Quantcast
Channel: 感染症診療の原則
Viewing all 3243 articles
Browse latest View live

中国の西アフリカ支援

$
0
0
中国はエボラ流行対策で支援を求めている西アフリカの3カ国に専門家チームを派遣。これは国際的な公衆衛生の危機への初の支援とのことです。

昨日、日曜日の午後に飛行機は出発しており、各国に派遣されたチームは「一人のepidemiologist、二人の院内感染対策の専門家」で構成され、必要な物品も持参。各国政府に支援を行う予定。

8月10日 21時代のニュースでした

Chinese Ebola doctors to leave for Africa


エボラ流行を経験した国の医療者も支援に入りはじめています。

トリアージ、ケア、予防、患者やスタッフの食事や水の確保、物品の調達、夜間の電気の確保、症例情報の記録など、現場の負荷は対策がおくれると大きくなります。
地域や国境の封鎖では食べ物の不足なども心配されています。

親をなくした子どもの長期ケア、今後も定期的におきるであろうアウトブレイクを見越しての支援も始まっています。

国境なき医師団のような、非営利団体と違い、国として派遣する場合は、当該国やWHOなどの要請や相談があります。

(ベトナムSARSのときは、二国間での外務省経由での依頼)

中国は上海に米国CDCとの連携プログラムがあり、epldemiologlst含めた養成などが行われています。
US CDC in China

地震や台風の支援とは専門家の数や迅速性が違うのもしれませんが、短期・中長期的に日本からも支援が届くことを願ってます。
(活動団体に寄付など身近にできることもあり)

薬剤師のためのBST 2014 「薬剤師に役立つ画像診断」Q&A

$
0
0
薬剤師のためのベッドサイドティーチング2014
第2回「薬剤師に役立つ画像診断」
杏林大学呼吸器内科 皿谷健先生からご回答を頂きました。

以下、ご覧下さい。

ちなみにタイトル写真は皿谷先生が身体所見の講義をしているところ。

///////////////////////////////////////////////////


Q1. CT やレントゲン等の画像から、誤嚥性肺炎の診断をつけることは可能でしょうか?

画像上の診断はある程度可能です。気管分岐角が急峻である右の気管に異物が詰まりやす
いのと同様で、右側の肺に誤嚥は起こりやすいとされています。特に右上葉の背側や右下
葉には誤嚥が起こりやすいためまずは影の部位が右肺にあるかどうかを確認します。陰影
は浸潤影や気道散布性の陰影(誤嚥に関わった気管が支配している領域に一致)を認めま
す。ただし、誤嚥は必ずしも右肺だけではなく、肺のどの部位にも生じて良いとされてい
ますので臨床症状と合わせての判断が必要になります。


Q2.すりガラス影と浸潤影の違いが画像でみても良く分からない時があります。見分けるコ
ツはありますか?


すりガラス影:すりガラスの原因となる間質や肺胞腔内の滲出物は軽度であるため
背景にある血管影が見える
浸潤影:肺胞腔内が炎症による液体で満たされており、背景にある血管影が見えない。
肺の影の背景にある血管影が見えるかどうかで鑑別してください。


Q3. 無気肺と呼ばれる状態がよくカンファレンスであがりますが、画像上で特徴はありますか?

無気肺の理解にはセミナーでご説明した肺の大きな分類(右は3葉、左は2葉)に加えて
それぞれの葉を形成する区域の理解が必要になります(例えば右上葉なら3つの区域に分
かれています)が今回はそこまではご説明しておりません。それぞれの区域が無気肺にな
ることによる特徴的な画像所見がありますが、それが分からなくても左右の肺動脈の関係
(右が低く左が高い位置にある)を見てください。たとえば左右の肺動脈が同じ高さにな
ってしまったら、それは右上葉の無気肺(右肺門部が拳上)や左下葉の無気肺(左肺門部
の下降)が存在することになります。同時に横隔膜の位置も変化しているかどうかを確認
します。状態が良くなった時と悪いときの画像の比較も無気肺の理解に役立ちます。


Q4. 結核と結核痕の違いについて

肺結核は上葉や下葉に陰影を呈すことが多いのでまずはそれを確認します。
結核と結核痕は厳密には胸部CTまで撮影しないと分からないこともありますが、空洞性
陰影、浸潤影、気道散布影(衛星病巣または娘結節と呼ばれます)を疑わせる粒状影はactive
な結核を常に考慮します。結核痕は石灰化を伴い周囲に気道散布影を伴わない結節影であ
る場合が多くX-p でも“硬い印象”があります。


Q5. レントゲン、CT等の画像における酸菌(MAC)の診断方法について

これはセミナーの際にお示しした中葉と舌区に気管支拡張を伴う粒状影をみたら常に考え
られる疾患です。中年女性に多く湿性咳嗽を伴い、副鼻腔炎も合併することがあるので
臨床症状も大事になります。大雑把に非定型抗酸菌症の6割はMAC,2割はM. kansasii
(これは肺尖部にも空洞を良く形成しますので画像上の結核との鑑別はしばしば困難です)
と考えると良いと思います。

以下の写真は”放送スタジオ”でStandbyしている皿谷先生と編集長

感染対策の障害(正しいとわかっていてもやれない)

$
0
0
質問で一番多いのは、なぜ流行がとまらないでしょうかね?
です。

まだ、全体像はわかりませんが、現場の調査などからわかっていることや、今できることについては、8月11日のWHO発表資料が細かく書いてますので、
メディアの方にはこれをまず読んでいただくのがいいと思います。

現地の情報を集約可能な機関からの情報です。

Barriers to rapid containment of the Ebola outbreak

記者の中には乳児がpatient zero(最初の患者ではないか)という記事にワクワクした人もいるようです。
likely, could be, という記載ですが。
確認検査のない伝聞ケースで、各地にまだらに広がっているのを、ここからどう広がったんでしょうねえ…という全体に一人から広がったかのような推理モードになるのははっきりいってスジ悪です。

