ダリワル先生カンファレンス 2013 〜

 ◆ 日 程:4月25日(木)、26日(金)
 ◆ 講 師:Gurpreet Dhaliwal (UCSF 准教授、一般内科学)
 ◆ 会 場:湘南藤沢徳洲会病院 講堂
 ◆ 対 象:医学生、研修医、その他医療関係者
 ◆ 定 員:100名 (Morningは10名まで)
 ◆ スケジュール:1日3コマ × 2日間
  Morning Conference 7:45- (レクチャー)
  AM Conference 10:00-  (症例検討会)
  Noon Conference 12:00- (レクチャー)

○ FB特設ページ
https://www.facebook.com/events/118901998303082/
(レクチャータイトルは1週間前にFB上で公開予定です)
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参加したい学生さん、研修医は上記FBをチェックしていてくださ〜い♪

注:25日はフリーターの通訳&コメンテータ(編集長)が付くらしい。

写真:グラム染色について質問を受ける編集長。

企業と風疹

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従業員が1000人いる企業では産業医がいるそうです。
50人いれば嘱託などで産業医と契約でつながっています。
それ以下は・・・?バイトは・・・?なのですが、

産業医にご友人がいたら、企業の風疹対策についての啓発をお願いします。

参考 産業保健推進研究会(さんすいけん) やメーリングリスト、学会や地元の研究会などもよい協力パートナーになるかもしれません。

厚生労働省は結核感染症課だけでなく労働衛生課とも連携をしてほしいですね。


職場で取り組めることを提案しましょう。


サクラ グローバル ホールディングやYahoo!が社員の接種費用助成をしてニュースでも紹介されていましたが、費用負担まですぐにたどり着くにはトップの理解と決断が必要です。
住んでいる地域の制度を活用してもらうための案内を流すところからはじめてもいいとおもいます。


他の企業の経験から学ぶ(すべて実際におきた例)







対象別のメッセージが必要なので、お腹の大きな妊婦さんのほのぼの写真ポスターやニコニコ家族イラスト的(ほかのポスターとデザインが似ていてインパクトに欠ける)ものより、オリジナルをつくることをおすすめします。こちらはサンプル。


最後に課題の説明も大事。



4月20-27日はWHOのImmunization Weekです。

風疹対策 運命の分かれ道

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2012年からepidemic状態となっている日本の風疹。すでに各国が日本へ行く人へのアラートを出しています。(とほほ)

風疹は、ワクチンの無い時代に、数年おきにブレイクしては胎児死亡や流産、CRS児の増加が問題となっていました。
ワクチンの無い時代は。



では、ワクチンが導入されたらそれでOKかというとそんなかんたんな話ではありません。
2012年の前、2004年にも風疹が流行。妊娠年齢期の女性が感染してCRS報告が増加。そして、緊急提言が出ます。このときの提言どおりに対策が進まなかったため(なぜだろう・・・)、2012年にはじまるepidemic状態になっています。

しかし、同じ2004年、米国は風疹の排除宣言を出していました。女性や子どもの運命にこんなに差が生じています(2012年の米国のCRSは3例、すべてアフリカ出身の未接種/接種歴不明の母親から)。


沖縄での風疹の流行とほぼ同時期の米国で大流行。


その後の経過。


風疹ワクチンを女子だけに接種したら地域流行がおさえられず、男女に接種、2回接種と対策レベルをあげているわけですが、導入するだけではダメで高い接種率を維持する努力が必要です。



公衆衛生が強い英連邦のとりくみ。

まずカナダ。




Herd Immunityの成果は、政府の関連資料に「予防接種によってこれだけの生命や健康が毎年まもられています」という明記によって国民の理解につながっています。

こちらはオーストラリアのポスターですが、個人だけでなく周囲も守るという哲学やミッションを地域や学校を通じて学ぶ機会がります。



さて。
日本でも長いこと小児科医らが2回接種を導入するようにいっていましたが、実際に導入されたのは2006年でした。
現在は1歳と就学時にMRを接種しています(海外はMMRでムンプスも流行抑制)。



