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Channel: 感染症診療の原則
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その3 予防接種の「広域化」と「キャッチアップ」

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キャッチアップは年度を超えた予算の運用が課題なのですが、麻疹の3期・4期でそのかきねをとっぱらった自治体もあるので、自治体のやる気や工夫によってはできるのかなと思いつつ。在庫管理などの問題も生じます。専門団体が今後キャッチアップの指針等を出せば変わっていくのかもしれません。


さて。広域化の話の続き。

「法定予防接種の実施主体は市区町村」であり、公費助成の(助成金額、実施医療機関等)を決めるのも自治体です。

平成23年4月から接種した場合のヒブワクチンと肺炎球菌の助成額をみてみましょう

住んでいる地域によって自己負担額が異なっています。(以下、数字は1回接種あたりの自己負担額)

中央区
どちらも自己負担なし。全額助成。

足立区
Hibワクチン 4000円、小児用肺炎球菌ワクチン 5500円

墨田区】 
Hib 4000円、肺炎球菌 6000円

世田谷区
Hib 3000円、肺炎球菌 3000円

【小金井市】
Hib 900円、肺炎球菌 1100円

足立区の、実施契約医療機関は、足立区内の指定医療機関に限定。
墨田区の、実施契約医療機関は、墨田区内の指定医療機関に限定。

世田谷区の、実施契約医療機関は、ヒブワクチン・小児肺炎球菌ワクチンについては、世田谷区外で接種する場合は助成の対象にはならないと書かれています。

※世田谷区に電話をして確認をしたところ、Hib・肺炎球菌ワクチンについての契約医療機関リストに成育医療センターはないが、かかりつけ医と基礎疾患のある子どもの保護者(世田谷在住)の相談の結果、「生育医療センターで」ということになった場合、世田谷区は成育医療センターに支払いをすることが可能だそうです。
 
また、世田谷区は予防接種法に基づく定期予防接種の場合、東京23区、狛江市、調布市、三鷹市の各区市内の契約医療機関でも、協定を結んでいる場合に限り、世田谷区発行の接種記録票をもって無料で予防接種ができるようになっています。(BCGとポリオ以外)

※中央区に電話して確認をしたところ、Hib・肺炎球菌ワクチンについては、区外の医療機関と契約をする予定はないので、区内で接種してもらえないご家庭は完全自己負担になるということです。

小金井市の、実施契約医療機関は、小金井市内のほかに、府中市・立川市・昭島市・小平市・東村山市・国分寺市・国立市・狛江市・東大和市・清瀬市・武蔵村山市でも、接種の受けられる医療機関もあります。

例えば、都内で基礎疾患があるようなお子さんが近医での接種や同時接種をしてもらえない場合に、世田谷の成育医療センターか、府中市にある東京都立小児総合医療センターに相談するとします。

その人が住んでいる自治体と病院が契約をしないと、まるまる自己負担になってしまうというのが現在の状況です。
この場合の主導権は、医療機関にはなく、自治体の予防接種担当部署となります。

特に健康上の問題がないお子さんは、地域のかかりつけ医での接種でOKなわけですが、開業医や医師会レベルで対応できない(しない)、よりケアニーズの高いお子さんの予防接種については、行政や医師会・専門団体が協力をして、漏れや遅延のないようにする必要があります。

このことについて反対するような人がいるとも思えません。
制度が現実のニーズに即して運用されるよう、ぜひ地元の制度をご確認ください。

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