最終的には遺伝子の系統樹なども解明されてそういったレポートもでてくるかもしれませんが、あるていど自然史がわかっている感染症での接触者調査の本来の目的は、あらたな感染者への早期対応やトリアージ。
誰が犯人か的な視線はやめていただきたいですね。

確認検査もないところで噂をたてられ、ご関係の方がせめられたりしたらたいへんです。

WHOレポートにあるようにらどうすればいいのかわかっている感染症をとめられないのは、もともと脆弱な教育や保健医療システムのせいであり、手洗いもできない環境で働かなければならない病院であり、そんななかでキャパを超える業務にあたらなければならない支援の人たちに生じてる新たなリスクです。

シエラレオネの平均寿命は50歳に届きません。
三カ国の識字率も50%前後です(女性は男性の半分)。

私たちが冷房の効いた部屋でアウトブレイクの探知や調査〜を学ぶ時、そこには支援者を拒否したり排除する、石を投げたり刃物で抵抗する住民はいません。
皆が協力するし、物品もあるという前提で学びます。
軍隊との協力が対策、厳しいオペレーションや不安への対処は新しい課題です。

内戦など、悲しい歴史を雨の週末に学ぶ中で、病原体以上に怖いものは何かを考えました。



過去の知見でまだ読み込めていないのは、動物関係のデータです。
こちらの講義資料にある文献や、今回の調査レポートなどから読みたいと思います。

認められたもの、認められなさそうなもの

$
0
0
米国FDAがOrbactiv
を認可。

5月のdalbavancin (Dalvance, Durata Therapeutics)
6月のtedizolid (Sivextro, Cubist Pharmaceuticals)
に続く今年3剤目の新しい薬。



日本でインフルエンザの治療に使われているラニナビル(イナビル)は、海外では別の評価に。

日本語での解説(アポネットR研究会・最近の話題)で勉強しました。
薬剤師さんの解説はとてもありがたいですね。


どの薬剤もその背景、市販後調査も見て行かねば、です。

ICAACOnlineの学び ID Quiz #2

$
0
0
ICAACOnlineの学び ID 続きます。

問題#4:Culture Negative IEです。

1)この写真の微生物は?
>>Coxiella burnetii (Q fever)
2)最近、Outbreakのあった国は?
>>オランダ
3)Doxycyclineに併用する薬剤は?
>>Hydroxychroloquine、Ciprofloxacin、Rifampin

問題#5:女子大生、5日間調子悪い、2日間RLQ痛い、手術

・虫垂炎切除>>虫垂から虫が出現
1)虫の名は?
Enterobius vermicularis(Pinworm)
2)他に似たような事をする虫は?
Taenia、Schistosoma、Strongyloides、Ascaris
3)駆虫薬の名前は?
Albendazole、Mebendazole、Pyrantel palmonate


問題#6:移植患者が感染症で死亡 組織像は

1)微生物の名前は?
Toxoplasma gondii
2)移植の種類は?
Heart Tx
3)T.gondiiのGondiiの名前の起源は?
・1908年にNicolleらがハムスターのような齧歯類(ctenodactylus gundii)から見つけた
・Saadatniaら Scand J Infect Dis 2012;44:805-

アウトブレイク地に出かける準備

$
0
0
退避する人もいれば出かける人もいます。しかも最前線の現場に向けて。

ECDCのEPIETはプログラム修了生、現在のフェローと指導者が現地入りしており、米国EISプログラムからも派遣が行われています。

日本にも国立感染症研究所にepidemiologistを育てるFETP-Jもあります。

西アフリカのエボラ流行地に派遣される時持参するグッズが紹介されていました。
8月12日 TIME
What You Bring When You’re Going Into an Ebola Outbreak

"The EIS is a two-year program that trains doctors and other health professionals in skills they need to investigate infectious disease outbreaks and epidemics. The program began in 1951, in response to biological warfare threats during the Korean War. It’s a highly selective program, with 50% of those selected being doctors, and the rest veterinarians, nurses and pharmacists. Four of the last seven CDC directors were EIS officers."

日本では堺市でのO157アウトブレイクがきっかけとなりFETPができました。

具先生によるFETPの解説


厚生労働審議会の議事録より。

"国立感染症研究所の渡邉です。平成22年度の国立感染症研究所機関評価に係る対処方針について、説明させていただきます。資料3です。平成23年2月15日に、11名の委員で構成される評価委員会により、感染研の機関評価が行われました。評価委員の名簿は資料の22頁です。ここにおられます金澤先生に評価委員長をお願いしております。評価事項は、国立感染症研究所研究開発評価マニュアルに基づき、11の課題について行われました。

平成23年8月31日付で金澤評価委員長からいただいた「平成22年度国立感染症研究所機関評価報告書」に記載されている感染研の業務活動に関しての意見及びそれに対する感染研としての対処方針について、これから概要を報告させていただきます。

 1番として、研究、開発、検定、検査及び調査等の状況と、成果に関しての委員会の意見として、「研究所の活動自体はその研究条件や研究環境の厳しさを考慮に入れると、非常によくやっている。研究所の業務として、米国のNIH、CDC、FDAの3つの役割を行っているが、米国のそれと比べ、業務に係わる人員数及び予算額においては雲泥の差がある。人員の経費が削減される中、研究所の業務や研究の範囲は拡大し続けており、規模に合った機能の特化及び他の機関、他の省庁との連携を考慮した予算措置・人員措置の在り方を考える時期である」という意見をいただいております。"

 
"…新しい制度の導入を行い、実際の試験項目の削減を図り、業務の効率化を行ってきております。その上で、必要な人員、予算の年度要求を行ってきており、平成24年度は6名の増員を得ていますが、実質的には6名の削減になっております。