この1期2期の接種率は90%以上と高くたもたれていますが、2012年3月で終わってしまった(一部の自治体は接種漏れのひとのために延長しています)3期4期で接種をしないまま大学や会社にはいっている感受性者の増加を忘れては行けません。2013年の対応をあやまると、また同じようなことが数年後におきます。

「風疹ワクチン接種率の推移」IASR

1994年の予防接種法改正以降急激に減少し、 2001年度は38.6%と最も低い


接種率が低くて失敗しているのは日本だけではありません。ギリシャをみていみましょう。

有名なアウトブレイク報告があります。


他の国にならってワクチンを導入したもののいろいろ課題がありました。


まず、1歳に導入。こどもの風疹流行はある程度抑制できるのですが、この時に接種しなかった人たちが妊娠する時期になって感染するようになりました。このような現象は専門家の間では把握や予測されていたことです。


そして、1993年は1950年代以後最も大きなブレイクとなり、CRSも増加。


接種率は高く維持しないといけません。


日本はどうでしょうか。


風疹が流行すると、胎児の死亡、流早産、CRSをおそれての人工妊娠中絶が増加するといわれています。



2013年、今の問題に立ち返りましょう。




接種をしてもらえなかった時期の男性がハイリスク層となっています。


国のポスター


現在、各地に流行が広がっていますので、感染症関係の方はできるアクションをはじめましょう。

「感染症が専門の先生」がno actionでは、周囲が動く理由を見つけるのは難しいです(別に流行させといていいらしい、と思われます)。

その意味で学会の静けさとか、産婦人科団体の風疹ページが2012年夏でとまっていていいのかと疑問たっぷり。

風疹 基礎説明資料

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職場や地域でレクチャーする人が増えると思いますので基礎史料も掲載。

タイトルはご自由に。














海外のアラートと疑問:日本の風疹流行

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Public Healthや感染症対策の領域では、昔から日本は「輸出国」として有名でした。

特に「バイオテロか?」と恐れられていたのは麻疹。

日本人駐在員や留学生に対しての警戒は、途上国から来た人並みだよと北米ではよくいわれました(幸い今は昔話)。

ええ。悪意はないんですよ。危険認知が世界と大きく異なっているだけです。鎖国していれば問題にはならないのかもしれませんが。
「え?みんななる病気なんじゃないの?」中高年
「なったほうが免疫がしっかりついていいよね」某保健所長
「うつしてあげる、、、ってPartyに誘われたんですけど」子育て中の主婦

2007年6月、都内の私立高校が修学旅行でおとずれたカナダ。バンクーバー空港で麻疹のような症例が発見されました。この時点でバンクーバー医師会は市内に麻疹!のアラートが出て、航空会社もてんやわんや。
しかし、その緊迫感は日本人には伝わらなかったのか、その学生と引率者を残し次の訪問地バンフへいってしまいます。
カナダのpublic healthのネットワークによりそのことはバンフにも伝わりました。バンフのホテルで全員隔離をされ、グロブリンの接種を受けます。当時は入学時に麻疹をふくむ予防接種歴を調べてもいなかったのでしかたないですね。

それだけではおわりません。バンフから日本に戻る途上の引率者を含む39名がバンクーバーで足止めをくらいます。
飛行機の中で曝露したらたいへんだからですね。
Japanese students quarantined at Vancouver airport hotel
CBC 2007年6月

この事例は結果として予定を超える費用が発生し(飛行機をかえたり滞在がのびたのですからしかたないですね)、誰が負担するんだよという問題にもつながりました。ワクチン接種をしていた親からしたら「ワリカンね」は納得いかないでしょう。

さらに。
2007年7月 米国のペンシルバニアで開かれた野球リトルリーグの世界大会には、麻疹になった日本の少年が出場。
全世界的に報道され、特に米国では緊急に曝露後接種対応の医療テントがスタジアムにもつくられました。地域にはアラートも出ました。

ロイター2008年

なんでこんなことするんだよ!という怒りの視線をよそに(というか海外の報道を知らなかったらしい)、日本のメディアは「体調不良なのにがんばってえらかった!」という記事でした(とほほ)。

これは州をこえて広がり、怒りのMMWR記事に。麻疹排除宣言をしたということは、もちこまれても2次感染をして広がっていかないことが重要なのですが、「感受性者」(曝露したら感染発症する人)が一定数いると広がるんだよ!ということをあらためて共有するものでした。

