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【Q&A】 ワクチンを含めた感染症予防のお話  氏家先生 (サンドデジタルセミナー)

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たくさんの質問ありがとうございました。
質問を整理してくださった相野田先生、たくさんの質問にご回答いただきました氏家先生ありがとうございました。


[注意]
下記の内容は、講義を聞いたという前提での質問と情報提供であることをご了承ください。
内容は講師個人によるもので、特定の組織や立場を代表するものではありません。
特定のケースでの検討の際は、主治医・当事者の個別性と責任のもとでご判断ください。

印刷した資料はサンドのMRから直接、あるいはHPからダウンロードで入手可能となります。

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Q1:ワクチンによる有害事象は急性が多いように感じますが、長期的に注意すべき有害事象などはあるのでしょうか?

A1:多くの有害事象は接種部位の局所反応や発熱や皮疹に代表される全身の反応で接種後2週間以内に生じることがほとんどですが、接種するワクチンによっては、長期間経過した後に有害事象が生じることがあります。
予防接種法で定められた定期接種ワクチンについては、医師に有害事象を報告する義務が生じますが、接種したワクチンによって報告の対象となる有害事象の基準が定められています。
例えば、BCG接種後には、接種により生じうる骨髄炎・骨膜炎は2年、全身播種性BCG感染症は1年、化膿性リンパ節炎は4か月など、かなり長期的にそれらの可能性を考慮する必要があります。また肝機能障害、ネフローゼ症候群、間質性肺炎などの臓器障害、または急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、脳炎・脳症、ギラン・バレー症候群などの神経疾患も接種から1ヵ月程度の期間は有害事象の可能性を考慮する必要があります。詳しくは参考情報をご覧ください。

参考情報:
副反応の報告基準の設定について(厚生労働省 第24回予防接種部会資料)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002tiov-att/2r9852000002titl.pdf


Q2:ワクチン投与患者における感染症治療の考え方は何かありますか?例えば、肺炎球菌ワクチン接種患者では肺炎球菌感染の優先順位は低いであるとか。ワクチン接種の既往が感染症診療にどう関わるのでしょうか?

A2:診察時に鑑別疾患を考える上で、予防接種歴も総合的に判断される情報のひとつとして重要です。適切に予防接種を受けている場合には、その疾患が予防されている可能性が高く、鑑別での優先順位が下がることも考えられます。ただし、接種した時期、接種時の基礎疾患、接種したワクチンの有効率など、様々な情報を総合的に評価する必要があります。


Q3:薬剤師の立場で、患者さんにワクチン接種を積極的に推奨できる場面はあるのでしょうか?例えば、血液疾患患者さん、抗がん剤治療などで易感染リスクの高い患者さんなどでもありえるのでしょうか。

A3:医学的に予防接種を推奨する際には、根拠となるメカニズム、検討結果(エビデンス)に基づくガイドラインや教科書による記載を参考にする必要があります。例えば、免疫不全状態での感染予防は適切に予防接種を用いることが有効な予防手段となりえます。デジタルセミナーでもお話ししましたが、脾摘後の患者さんでは、液性免疫の低下により肺炎球菌に代表される莢膜を有する細菌の感染症(他、髄膜炎菌、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型、等)で重症化のリスクがあり、これらの疾患はワクチンにより予防が可能な疾患です。計画的に脾臓摘出術等を行う際には、事前に予防接種を受けることで、脾摘後もこれらの疾患による感染のリスクを減少させることができると言えるでしょう。
また、その他の免疫機能の低下を伴う疾患に対しても、予防接種は多くの場合に有効な一次予防の手段であると言えますが、生ワクチンについては接種自体が禁忌となることがあるため注意が必要です。また予防接種の効果を最大限に引き出すためには、免疫機能ができるだけ正常な状態で予防接種を受けることが望ましいと考えられます。


Q4:ワクチン接種の有効性が最大に発揮される患者状態はありますか? 逆にどのような状態だとワクチン接種効果が減弱されるのでしょうか?

A4:Q3でも触れましたが、予防接種は体内で疑似的に感染が生じた状態を作り出して、免疫を構築するメカニズムで予防効果(抗体)を獲得できるため、予防接種による効果を十分に発揮させるためには、免疫機能が正常であることが重要です。手術、薬剤使用などにより計画的に(結果的に)免疫機能を低下させる必要がある場合には、 できるだけ免疫機能を低下させる前に予防接種を受ける必要があります。また、免疫機能の低下中に受けた予防接種(原則、不活化ワクチンに限る)は効果が不十分となることもあるため、回復後に再度の接種を検討します。

注)一般に、感染症が重症化しやすい免疫不全者の方こそワクチン接種が必要な反面、接種できない種類のワクチン(生ワクチン)があり、接種できる種類のワクチン(不活化ワクチン)の効果においても不十分となりやすい方々でもあります。これらのことから、ワクチンの効果が高い免疫健常者が高い接種率で予防接種を実施し、集団として免疫を獲得しておくことで、ハイリスクな免疫不全者やワクチンを接種できない方々が病気に罹患することを社会全体で防ぐこと(集団免疫)が重要です。


Q5:ワクチン接種者はお風呂に入ることについて説明を受けることがあるかと思いますが、お風呂に入ってはいけない理由は何でしょうか?