新興感染症の脅威から国民の健康を守るために必要な機能維持のためには、感染研の予算、定員削減についての十分な配慮をしていただくことを、切に感染研としては願っているところです。"



" その対処方針として、省横断的な研究成果発表会を行うことにより、特に疫学部門とラボ部門の連携強化を目指してきております。ラボ部門の60年の歴史に比べて、疫学部門はできてから14年です。そういう意味では非常にまだ浅いということで、今後さらに強化すべき事項という形で認識しております。
 また、国民に対して、感染研で疫学的対応を行っていることがわかるように、今後は感染症情報センターの名称を、できれば「感染症情報・疫学センター」なるものに変えることによって、実際に疫学研究をやっていることをさらに一層明らかにしていきたいと思っています。また、今後高齢化に伴う院内感染の増加など、特に臨床医学現場での連携が重要になっておりまして、感染研の隣に位置する国立国際医療研究センターとの連携を強化すること、及び研究テーマの選定においては、臨床現場との連携強化を図っていきたいと考えております。"



" 4番として、研究上の遂行上の基盤組織、研究補助、施設設備、情報基盤及び知的財産権取得支援等の体制に関しての意見です。「すべての感染症に対応するには研究者が圧倒的に足りない。日本の感染症対策の中枢機関であるにもかかわらず、毎年定員合理化(削減)がかかっていることは問題であり、研究所の国民に対する使命の質と大きさに鑑み、定員合理化計画からの除外対象とするべきである。施設整備に関しては、研究所にBSL4施設が絶対に必要である」との意見をいただいております。
 これに対して感染研の対処方針です。感染研としては、業務の優先事項の選定等による人員、予算の効率化に向けての努力を図っていく予定ですが、厚生労働省におきましては、感染研の予算・定員削減について十分に配慮していただくよう、切に希望しております。BSL4の稼働の必要性は十分に認識しておりまして、安全面等に関する地域住民への説明、広報活動は、毎年根気よく続けてきております。また、必要時にはいつでも稼働できるような準備を整えております。
 5番として、疫学・生物統計学の専門家が関与する組織の支援体制に関してです。これに対するご意見として、「疫学や生物統計学分野については、組織的には整えられているものの、この分野の専門家が少なく、研究所に唯一足りない基盤は、この疫学に関する強力なグループと、その機動的な活動と言える。本来は米国CDCのように、それぞれの部門に疫学の専門家が必要であり、平常時のサーベイランスはもちろん重要であるが、緊急時、すなわちアウトブレイク発生時に、特にパンデミック時の情報収集、解析提供の強化は必要であり、健康危機発生時の積極的疫学調査の体制作りも含め重要な課題と言える」との意見をいただいております。
 対処方針として、大学等の公衆衛生学部門の衰退により、感染研になかなかよい人材が集まりにくいような状況ですが、海外で疫学研究を行ってきている人材の登用を図っているところです。国内での種々の健康危機発生事態に対応していくためにも、疫学者を育成していくことは感染研の一つの使命であり、感染研としては、現在FETP(実地疫学者)養成コースを設置し、これには毎年5名から7名の入所者がおります。臨床経験を積んでから感染症の疫学を習得したいという医療従事者を育成すべく努力しているところです。我が国にFETPコースを卒業した疫学者ネットワークを構築し、彼らに平常時及び危機対応時に現場での疫学解析等の一翼を担ってもらいたいと考えております。厚生労働省に対しても、このような組織を維持する予算・人員等の確保の要求を行ってきておりますが、非常に厳しい状況にあります。感染研としても、さらに感染症情報センターの機能の強化を図っていきたいと思いますので、ご支援のほど、よろしくお願いしたいと思っています。"

2012年5月16日 第71回厚生科学審議会科学技術部会 議事録

すぐに専門家派遣をするためには、常に余裕のある人員体制や初ような経費支払いの権限なども重要ですね。

保健所や自治体、専門家がVPDである麻疹や風疹で対応におわれてる場合ではない…と、まさかのことにも対応せよとなったら痛感しますね…。

ぼちぼちと、できること と その周辺

$
0
0
どんな情報を見ればいいですか?という質問も来ています。
日本語では厚生労働省にできたエボラ特設ページ、感染研、外務省の安全ページだと思います。

日々みていて思うのは、「!」マークをよく使う記事やtweetはなんだかな…です。いや、ただの印象ですが。

海外で受けたリスクコミュニケーションの訓練では、既知ではないものに生じる漠然とした不安は、日常でイメージしやすいことや、具体的に撮れるアクションとあわせて、manageableであると説明を、とありました。

新薬やワクチン開発など別の熱くなる話もならんできたので、現実感、距離感の乏しい話題の羅列で直接関係ないリスクについての不安あおりが増えないよう注意する必要があります。

(エボラ関連では、直接感染症に関わってない人たちのネットニュース聞きかじりコメントも増えてきたように思います…よくある光景といえばそうですが、評論家という仕事もたいへんですね…とながめてます)

国や自治体から通知がでて、「うちの地域」「うちの病院」「わたしたち」「私の責任範囲」など具体的にわかっていないこと、つめきれてないことの確認も行われています。

アセスメント、ですね。
アセスメントもなく「うちには関係ない。そんな質問するな。」空気になってしまっているところもあるようですが、
実際の感染症のリスクはないかもとして、組織のガバナンス、新興・再興感染症への備えがすすまないとか、それより何より、チームや職員の不安がかえって大きくなったりしないよう配慮が必要な案件です。

リーダーへの信頼もゆらぎかねないので、何も起きていないときのコミュニケーションとして、必要なことはやってるよ、という周知も大切だと思います。

ばたばた慌てる風景も不安をよびます。スタンダードプリコーションなどが周知されてない(軽視されている)ところでは、そうした安心の基礎がないことが、最終的にいろいろなことに影響をもつことを学ぶ夏です。