Multistate Measles Outbreak Associated with an International Youth Sporting Event --- Pennsylvania, Michigan, and Texas, August--September  2007
MMWR February 22, 2008 / 57(07);169-173

Case 1 imported from Japan
A boy aged 12 years on the Japanese team (the index patient), who had unknown vaccination status, had been exposed to a sibling with measles-like illness in Japan in late July 2007. The boy had a sore throat and malaise on August 11 and traveled to the United States on August 13. The Japanese and Chinese Taipei teams traveled together by aircraft from Tokyo, Japan, to Detroit, Michigan, where they cleared immigration and customs, and then traveled by aircraft to Baltimore, Maryland, where they chartered a bus to Pennsylvania. On August 14, the patient visited the event infirmary to be evaluated for his sore throat. On August 16, he had a measles-compatible rash, cough, Koplik's spots, fever (102.4°F [39.1°C]), and coryza. The infectious period for measles extends from 5 days before to 4 days after rash onset. The Pennsylvania Department of Health (PADOH) was notified, and the patient was isolated. Measles-specific immunoglobulin M (IgM) antibodies were detected in his serum sample; urine culture yielded measles virus, genotype D5.

で、日本に学会参加などで来た人がきくわけですよ。

狂牛病ゆるすまじ!全例検査! とか 抗菌グッズがたくさん売られていたり、インフルシーズンにはすごいたくさんのひとがマスクをしたり、年がら年中ビルの入り口にはアルコール刷り込み製剤がおかれていたり(放置ともいう)。

それと「麻疹や水痘なってもいいんじゃね?」とか「生肉とか生レバーまじウマイ」という認知や反応の乖離をみるわけですよ。

この質問への対応は、「なぜ日本のおばちゃんは髪の毛を紫に染めるのか?」ということと、(思春期後期女子=ほぼ成人女子がわかめちゃんやちびまる子ちゃんのような)「パンツがみえそうな子どもスカートをはいているのか」という質問と同じくらい難しいんですよ。


・・・話がそれましてすみません。前置きが大変長くなりすみません。

海外はMMRワクチンの普及(と高い接種率)で、若いドクターが麻疹、風疹などの診断に困るほど(見たこと内から)の状況があります。
風疹は基本話題になりません。海外から持ち込まれても地域には広がらないからです。

日本でこんなに広がったことを驚いている世界。

7月17日 台湾 公衆衛生当局 Cases of Rubella Increase in Japan This Year; CDC Reminds Citizens Planning to Go to Japan during Summer Vacation to Receive Evaluation and Get MMR Vaccine before the Trip,
9月12日 香港 公衆衛生局 Rubella outbreak under watch
9月14日 香港 Travel Health Service Japan: Rubella [Update]
2月1日 Japan TImes Rubella outbreak spreading quickly
2月28日 朝日 英字Foreign rubella, measles cases on the rise in Japan
3月7日 Japan Today Rubella infections hit 5-year high
3月20日 英国NHS Rubella in Japan (Update)
3月20日 Tropical Medicine Bureau Worry as Rubella outbreak continues in Japan
3月21日 Travel Doctor(オーストラリア) Rubella in Japan
3月28日 NHK WorldRubella Outbreak Hits Japan
4月2日 Japan Times Resurgent rubella raises fetus threat
4月4日 Guam Public Health monitoring rubella in Japan


日本の米国大使館のHPもトップページに風疹の情報


今朝のProMed

グアムの公衆衛生局が出した日本に出かける人への警告が紹介されています。

It would be advisable for persons traveling to Japan to make sure they have been vaccinated for rubella (given in combination with the measles and mumps vaccines) 2 weeks before departing.

