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Channel: 感染症診療の原則
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若セミ コロナ特別編 疫学部門(中島先生)のQ&A

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2.質問者 : 医師 50代 男性
質問内容 : 診療所で患者が新型コロナウイルスにかかったり、医師やスタッフがかかった場合、その後、診療所の医療提供をどのように行なっていくか、考えておくことが大事だと思いますが、どのように準備しておくと良いですか?
回答:まず日常の予防が重要です。診療に伴う感染を予防するための標準予防策、手指衛生の徹底が必要でしょう。呼吸器感染症の患者に対するマスク着用も重要です。その上で医師やスタッフが感染した場合の蔓延状況はケースバイケースとなりますので、保健所とよく相談して対応することが大切でしょう。

5.質問者 : 医師 内科 40代
質問内容 : 医療従事者がCOVID-19に罹患した場合、いつから復職できるのでしょうか。ECDC、CDCなど諸外国でのガイドラインはありますが、日本では未整備のように思います。どのように考えたらよいでしょうか?
回答:医療従事者が罹患した場合も、一般の患者と同様に、治癒後2回の検査でPCR陰性を確認するまでは入院が必要ということになります。その後は治癒したと考えて、診療に復帰することになろうかと思いますが、念のため2週間程度は体調には注意したほうがよいでしょう。


7.質問者 : 医師 内科 20代
質問内容 : 流行のピークを抑えるため様々な方策がとられています。集団免疫閾値に達するまで、つまり人口の2-8割が感染するまで、ウイルスは流行すると考えてよいのでしょうか?それともSARSのように封じ込められるのでしょうか?
回答:今の世界的な蔓延状況を考えると、SARSのように根絶されるのは期待できないでしょう。このウイルス感染症は出現して間もないため不明な点も多く将来予測は困難ですが、何も対策を行わなければ、集団免疫閾値に達するまで流行が続く可能性はありえると思います。一気に流行が拡大していけば、医療崩壊や社会機能不全も起こりえますので、可能な限り流行を抑えることが重要です。


11.質問者 : 医師 内科 50代
質問内容 : 選択的にPCRをしているというより、PCR検査をあえてしないので、陽性者が少ないだけではないでしょううか
回答:COVID-19は、特徴的な症状が乏しく臨床症状のみで早期に診断を行うのは非常に困難です。日本にウイルスが持ち込まれた当初は感染者数は極めて少なく、呼吸器感染症患者の中でCOVID−19の患者の確率(検査前確率)は低かったため、全員を検査したとすると、検査陽性者のうち本当のCOVID−19患者の割合(検査後確率)が下がってしまいます。また、検査感度も70%程度とされていることから、本当の患者の1/3は検査で見逃されてしまいます。何よりも、検査を求めて外来に風邪症状の患者が殺到すると院内感染のリスクも高まってしまいます。検査のキャパシティには限りがあるため、COVID−19の特徴とされる4日以上の臨床経過などの条件で検査対象者のトリアージを行うことが重要だと思います。徐々に、日本の臨床医の間でこの疾患の理解が進み、臨床診断の参考となる情報が増えてきましたので、今では帰国者接触者外来において臨床医の判断で検査をすることが可能となっています。


12.質問者 : 医師 内科 30代
質問内容 : コロナPCR検査の偽陽性の可能性についてはどの程度かわかっているのでしょうか?偽陰性ではなくてです
回答:PCR検査の特異度は高いため、疑陽性者は少ないと思われます。


13.質問者 : 医師
質問内容 : 中島先生へ 無症状の方でPCR検査をすべき方はどのような方でしょうか
回答:症状のない一般の方へのPCR検査は不要です。確定患者の濃厚接触者においても、重要なのは接触から2週間の健康観察でPCR検査ではありません。集団発生のような状況においては、対応の必要性に応じて、保健所が判断することとなります。


14.質問者 : 医師 内科 50代
質問内容 : (中島先生)クルーズ船が本邦最初のクラスターと思われます。現在もクラスターが所々にありますが、終息したというには、どのような状況でしょうか。
回答:一つ一つの集団発生(クラスター)においては、ウイルス感染の伝播が止まれば終息となりますが、現在、国内各地で感染者数が増加しています。日本全体でウイルスの感染伝播完全に無くなったことが確認できれば国としての収束となりますが、世界的に蔓延したパンデミックの状況下では、常に再侵入のリスクがあり困難でしょう。