テンパってる上司も…です。おれは夏休み返上だ、と目が血走る姿も周囲を不安にさせます。たんたんと業務、たんたんと夏休み、がいいですね。
お盆シーズン、無事に過ぎるようがんばりましょう。

来週から、夏休み海外の方の受診も増えます。(外来のトイレの掃除もまめにしなくちゃ…ぼそぼそ)


感染症に関わる医療関係者にとっては、勉強になるニュースも。

ナイジェリア渡航歴のある発熱と下痢の26歳男性にエボラの検査をしたら陰性。(ニュース記事によると検査は本人のいうヒストリーからのようです)
そして、マラリア陽性でした、というニュースです。

'Ebola suspect has malaria

この記事にありますが、政府は相談電話(ヘルプライン)を設置。
病院などにじゃんじゃん電話がかかると通常業務に支障が出ますし、緊急の連絡がしにくくなるので、感染症はじめ公衆衛生上の情報提供や不安対応が必要な時はこのような相談電話が設置されたりします。



現在、エボラの流行地での特定リスクがないと検査は検討されませんが、その地域では他の病気もふだんから流行ってますので、頻度的に高いマラリアや腸チフスの検査も、となる場合があります。

熱帯熱マラリアの診断や治療がおくれたらたいへん、というこは感染症系の人は知ってますが、頭の中がエボラ情報のみの人にはこの問題は意識されにくくなってます。

熱帯病治療薬研究班 「マラリア診断のアルゴリズム」

国立国際医療研究センター 熱帯医学・マラリア研究部

日本のマラリア検査の現状

バイオセーフティレベル
国立感染症研究所
検疫のホームページ


私は特にすることないですよ、何かご協力できませんか?という方もいらっしゃいます。ありがたいことです。

地域や病院にある古い資料やホームページ記載のアップデートの提案などしてみてはいかがでしょう?

昔マニュアルを作った人はもう誰もいない状態(2009年のインフル対応経験者も職場にいない)、そんな記載がホームページにあるとは誰も知らない案件などあるようです。
(稀な感染症に平時から気を配る人はそうたくさんいないので…)

勉強会をやってみようか?となったら、


岩田先生が公開してくださっているスライド

なども活用させていただき、自前でつくるのもよいかもです。

すごく専門的な情報ではなく、予防や自分の施設での対応が確認できることがとりあえずのゴールですから…

ICAACOnlineの学び ID Quiz #3

$
0
0
ICAACOnlineの学び ID Quiz  
続きます。

問題#7:44歳カリブ海出身 ホジキン病 腹痛
1)この写真の微生物名は?

>>Strongyloides
2)合併する疾患は
>>HTLV1

問題#8:頭痛の女性でDM CTは


1)穿刺したらキャラメルの匂いがした。微生物の名前は?
>>Strep. milleri/S.anginosus
2)この微生物の仲間の名前は?
>>S.intermedius、S.constellatus
3)使用すべき抗菌薬は?
>>通常はペニシリン。しかし耐性も報告されている

次回はNobel prizeを受賞した日本人の話題です。Stay tuned

ICAACOnlineの学び ID Quiz #4

$
0
0
ICAACOnlineの学び ID Quiz #4 続きます。

今回はNobel prizeを受賞した日本人、田中耕一先生の話題です。

#:MALDI-TOFについて
1)微生物同定を飛躍的に進歩させた、この絵で示されるシステムの名前は?


>>MALDI-TOF

2)MALDI-TOFは何の略か?
>>Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization Time of Flight

3)このシステムの発見者はKoichi Tanakaだが、彼について特殊な事は?
>>田中先生はPhDでも大学で働く研究者でもない。彼は大きな企業で働く人だった。

以下、Wikipediaより:
田中耕一:たなか こういち
田中 耕一は、日本の化学者、エンジニア。東北大学名誉博士。 ソフトレーザーによる質量分析技術の開発で文化功労者、文化勲章、ノーベル化学賞を受賞。受賞以降も、血液一滴で病気の早期発見ができる技術の実用化に向けて活躍中である。

以下、編集長の身勝手なMALDI-TOFの理解:
・以前からLaserで物質を分析・同定する方法はあったが、微生物のようなデリケートで大きなMoleculeにLaserを当てると壊れて仕舞って分析出来なかった。田中氏はMatrixと混ぜる事により、この問題を解決した。更に質量により磁界を飛ぶ時間が異なる事を利用して質量も測る事ができる。(編集長の簡単な理解では、培養しなくても、微生物名が得られる。これは医療費をとても節約させるとの報告が既にICAACでも・・)
・島津製作所で働く、一般People的な方が素晴らしい研究をして表彰されたのは編集長も嬉しいです。税金を湯水のように使ってとてつもない装置を作って・・というのとは違うのですから・・。ちなみに田中耕一先生は英語が得意ではなかったが、ある小さな集まりでこのMALDI-TOFの発表を英語でしたおかげでNobel賞の委員会のメンバーの眼にとまった・・という逸話を聞いたことがあります。
・アカデミアの臭いのしない、爽やかな庶民的英雄として以前から編集長は田中耕一先生が大好きでしたが、これほど、実は自分の専門領域と関係のある大発見であるとは恥ずかしながら知らなかったのです。

地道な感染予防、の具体的な説明と根拠

$
0
0
「このエボラのアウトブレイクは終わるんでしょうか・・・・」と心配顔での質問があります。

終わります(根拠はこれまでのウイルスの流行パターンと封じ込め策が有効であったことから・・・)

終わりますが、問題は、ウイルスを持っているコウモリをはじめとする動物とヒトが接触するポイントがおおもとの感染源であるかぎり、またどこかで流行が起こるのも確実です。