2週間前にワクチンをすませましょう。

「気をつけよう」とか「注意しよう」とか「がんばろう」とちがって、超具体的なアドバイスですね。

こういった情報が共有されると、日本渡航歴のある発疹や発熱患者に風疹を疑う際に役立ちますね(とほほ)。

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06 Apr 2013 Cryptosporidiosis - Australia (02): (VI)
06 Apr 2013 Avian influenza, human (31): China (Shanghai) H7N9
06 Apr 2013 Rubella - Japan (04): travel alert
06 Apr 2013 Avian influenza, human (30): China (Hong Kong, Taiwan) H7N9, NOT
06 Apr 2013 Avian influenza, human (29): China (ZH) H7N9, market quail
06 Apr 2013 Avian influenza, human (26): China H7N9 case list & map, correction
06 Apr 2013 Avian influenza, human (28): China H7N9, WHO
06 Apr 2013 Nipah encephalitis, human - Bangladesh (05)
05 Apr 2013 Bovine tuberculosis, bovine - Switzerland (03): (FR)
05 Apr 2013 Anthrax, bovine - Ghana: (UE)
05 Apr 2013 Yellow fever - Americas (04): Peru (PU) vaccinatio
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ちなみに、PrMedのなかで風疹の記事を検索してみました。
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21 Mar 2013 Rubella - Japan (03): vaccination policy
19 Mar 2013 Rubella - Japan (02): increasing incidence
28 Feb 2013 Rubella - Japan: increasing incidence
12 Sep 2012 Rubella - UK: England (Hampshire), alert
09 May 2012 Rubella - Solomon Islands: travel alert
14 Apr 2012 Rubella - Spain (02): background
13 Apr 2012 Rubella - Spain: (AN)
16 Feb 2012 Rubella - Romania: (SJ) adolescents
16 Oct 2011 Rubella - China: (HK SAR) Indonesian women, RFI
19 Aug 2011 Rubella - New Zealand: (NO)
17 Aug 2011 Rubella - Fiji (03)
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ええ。もちろん.今受ける一番多い質問は「国や専門家は何か流行抑制のための介入をしないのか?」ですとも。

聴診した事ある? 乳房、眼球、甲状腺、肝臓

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まもなく、Sapira書評をFinish。恐らく明日には・・

ところでTitleですが・・

編集長:あります。(乳腺以外は・・)

編集部:イツ?

編集長:PGY1あんど2。

写真はPGY2。できたての沖縄県立中部病院初のICUにて。

編集部:誰が教えてくれたの?

編集長:写真の先生。G. C. Willis先生です。多くは血流の増加によるものです。

編集部:ほう・・

編集長:Willis先生は肝癌で肝臓にBruitが聞こえると世界で最初に記載したか、気づいたかした人らしい。

編集部:他に思い出のある特殊な聴診部位は?

編集長:日野原重明先生の外来をお手伝いしている時、目眩できた男性の後頚部にBruit。椎骨動脈のNarrowing見つけました。

写真:Tierney先生の清教徒Version・・といった風情のWillis先生。先日奥様からお手紙を頂きました。

H7N9 と その周辺

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知識や経験のない人が頭をフル稼働させても、どうにもならない高レベルの判断領域というものがあります。
いっぽう、そのような高度な知識がなくても生活そのものを守る工夫や努力は別にあります。

中国のインフルエンザ(H7N9)ニュースは、インフルエンザそのものに詳しくない、疫学データを読む訓練が無い人たちには「ぎゃー」というリアクションもあるみたいですが、多くの専門家の反応もみていおいたほうがいいですね。

感染症の専門家にはウイルスが専門の人から、治療を扱う人までいろいろな人がいます。

国際的な感染症「対策」の経験があり、ウイルスにも詳しい先生のコメントがきけたらいいですね,と思ったところ、
押谷先生のメッセージが公開されていました。
こういったコミュニケーションは重要ですね。東北大学もすばらしい。

「インフルエンザA(H7N9)のリスクをどう考えるべきか ―押谷仁教授からのメッセージ2013―」

(感染症関連の拠点をもっている神戸大学や長崎大学等も是非お願いします〜)

注目すべきは、メディアに流れる前の情報をunofficianl networkで知る専門家の人たちなんですけどね。
報道は基本おどろおどろしく書きたい訳ですから(海外も同じ)。思考のベースをメディア情報にもっていくのはいいアイデアではないです。


そのメディアは、医療のことならなんでも語っちゃう(怖いね)あのひととか、あのひととか、あのひとにコメントとったりしているみたいですし、同じ専門家でもすごい狭い分野の人が、まだ裏もとれていない内容について想像でコメントしていたりして、このタイミングでのコミュニケーションとしては質が悪いなーという側面もみています。