16.質問者 : 医師 
質問内容 : 治癒の定義は?また感染確認からどのくらいの期間他人に感染させるのでしょうか?
回答:臨床的には、症状が消失し自覚症状や他覚的所見が改善すれば治癒と考えられると思います。他人へ感染させうる期間については正確には分かっていません。


17.質問者 : 医師 内科 40代
質問内容 : 家族内感染の確率はどれほどでしょうか
回答:正確には分かっていません。


18.質問者 : 医師 内科 60代
質問内容 : 気が付かずに既感染の人がすでに沢山いるような気がします。抗体価のチェックを手軽にできるようにならないでしょうか。
回答:血清学的診断ができるようになることは重要ですが、まだ国際的に統一された手法が確立していないようです。海外では、簡易な検査キットが用いられているところもありますが、結果の解釈や使い方には注意が必要でしょう。


19.質問者 : 医師 内科 50代
質問内容 : 中島先生に質問です。クラスターがある程度追えなくなった次点では、経済的な補助を中心とした、社会的サポートを行い、最低限必要な仕事以外を休職にして、14日~21日、クラスターの発生を根本から抑え込む、ことが必要なのかということでしょうか。
回答:COVID-19の蔓延には、感染拡大には特定の感染しやすい環境・状況での感染伝播が重要な役割を果たしていると考えられますが、無症状感染者や軽症の感染者が多いため、感染伝播が見えにくいのが対策を困難にしています。感染者数が増加し、感染リンクが追えない患者が増えてきた場合には、感染伝播が起こりやすい環境である、いわゆる三密(密閉、密集、密接)を徹底して避けることが重要となります。蔓延防止のため、何が重要かについては、以下のサイトも参考にして頂ければと思います。新型コロナウイルス感染症に関する専門家有志の会HP https://note.stopcovid19.jp/


20.質問者 : 精神科医 50代
質問内容 : 感染させない人と感染させる人との違いは何か。
ウイルス量、行動の違い?
それを臨床的に見分ける方法はあるのか。
回答:残念ながら詳細は分かっていません。医療機関では、COVID-19の診断がついたあとで入院した患者を起点とする医療関連感染は殆ど起こっていませんが、感染者の存在に気が付かない状況での感染が起こっています。日常からの標準予防策の徹底、日常生活における感染予防、すなわち三密(密閉、密集、密接)を避けること、咳エチケットや手指衛生の徹底が重要です。


22.質問者 : 医師 総合診療 20代
質問内容 : 貴重なご講演ありがとうございます。
クラスター戦略は地域で流行が始まりつつあるとき(発生早期~拡大期)に有効な戦略だと理解しています。
オーバーシュートが発生した後(蔓延期)も、クラスター戦略は有効なのでしょうか?
効果的でない場合に、再度クラスター戦略を取りうる時期がありえますか?
回答:COVID−19は全く新しい感染症で不明なことが多いのですが、この3ヶ月で徐々に広がり方の特徴が分かってきました。すなわち、三密(密閉、密集、密接)の揃う状況に感染者がいると周りに感染させてしまいやすいということです。このような特徴は、クラスター対策を行う中、丁寧な疫学調査で分かってきたことです。感染者の数、クラスターの数が少ないときは、一つ一つのクラスターに対し、感染の可能性の高いグループを特定し、集中して行動自粛を求めることで感染伝播の遮断を効率よく行うことが可能ですが、数が多くなってくると難しくなっていきます。また、クラスターが特定できない感染者が多く発生する状況では、感染するリスクの高い人達を特定することが困難です。オーバーシュートが近づいてくる時期はまさにそのような状況となりますので、人と人との接触を少なくするための対策が、「地域全体」で必要となります。その後対策が有効で患者数が減少した場合には、社会経済的影響を最小限とするために、再びクラスター対策が必要となるかと思います。