日本では「早くおさまらないかな」と夏休みが消えたらどうしようとお祈りモードの人がいるわけですが、最新情報に注意しつつ、今後もおこりうるエボラのような感染症の対策で手薄だった点を整えるなど前向きに取り組んでいるhともいます。


参考までに、今回のアウトブレイクの前に「最大規模」であったウガンダはどのように流行が止まったのか(止めれたのか)。

Outbreak of Ebola fever in Uganda officially over
Eurosurveillance, Volume 5, Issue 10, 08 March 2001

2000年10月にはじまり、2001年2月27日、最後の患者から(潜伏期間の倍にあたる)6週間たっても新規患者が発生しなかったことをもって終息宣言が行われました。
WHOのGOARNから25の国際的な団体、100名を超える専門家が協力を行いました。

International Committee of the Red Cross
Institute for Tropical Medicine (Belgium)
Istituto Superiore di Sanità and the Italian Cooperation (Italy)
Médecins sans Frontiers (Netherlands and Belgium)
Institute for Tropical Medicine (Belgium)
Public Health Laboratory Service (England and Wales)
Tropical Medicine Institute (Germany)

などが協力。

Outbreak of Ebola Hemorrhagic Fever ---Uganda, August 2000--January 2001
MMWR February 09, 2001 / 50(05);73-7

Humanitarian aid to help fight Ebola outbreak in Uganda
Eurosurveillance, Volume 4, Issue 47, 23 November 2000


日本のメディアを見ていると、日本の人に煽りたいモードでのつくりであることがよくわかります。
効果音、色使い、致死率90%「!」という数字の採用、医療者も感染→だから怖いですね、というストーリー。

感染源、感染経路については、一般のところでのものと医療者レベルのところでの整理が必要です。
そして、医療者は専門職としての訓練や物品があれば予防できるはずなのになぜ感染するのか、ケアが必要な部分はどこか、またプライベートで起こりうるリスクは何かなども検討されています。


コウモリや野生動物を狩猟で確保する際のケガや血液退役曝露は、ハンターや市場での販売者、調理者には引き続きおこりうるリスクです。

血液や体液。これらは日常で他人のものにそうそうふれることはないですし、ふれたら手を洗うとして、自分の粘膜や傷にこすり付ける人はいないという前提とします。

が、これらがまじっている便や尿、吐しゃ物となると、家族が病気だと家族内で、医療機関でだと医療者が濃厚曝露することになります。

いずれにしても、対策を講じることは可能ですが、どのレベルで徹底できるのか。
経済優先、物品がない、人手がない、疲れていての事故等も影響します。


体液・・・について調べた研究。

Assessment of the Risk of Ebola Virus Transmission from Bodily Fluids and Fomites
J Infect Dis. (2007) 196 (Supplement 2): S142-S147.


感染経路についての説明書きから「HIVと似ていますか?」という質問もあります。
性的接触でもうつるのでしょうか?です。
うつります。そこに体液や血液が介在するからです。
ただし、HIVのように、感染してからどの時期にウイルスが増えて人にどれくらいうつしやすいのかという明確なデータはまだみていません。

具体的な助言は明記されています。

WHOの資料にもありますが、回復した男性が退院するときに、7週間は性交をしないようにという助言があります。

"People are infectious as long as their blood and secretions contain the virus. For this reason, infected patients receive close monitoring from medical professionals and receive laboratory tests to ensure the virus is no longer circulating in their systems before they return home.

When the medical professionals determine it is okay for the patient to return home, they are no longer infectious and cannot infect anyone else in their communities. Men who have recovered from the illness can still spread the virus to their partner through their semen for up to 7 weeks after recovery. For this reason, it is important for men to avoid sexual intercourse for at least 7 weeks after recovery or to wear condoms if having sexual intercourse during 7 weeks after recovery."


3か国の識字率は男性で50%前後、女性はその半分ということで、WHOのこの情報へのアクセスがよいとはおもいませんので、どの程度知られているのかはわかりませんが。
このことを強調すればまた偏見や差別という問題も生じることは必須だとおもいます。


Clinical, Virologic, and Immunologic Follow-Up of Convalescent Ebola Hemorrhagic Fever Patients and Their Household Contacts, Kikwit, Democratic Republic of the Congo
J Infect Dis. (1999) 179 (Supplement 1): S28-S35.

血液は採血ですが、、精液を提供してもらって研究するというのは血液以上にたいへんそうです。


うつらないんじゃ、ということと、 うつるでしょう、というヘッドラインが同じ日に出ていました。

Ebola Transmission Via Sex Unlikely - LiveScience
2014年8月6日 Can You Get Ebola from Sex?

2014年8月6日 Yes, Ebola can be sexually transmitted


今回のアウトブレイクの規模は、調査や検査法が普及してよくひろえるようになったからなのか、どのように広がったのかはまだわかっていません。
感染している人の記述疫学的な情報が整理され、ウイルスの解析がすすみ、現場で役立つ情報として出てくることが期待されます。

ウガンダとシエラレオネ、その他2国との医療インフラ、外国支援の受け入れの空気、もともとの習慣などもちがうとして、
感染症としてもこれまでとちがうのではないか?ということでの検討(印象から実証へ)も専門家が進めているところであります。

2014年4月1日 NPR
Why Is Guinea's Ebola Outbreak So Unusual?