ところで、なぜいまのようなインフルエンザ ストーリーやスキームができたのだろうと思い返してみると、医療現場の人が話題にもしていないのに公衆衛生の人も熱望していたとはきいていないのに、特別な法律ができちゃうとか(他の国はそんなことしてませんが・・・)、えー根拠なに?な薬の使い方が提案されるとか(だったら他の感染症にもspecificな策を提案しないとバランス悪い)。

いろいろな意見があってもいいですが、感染症関係者でも「なぜにこんなにインフルエンザ・・・?」という意見があることを示しておきます。

しかし。
風疹対策をしていた行政の人がこの対応に人手をさかれているそうです。もっと基本的なことができていないのに、ですね。

対策!といって(あまり効果がないのに)負荷を大きくしても、インフルエンザですから流行りますし、広がるでしょうし、広がったら一定数は死亡します。それがインフルエンザです。

ワクチンもこのようにいろいろな型のものが流行る度に開発するのは(ラボレベルでは)けっこうなお話でありますが、市場にのらないでしょうしロジもうまくいかないですから非現実的だとおもいます。

ネットをみてると「新型インフルワクチンの強制接種が怖い」といいますが、実際問題、通常の医療を維持しながらそんなにたくさんの人にワクチンをうてるほどのキャパは日本にはないんですよ。お医者さんもナースも足りませんから。そもそもつくれるのかさえ定かではない。が、予算はたくさん投じられている(目の前で起きている母子が困っている風疹を止めるためのワクチン公費のお金はないそうですが)。

ところで、昨日聞いたのは、中国帰りや中国から来た人が受診したら徹底的に検査すべきだっ!という暴言です。
検査にいくらかかるとか、知らないのかもですが、税金ですからね。必要なときに限定されるんですよ。

あ、編集長は極端にこの問題に興味がないです。電話やメールでお問い合わせはしないようにおねがいします。
個人での予防策は他のインフルエンザの対策と同じです。

では皆さん。良い週末を。

妊娠とMalariaその他の原虫感染症

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ベッド上安静的生活からRecover!!
編集長の2012年ICAACのDVDの勉強が再開しました。
なんと3.5ヶ月という長期のブランクです。

本日のお題は原虫感染症と妊娠です。講師はR.Philips Heine先生@Duke大学
(別にCongenitalRubellaSyndromeの嵐に触発されたわけではありませんが・・。それにしても先進国なのかな本当に日本という国は・・)


この原虫感染症とEmbryologyの大家によるポイントを記すと

#1:妊婦の原虫感染症での最多問題は何か・・? それはToo lateな予防だそうです。
#2:重要な臓器形成は基本的には第一トリメスタの、その又最初28日であるとの事。女性が、「あら生理が来ないわ・・」と思った時にはDamageの大勢が決まって仕舞っている!!!
#3:初産婦はより酷い。
#4:免疫反応で初期に動くTH1システムが重要な防衛機構である原虫でより重症化する。(TH1は原虫、TH2は蠕虫が重要)

NTD(Neglected Tropical Disease)で王様、Malariaも原虫だね・・。

To be continued.

(写真:うちのトーマスに原虫は居ないと思います。)

4/12(金) 鴨川で語る感染症、そして疫学。

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なんだかすごいアクセス数になってますが。感染症に関心をおもちの方が増えてありがたいですね。

ところで。

3月12日に、亀田総合病院で開催される感染症疫学の勉強会のお手伝いにいくことになりました。

University of WashingtonのJohn Kobayashi先生がFETPの初期導入コースで来日中で、12日夜は千葉の鴨川でそのお話を聞ける会を吉田先生が企画してくださったからです。

医学書院 矢野先生との対談 公衆衛生対策に求められる「コミュニケーション・ストラテジー」


外部の方も参加OKとのことです。
ぜひ熱く語りましょう。
日本では感染症の実地を学ぶところはとても限られてます。


18:30〜19:30:「感染症の考え方、実地疫学の実践」
John Kobayashi先生
        
 座長&解説 青木 眞です。

人数調整のため、そして、会場にはいるためにセキュリティーカードが必要なため、参加ご希望の方は事前に吉田先生にお問い合わせください。

問い合わせ先は、感染管理室 吉田 眞紀子 myoshida?kameda.jp (?をアットマ〜クに変換してください)