23.質問者 : 大学医師 内科 50歳
質問内容 : 確認なんですが、5人に1人しか感染させていないというのは20%程度しか症状が出ないということと相同なのですか?つまりのこりの4人は感染させていないとお話しされましたが周囲の免疫を誘導するくらいの微量感染はさせている可能性がありますか?
回答:お話がわかりにくかったかもしれません。まず、感染者からの感染伝播の確率と、臨床上の重症度を整理してみます。重症度でいいますと、患者の約80%は軽症、約15%は重症、約5%が重篤となると考えられています。一方で、感染者の濃厚接触者調査を行った結果、感染者の80%の濃厚接触者からは誰も感染してなかったことが判明しました。すなわち感染者5人のうち4人は誰にも感染させていないことになります。残りの20%の感染者を起点に次の感染が起こっています。


24.質問者 : 医師  内科  50代
質問内容 : 例えば、地方から東京などの感染者が多い場所に、新幹線移動でホテル宿泊で出張するような場合、感染予防のポイントについて、御教示下さい。
回答:三密(密閉、密集、密接)の場を避けること、手指衛生や咳エチケットに注意することが重要です。今、この回答を書いている4月7日は、非常事態宣言が出されるかもしれないという状況です。更に人との接触を8割減らすことが必要となります。もちろん、体調がすぐれないときには勤務を休む、人との接触を避けることが必要です。


27.質問者 : 医師 60代 小児科
質問内容 : 感染の重症化や死亡率に人種差や民族差があるような気がしますが如何でしょうか。
回答:各国によって発生状況、医療・公衆衛生体制が異なっているため、国別や人種による単純な比較は難しいかと思います。


28.質問者 : 開業医
質問内容 : スタッフが発熱した場合に、どのくらいの期間、どのような状態になるまで、自宅待機させるべきか?
回答:COVID−19でなく、一般的な場合のご質問と思います。まず、どの感染症による発熱か、もしくは感染症以外の発熱か診断が重要だと思います。診断が確定した場合には疾患ごとに感染性を有する期間が異なりますで、疾患に応じてご対応することになると思います。診断がつかない場合は、症状が消失し臨床的に回復した時点までとするのが現実的ではないでしょうか。


29.質問者 : 医師 内科 40台
質問内容 : 無症候性の人が多く、患者の分母が不明なので、致死率に関しては過大評価されてると思うのですが、どうでしょうか?
回答:その可能性はあると思いますし、感染者数が大きく動くときには多くの方の予後が確定していませんので、正確な致死率を算出するのは難しいと思いますが、高齢者や基礎疾患を有する人で重症化しやすく死亡のリスクが高いことは多くの地域で共通に観察されており、間違いないと思います。


57.質問者 : 医師 内科 40代開業医
質問内容 : 中島先生に伺いたいです。
答えにくいかもしれませんが、今後の展開、いつ頃に収束の目処が立ちそうか、予想される範囲で教えてください。
回答:COVID-19は全く新しい感染症ですので、将来予測はとても困難です。世界的に蔓延した状況を考えると、少なくとも数ヶ月程度の短期間での終息は期待しにくいかと思います。


67. 質問者 :
質問内容 : 感染性はそれほど高くはないとのことですが、永寿総合病院での職員の集団感染はどのように起きたものと考えますか?
回答:調査結果が公表されるまではわかりません。


68. 質問者 :
質問内容 : PCR検査の偽陽性はどのような機序で起こるのですか?
回答:一般的には、検体の汚染や手技上の問題、陽性と陰性のカットオフの設定などありうると思います。


71. 質問者 : 看護師
質問内容 : オリンピックが一年延期になりましたが、開催は可能でしょうか
回答:先の状況は予想が困難です。


74. 質問者 : 薬剤師 30代
質問内容 : 現在、3密を避けることが求められていますが、医療スタッフの集合研修、学会など、必要な研修が現在行えない状況があります。どの程度の会議なら可能であるなどの判断基準はありますでしょうか。
回答:三密の密度が高ければ高いほど感染のリスクが高まると思いますが、どこから「安全か」の基準は特にないと思います。いかにしたらリスクを下げることができるかと考えるほうが現実的だと思います。同じ三密の状況でも、周囲の感染者が多いときには、感染リスクは高くなりますので、発生状況を注意深くフォローすることも重要です。

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