本日の格言 マリリン・ボス・サバント

$
0
0
Being defeated is often a temporary condition. Giving up is what makes it permanent.
Marilyn vos Savant


( 「してやられる」のは一過性のこと。でも「あきらめたら」永久になってしまう。・・編集長意訳)

以下、Wikipediaより:
マリリン・ボス・サバント(Marilyn vos Savant、1946年8月11日 - )は、アメリカ合衆国のコラムニスト、作家、講師、劇作家。ミズーリ州セントルイス出身。

人物
ギネスブックに「最も高いIQ」を有しているとして認定されたことで知られる。読者から寄せられた様々な質問(数学・論理パズル、哲学、物理、政治、教育、人生相談等々)に彼女が答えるコラム「マリリンに聞く (Ask Marilyn)」を1986年から米紙「パレード」に連載している。1990年、「マリリンに聞く」で読者が「モンティ・ホール問題」について質問した際、直感に反するマリリンの回答が大きな反響を呼び、高名な数学者ポール・エルデシュまでもが反論する事態となったが、コンピュータによる実験でマリリンの正しさが実証された。

IQ
彼女が高いIQを持つことは広く知られており、メンサや プロメテウスソサエティを含む、高IQを持つ人物のみを受け入れるいくつかのクラブにも入会している。しかし、様々なテストを受けた結果の数値にばらつきがあるため(IQテストとは元来そのようなものである)、彼女の正確なIQについては依然として論争がある。今のところ 167+, 186, 218, 228, 230 という結果が出ており、ギネスブックではその中の228が採用された。

ICAACOnlineの学び ID Quiz #5

$
0
0
ICAACOnlineの学び ID Quiz #5

続きます。

#:黄熱病
・2012年、Sudanで働くAid workerが調子を崩しました。
・発熱、筋肉痛、悪心・嘔吐。
・一度、改善して再度、悪化して悪心・嘔吐、高熱です。除脈、黄疸も・・。
・臨床的には肝炎です。原因は?ヒントは以下の写真


1)病名は
黄熱病>肝炎
2)この写真の変化の名前は
・Councilman body (肝細胞のApoptosis)
3)Councilmanとは誰?
発見者のアメリカの病理学者 William Thomas Councilman

注意:Councilman bodyは黄熱病に特有ではなく、他のViral hemorrhagic feveでも見られるのでPathognomonicではない。

#:鉄代謝

1)この女性の病気は?
ヘモクロマトーシス
2)この女性が肝膿瘍を作ると菌の名前は?
Yersinia enterocolitica(鉄で有利になる菌)
3)この病気の治療薬で感染症を悪化させるものは
キレート剤のデスフェロキサミン。(Paradoxicalだがデスフェロキサミンは微生物の鉄の利用を助けるらしい。)

若セミ ER診療のパールズ 寺沢先生 8月22日(金)

$
0
0

もう何も申し上げる必要はありません。
例年どおり、寺沢秀一先生のお話に酔って下さい。

2014年8月22日(金) 19:30~21:00
ライブ配信です。

ちなみに下の写真、2枚の間には30年以上のIntervalがあります。





ICAACOnlineの学び ID Quiz #6

$
0
0
ICAACOnlineの学び ID Quiz #6

続きます。

#:RAの患者が生物製剤使用中にこの写真


1)菌の名前は?
>>Salmonella sp.
2)50歳以上でSalmonella菌血症で血管内感染症を起こすリスクは?
>>10-25%
3)RAに対して生物製剤を使用中の患者に多くみられる細胞内寄生の微生物名は?
Listeria、Legionella

#:57歳男性。再発する副鼻腔炎の既往。5日間続く頭痛+発熱で来院
頭部CT:正常、髄液:1110mg/L, WBC 444/ml(50%PMN), Sugar 0.5mmol/L
培地でのコロニーとグラム染色は

1)微生物名は?
Haemophilus sp.
2)HACEKは何の省略?
Haemophilus, Aggregatibacter, Cardiobacterium, Eikenella, Kingella

#:71歳、農民、ソロモン諸島に住んでいる20年間続く下肢の病変、写真

1)病名は?
>>Chromoblastomycosis
2)この病変の名前は?
Sclerotic body
3)微生物名は?
Fonsecaea pedrosi

ふー。難しい。昔、記憶した真菌名だけど・・

本当のICAACの会場では、Quizはまだ続くのですが、他に面白いものもあり、2014年度のICAACが始まってしまうので次に行きます。

2次的3次的におきている問題

$
0
0

“No Caesarean sections, no pediatric care, no vaccination strategies. All these things are affected because hospitals are closed in these countries.”

国立国際医療研究センターの加藤康之先生がリベリアで行っている支援について、NHKヨハネスブルグのカメラが入った取材が行われていました。

新しい50床の診療所では、各ベッドを仕切るパーテーションがあり、そのパネルにはユニセフの文字がありました。

現在は食糧支援含めて国際機関総出で支援が行われています。

PPEの不足や医療者のストライキによる医療の崩壊、国境の封鎖の結果おきている問題にもメディアが関心を向けています。

エボラだけでなく、日常的に必要性の高い保健医療がさらに脆弱化しており、妊婦や新生児の救命のためのケア、乳幼児への予防接種の提供が困難になっていることについて、これまでの感染症中心の話からより広い戦略の話へとシフトしています。

公衆衛生の専門訓練を提供する、School of Public Healthでも臨時でセッションを開いたり、活動をしているところがあるそうです。

こちらはハーバード大学。

Ebola outbreak: African officials join Harvard experts to strategize

日本の公衆衛生大学院などでも話題になっているでしょうか。
どのコースにも感染症の講座や科目は多少なりともあるかと思いますので、その活動を聞いてみようと思います。

現地支援だけでなく、国内の感染症対策や施策を見直したりする良い機会でもあります…

回復、退院 と その周辺

$
0
0
毎年、インフルエンザのハイシーズンがあります。
その前の時点で、自分や家族がインフルエンザをきっかけに死ぬかもしれない、という想像をしている人はいなんじゃないかと思います。
一定の数亡くなってはいますが。
自分は数日寝て回復する側だと考えているでしょう。
高リスクの因子はわかっていますがらどの人(個体)に激しい症状がでるのかはわかりません。

エボラウイルスの場合は、自分や近親者がなったら、もしかしたら死ぬかもしれないという恐怖をかかえます。
実際、伝えられている致死率はとても高い。

しかし、狂犬病のように発症したらほぼ100%死亡、というわけではなく、今回は約50%、半数は生還します。

米国で未承認治療薬が使われた医療者2名は無事回復し、歩いて退院となりました。
この薬が著効したのか、自然経過をみているのかはわかりませんが、ワクチンも治療もゼロから、使用のための開発へというニュースが増えています。

そもそもの病気の進行、それにまけないの決め手となるのはなんなのか。

What Cured Ebola Patients Kent Brantly and Nancy Writebol?