吉田先生のブログ「感染症疫学の風」

金曜なので、ご家族ででかけて簡保の宿にに1泊(すてきな温泉がありますよ)、翌日は「かもしー」(鴨川シーワールド)で家族サービスもすてきです。
おいしい海の幸もたっぷり。

電車で行くなら特急「わかしお」で安房鴨川下車。東京駅は京葉線の地下深いホームから。

一番便利なのは東京駅八重洲口(ドコモと北海道アンテナショップのビルの前)から乗る高速バス「アクシー号」がおすすめです。
終点が亀田総合病院なので爆睡可能。

楽しい夜にいたしましょう。


コンドームをはずす、その前に

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正確には、使うのをやめる、その前に、ですが。

いろいろな人が語るポリフォニー効果(いわけん先生から学びました)。

女性の健康の大御所、北村邦夫先生のヨミドクターの記事「「緊急提言」先天性風疹症候群の発生防止のために」。

北村先生といえば、日本の「避妊の父」であります(パパかもしれない)。

次々とたちはだかる妨害者をうっちゃりながら、もとい説得しながら、日本での低用量ピル承認にこぎつけた先生です。
その後、念願であった緊急避妊の専用薬であるノルレボの承認も北村先生をはじめとする避妊の重要性を伝えてきた先生方のご尽力で達成しました。

避妊の神様である北村先生にもお願いをしました。
「コンドームをはずす(避妊を中断する)前に、風疹ワクチン」の啓発を、と。
(日本人は8割以上が避妊の手段として、コンドームと回答するのだそうです。by北村先生)

各地の婚姻届を出すカウンターの皆様、ぜひ啓発チラシをお渡し下さい。




でも。でもですね。婚姻届けを出す時点ですでに妊娠していますというカップルが一定数います。
(編集部周囲にも、妊娠でもしなければ結婚のタイミングがつかめなかったという人多し)

えーと、内閣府が語るできちゃった婚。

「補論1 結婚行動における新しい流れ -」 内閣府

"(20代前半までの結婚は「できちゃった婚」が主流)
最近の出生動向を見ると、20代での出生が低下している一方で、10代での出生件数はごくわ ずかずつではあるが増加し、出生している人全体に占める割合が微増している。 これまで見たように全体として晩産化が進んでいる中でこうしたことが起きているのは、妊娠 が結婚に先行する、いわゆる「できちゃった婚」が増えていることによる。「できちゃった婚」 で生まれた子ども1が嫡出第一子に占める割合の推移を見ると、1980年の12.6%から2000年に は26.3%と、20年間でほぼ2倍となっており、特に、15~19歳では嫡出第一子のうちの8割以 上、20~24歳では約6割が「できちゃった婚」により生まれている"

集団接種をしていた時期もあまり接種率は高くなく、個別接種になってから接種率は激減。
つまり、、、女子だけ接種していた時代でも未接種の感受性者がたくさんいるということです。
ですから、産婦人科などで抗体のない/不十分な妊婦が3割近くいます!という報告は、まあ、現実を反映しているのだろうと思います(免疫が下がっている人もいますが)



ということは、婚姻届カウンターでは遅いのかもしれません。

結婚式場雑誌でもだめかも?だめもとでチャレンジすべきですが。
ゼクシィの「おめでた婚」特集ページ

トップページにはエステ特集はありますが、ブライダル健診情報もみかけませんね。
ゼクシィにはぜひ風疹や予防接種の話題を載せてもらいたいですね。

たまごくらぶ、ひよこくらぶ じゃtoo late(うん。最後だけ青木節)。

突然妊娠する若年層にはどんな媒体やインフルエンサーがよいのでしょうね・・・。


妊娠とMalariaその他の原虫感染症 #2

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経験的に妊婦に重篤な問題を生じる寄生虫と比較的軽度な問題ですむものがあるとのこと。