9月のICAAC、10月のIDWeekなどでも話題になりそうです。

抗原虫薬から抗ウイルス薬へ・・

$
0
0
感染症治療薬とは面白いものです。
Metronidazoleは抗原虫薬でしたが、嫌気性菌にも効きます。
Trim/Sulfa(バクタ)は黄色ブドウ球菌やグラム陰性桿菌の薬とともに、真菌のPneumocystisに効きます。
Clindamycinは嫌気性菌の薬ですが、マラリア原虫にも活性がある。
Rifampicinは結核の薬のようだが、大きなウイルスや真菌にも効きます。

そんな治療対象がひとつのクラスではない治療薬がまたDebutしました。抗ウイルス薬のNitazoxanideです。

「Nitazoxanideが抗ウイルス効果? え?! 何かの間違い・・」と思った編集長。下記を読んで感心しました。何しろ、長年、抗原虫薬として使用され安全性、経口での吸収など問題無いのが分かってますから・・

臨床検査は、未完成・完了ですが、治療効果が期待できるのは以下のウイルス達・・

・influenza A and B viruses:含むinfluenza A(pH1N1)、avian A(H7N9)、neuraminidase inhibitorsに耐性の株にも。(更にNeuramidase阻害剤と相乗効果も)

・多くのRNAとDNAウイルス:RSウイルス、Corona(例のMERSなんかも?)、HBV、HCV、Dengue、Yellow fever、日本脳炎、HIV

詳細は以下をどぞ。

Antiviral Res. 2014 Aug 7. pii: S0166-3542(14)00213-7. doi: 10.1016/j.antiviral.2014.07.014. [Epub ahead of print]
Nitazoxanide: A first-in-class broad-spectrum antiviral agent.
Rossignol JF.

PMID: 25108173

満員御礼! 2014年度第2回、第3回EBICセミナーin Kobe

$
0
0
◆2014年度第2回、第3回EBICセミナーin Kobe:
満員御礼となりました!

日 時:
2014年9月6日(土)10:00〜13:00/14:00〜17:00

場 所:
神戸大学医学部附属病院 シスメックスホール

テーマ:
抗菌薬感受性検査結果の臨床的な読み方を基礎からじっくり学ぼう
(第2回)−グラム陽性球菌(MRSA, VRE, PRSPなど)を中心に−
(第3回)−グラム陰性桿菌(ESBL, MDRP, BLNARなど)を中心に−

講 師:
岩田健太郎(神戸大学医学部附属病院)
山本 剛(西神戸医療センター)
佐竹幸子(群馬大学)

午前はグラム陽性球菌、午後はグラム陰性桿菌について、1日かけて基礎からゆっくりやります。
感染症専門医の岩田健太郎先生、グラム染色のエキスパート 山本剛先生のお話が聞けます!

事前受付締切日の8月29日(金)までにキャンセルがあった場合は、ホームページ上で
追加募集のお知らせを致します。

詳細はホームページをご覧ください。
http://www.ebic.jp/

毎日が新しい始まり

$
0
0
Every day is a new beginning. Treat it that way. Stay away from what might have been, and look at what can be.
Marsha Petrie Sue

毎日が新しい始まり。だから(毎日を)そのように扱いなさい。(過去に)こうしなかったら・・・などと考えず新しい(これからの)可能性を見つめなさい。(編集長意訳)

(タイトル写真:35年前からお世話になっている寺沢先生と@若セミのスタジオ)

感染症の対策やルールを決めている場所と人

$
0
0
国家試験のときに分類や病名を暗記した後はあまり勉強する機会のない感染症の仕組み。
臨床感染症については学びの場も増え、日本語で読める本も増えましたが、そもそも国や地域でどうやって予防や対策をとっていくのかということをじっくり学ぶ機会はありません。

このため、時事的な問題などから研修医や学生、多職種と勉強したり、そこから大元の資料にあたるようにするのがスムーズな勉強法のように思います。

制度を話し合っているのは専門家があつまる厚生労働省の会議で、最終的に法律や改正が必要な場合は国会等で検討されることになります。

エボラが話題になってあまり関心をもってもらえなくなっているかもしれないMERSですが、新しい病気が問題になるたびに「その位置づけは?」という検討が必要になります。

今年5月28日の第4回厚生科学審議会感染症部会議事録の一部をみてみましょう。

病原体の専門家だけでは、現場レベルでどうすればいいかということの検討が難しいので、臨床のことが分かる人の参加がとても重要です。この会議には、青木編集長も親しい味澤篤先生が参加されています。駒込病院の部長から豊島病院の副院長になられました。

-----------
まず、感染症法に基づく感染症の類別ですが、8ページです。こちらで感染症法に基づく感染症の類別を表にしています。感染症法に基づく措置の対象となる感染症を、一類感染症から五類感染症と分別しております。五類感染症から一類感染症に向かうに従って、適用できる措置の内容が広がるような構造になっています。
 
例えば四類感染症については、1例1例について医師からの届出を出していただき、それについて積極的疫学調査の実施が可能となっています。

三類感染症になると、更に患者の就業制限、健康診断受診の勧告実施等ができるようになり、さらに二類感染症になりますと、これに加え疑似症患者への措置の適用、入院の勧告・措置といったものが取れるようになっております。