編集長はPracticalなので重篤なものに集中。
Leishmania、Entamoeba histolytica、Tinea solium、Dracunculus medinensis、Strongyloides stercoralis、Trichuris trichuria、
Hookworm、Ascaris、Echinococcus granularis

まずはHookworm :Ancylostoma duodenale and Necator americanus.
・生活環は簡単にいうと、皮膚貫通>肺>食道から腸管に川下り>血・栄養を吸いつつ5−10年生きる!!。症状は殆ど無い。
・妊婦では:4400万人が世界で感染。軽い貧血から重度のものまで。低体重などの原因に。
・治療:Albendazoleがベスト。一回投与。
・予防投与:罹患率>20-30%の地域では何と予防投与までWHOが勧める。

次はRound worm 回虫ですな・・
・世界で何人かかってるか知ってる?
>>>12億人 !!!!
・妊婦は妊娠前から罹患している。幸いな事に胎盤通過して胎児に直接影響はない。

トーマス、頭にトーストを載せてる場合か・・?!!

先祖はGIM

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先ほど、須藤先生がたのご尽力で翻訳されたSapiraの書評を医学書院にお送りして一休みしています。
それにしても身体診察の世界は広くて深いですね。そして、またそれに用いられる診察道具も。

皆様は写真の道具、おわかりですか? 
Troube型と言われる聴診器です。

これ、実は編集長の実家にあったんですよ。
皆様はおじいさま、おばあさまと同じ屋根の下で暮らした事がおありでしょうか?

曾祖父は軍医で外科、祖父は耳鼻科の開業でしたので、家のあちらこちらに面白いものがあり、子供心にもワクワクしたものです。
勿論、「触ったら駄目!!」 と言われたものばかりですが、それはそれ、何しろ聞き分けの良い少年でしたから触り放題。
そんな少年編集長のお気に入りがこの象牙の聴診器でした。
これで猫なんかコツンとやると逃げていきます。

まあ、本来は産婦の腹部聴診に使ったらしい・・。先祖にOB-GYNは居ないけど・・。
多分、曾祖父あたりまではかなりGIM的だったのでしょうね・・。

何が聞こえたのかな・・と昔を思いつつSapiraの本を閉じる午後であります。

プロレス と Public Health

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徳田先生、志水先生、編集部のをつなぐキーワードのひとつは「プロレス」です。(編集長は知らない秘密の花園です)。

なぜかはあまりつっこまないでください。LOVEに理由は要りません。
徳田先生のブログタイトルを見るだけでそう気づいた方もいるかもしれません。


格闘技と感染症を関連づける話題は、「血をみるようなスポーツのひとにはHBVワクチンでしょう!」とか、 柔道やるならトリコフィトン・トンズランスは知ってないと!というような、時にマニアックな病原体の名前もならんじゃったりしますが・・・。

今回は風疹です。しかもプロレスラーが続々と感染。その団体名は「ノア」。江東区に本拠地があります。

先日はなんとNHKもとりあげました。
選手が複数感染したプロレス団体「ノア」 試合で予防をPR

発症した選手みずからが、啓発チラシを会場で配るというPublic Healthの逸話。
(選手の皆様ありがとうございます)

しかし。厳しく論じるスポーツ新聞。

東スポの記事
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(前略)ところがどうだ。杉浦は「プロとして体調管理がなっていないな…。小峠(篤司)に風疹をうつされるなんてけしからん。落ち込んでいても俺が助けるのもおかしな話。背水の陣を敷いてやってもらうしかない。エッヘン」。救いの手を差し伸べるどころか、副社長を一喝した。

 そもそも張本人はこの男だ。2月上旬にノア風疹第1号となり2大会を欠場。2月下旬には小峠が発病し、3・10横浜で石森太二のGHCジュニア王座に挑むも敗れた。そして次は丸藤…。

本来なら平身低頭になるべきなのに「俺が風疹にかかった時点で会社で予防接種してりゃ、こんな事態にはなっていない。責められても困ります」と、どこ吹く風だ…。
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他のスポーツ関係者の皆さん。大丈夫ですか?

皆様。スポーツドクターにお知り合いがいたら、ハイリスク年齢群での濃厚接触集団における風疹アウトブレイク対策をよびかけてください。

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