これを踏まえまして、3ページです。MERSに関して現在までに判明している知見として、まず、初発例の感染地域は、現時点ではアラビア半島地域に限定されています。また、基礎疾患のある方や高齢者の方では重症化しやすくなっていること。健康な方では感染しても無症状若しくは軽症で経過する場合も多いこと。また、限定的ではヒト-ヒト感染が確認されていること。先ほど御説明がありましたように、アメリカの事例では比較的軽度の接触で感染する場合があることも分かってきております。それから、特に4月以降、医療機関における二次感染の発生患者が多くを占めています。それからウイルス保有宿主動物としては、ヒトコブラクダが有力視されておりまして、はっきりした感染経路はまだ不明な点が多いですが、病気のラクダの世話をした、ラクダの未殺菌乳を飲んだといった履歴のある患者の報告が確認されております。
このような事実に鑑みまして、国内におけるMERSの国内発生の予防を図る上で、必要な措置の内容としては、今から申し上げる4点があるかと考えております。
1点目としては、日頃からの医療機関における標準予防策の徹底です。こちらは特に法的措置の必要はありませんが、日頃から徹底をお願いしているところです。次に、医師による迅速な届出による患者の把握。これは四類感染症以上に指定することで可能となります。3点目は、患者発生時の積極的疫学調査(接触者調査も含む)です。これも四類感染症以上に指定することで可能となります。最後に、患者に対する入院措置や公費による適切な医療の提供。これは二類感染症以上に指定することで可能となりますが、このMERSは限定的ではありますが、ヒト-ヒト感染がありますし、軽症の方から更に次の方に感染する事例が報告されていることを考えますと、この点は非常に重要になってくるかと思います。
 今、申し上げたような措置を実施し、万全な対策を期すためには、MERSを二類感染症として感染症法上に位置付けることが適当ではないかと事務局としては考えておりますが、この点について御審議いただきたいと思います。
---------------

事務局というのは厚生労働省の担当部門のことです。そこには事務方もいますが、医師免許をもった医系技官もいます。会議の準備をしたり、会議のメンバーを検討しているのもここです。
現行の法律とのかねあい、他の部門との整合性等細かい確認もしています。

---------------
(中略)
○味澤委員 この中で、実際にMERSの患者を診そうなのは私ぐらいですが、二類に指定するのは基本的に問題はないです。先ほどからの話を聞いていると、比較的軽症例が多いということなのですが、重症になったときに、先ほど大石先生が言ったように、WHOのMERSコロナウイルスのスタディーグループの報告だと、大体161人いて80人以上がICUでの治療を必要としているわけです。よくなった例を見ても、4分の1ぐらいはICUに入っているわけです。そうすると、二類病床でICUを持っている所は1つもないので、そういう場合に弾力的に、感染に気をつけてICUでもよいとか、そういった施設を持っている所に送ってもいいのかということを。
 二類というと、最近は非常に重症な二類が増えてきています。我々が今まで扱ってきた二類というのは、命に関わるということは滅多になかったものですから、その辺を丁寧に説明していただかないと。軽症な例では問題ないのですが、いざ重症になったときに、感染対策を取るのか患者の生命を救うのを取るのかというような問題になってしまう可能性がありますので、その辺をよろしくお願いします。

○梅木結核感染症課長補佐 今、指定若しくは二類感染症に位置付けた場合は、基本的には第二種感染症指定医療機関若しくは第一種、特定といったところで、入院が可能となるということになります。二種には、確かに透析をできる所というのは要件としてはありませんが、第一種であれば人工透析ができる設備を有している病院が指定されているといった状況です。また、臨時、応急の場合は、都道府県知事による入院が可能となりますので、そういった場合には移送をしていただくことが検討されるであろうということになります。

○味澤委員 厚労省の方だから、第一種がどのような施設なのかよく分かっていないと思いますが、私は今は豊島病院にいるのですが、前にいた駒込病院の一種というのは、感染防御は厳密なのですが、いわゆるICUという、患者を何とか救おうという仕組みとはほど遠いのです。ですから、二種が駄目なら一種があるというようなのは飛躍しすぎで、その辺はもう少し検討していただきたいと思います。

○渡邉部会長 事務局のほうに宿題ということですかね、それとも答えられますか。

○結核感染症課長 具体的な受入体制は今後検討していきたいと思います。

○前田委員 今の味澤委員の話の関連です。全国衛生部長会として協議致しまして、この方向で賛成いたします。味澤先生からの重症例の場合の話もありますし、軽症の方についてもそうなのですが、二類に指定されるということは、必ずしも全てが勧告入院あるいは措置入院の対象になるということではなく、その方の病状に応じて適正に対応できるという意味での二類への指定だと考えています。病状によっては、現に使用されている医療機関で継続して治療を行うほうが、患者の治療にとって適切である場合もありますし、逆に余り院内感染対策が適切でない医療機関の場合については、直ちに勧告し法的に移送ができるという意味では、この二類は適当だと思っています。
 ですので、今の味澤先生のご質問に、先生の病院の地元自治体である東京都としてお答えしますと、その患者の病状等によって、指定病床への入院勧告か、あるいは、先生御所属の豊島病院には感染症対応のICUもございますので、そういう所で対応していただくかも含めて判断しながら、法を適用していきたいと考えています。

○渡邉部会長 ほかにございますか。臨床の先生で、小森先生いかがですか。

○小森委員 私としては、基本的な議論の方向性は賛同するものでございます。ただ、今、味澤先生が言われたような、第一種感染症指定医療機関というのは全国的にも極めて限られた、法的には設置されていても、実際にどの程度機能するかというのは別の問題がありますので、事務局が整理されたように、そこは検討をしっかりしていただきたいと思います。
----------------

現在のシステムを理解するために、ふる〜〜い資料も読んでいます。
過去の関係者の苦労と努力と、えええ? を学べます。

感染症部会の資料と議事録はこちらから
Viewing all 3243 articles
Browse latest View live