A5:一般に入浴、飲酒、運動などにより接種部位の血流が増加することで、接種部位の腫脹などの局所反応が生じるリスクが増加すると考えられています。接種部位を擦るなどして、刺激を与えることが局所反応に影響するとも考えられます。どの程度の影響があるのかについては、被接種者にもよりますが、一般に入浴などの影響は軽微であり、シャワー浴などは一般に問題にならないと考えられます。


Q6:ワクチンの同時接種は実際には何本位、同時に接種されているのでしょうか。
海外渡航前などで、何本も同時に接種したいという方が多いです。部位は上腕2か所ずつ位でしょうか。また、その中には混合ワクチンを含んでも大丈夫でしょうか。宜しくお願いします。

A6:海外渡航前に予防接種を受ける方の場合、必要なワクチンの数が多かったり、渡航までにあまり時間的な余裕がなかったりすることがよくあります。被接種者の方の理解が得られれば、接種できるワクチン数に上限はなく、実際の診療では6本程度の同時接種を行うことは稀ではありません。接種部位に関するポイントは、接種部位に発赤や腫脹、疼痛などの局所反応が生じた際に、症状が重複したり、どのワクチンによる反応なのか分からなくなったりしないよう、約2.5から5センチ以上の距離を置いて接種を行います。
例えば、2本の接種が必要であれば、接種した腕と反対側の腕に接種を行うようにする、同じ側に複数本のワクチンを接種したら、カルテに接種したワクチンごとに左上、左下などの記載をし、副反応が生じた際に接種したワクチンを判断できるような工夫をします。これは接種するワクチンが混合ワクチンであっても同様に考えることができます。
また、接種できる場所は上腕のみとは限らないため、ワクチンによっては大腿も接種部位の候補となります。


Q7:風疹ワクチンの効果について
中学生で受けた場合に年月がたつにつれて、効果が95%から徐々に落ちてくるようなことはあるのでしょうか? 生涯で2回接種を行えば一生効果が期待できると考えていいのでしょうか?

A7:一般には予防接種により免疫を獲得した後にも、その後に病原体に曝露する機会が長期間なければ免疫機能(特に血液中の液性免疫)は徐々に低下します。風疹については、1回の接種でも高い予防効果が得られ、その効果も長期間持続すると考えられていますが、実際に予防接種歴があっても風疹に感染する例もあります。
これらのことを説明するには、予防効果の低下以外にも、1回目の接種時にうまく免疫を獲得できなかった可能性(免疫獲得不全)の可能性も考慮する必要があります。
実際の診療では例外があるため、接種を何回受けたら「効果が100%である」、「一生予防効果が続く」と断言することはできませんが、一般的には1回の予防接種でも十分な予防効果が得られ、必要に応じて2回接種することでより確実な風疹の予防が可能になると考えられます。


Q8:今回風疹の流行で、20-40代で初めてMRワクチンを接種する方もおられます。2回目の接種は必要でしょうか、するなら小児と同様に5年後でよいのでしょうか。

A8:定期接種では1歳と就学前の学年に2回MRワクチンが接種されていますが、2回目の接種が必要とされている理由は主に麻疹対策に対する理由です(1回の接種での免疫獲得不全+免疫漸減による修飾麻疹)。風疹に対するワクチンの予防効果は一般的に高く(約95%程度)、多くの教科書では風疹に対しては2回目の接種は積極的に推奨されていません。一方で、今後妊娠を希望されている女性では、より確実に妊娠中の感染(先天性風疹症候群)を予防するために2回目の接種や抗体検査を検討することがあります。
必要に応じて2回接種を行う場合には、理論上1ヵ月以上の間隔で2回接種を行うことができますが、高い濃度の免疫を獲得するには、もう少し長い期間(水痘などでは3ヵ月程度)の接種間隔が必要になると考えられます。


Q9:生ワクチンの中で水痘だけが2回目の接種のタイミングが早いのですが、理由は何でしょうか。

A9:水痘ワクチンによる予防効果は、中等度及び重症なものに対しては95-100%とされていますが、軽症なものまで含めた場合には80-85%と、他のワクチンと比較しても、予防効果は決して高くありません。加えて、日本では毎年約100万人の患者発生があるとされ、水痘ウイルスは感染力が高いため90%以上の小児が10歳までに水痘を発症しています。こうした背景を踏まえて、早めに2回目の接種を行い、より確実に水痘を予防することが勧められています。
接種しているワクチンが同じでも、もし将来的に、日本の水痘の発生数がかなり少なくなって感染する機会がほとんどなくなれば、米国などと同様に長期の免疫のことも考慮して、就学前の接種スケジュールが推奨されるようになるかもしれません。

参考情報:
水痘ワクチンに関するファクトシート(国立感染症研究所)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000bx23-att/2r9852000000bxqx.pdf
日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール
http://www.suzukiclinic-hy.com/img/yukiko/img/01/schedule.pdf


Q10:B型肝炎ワクチンを小児に接種するとき、水平感染のリスクを減らすためと説明しています。実際にはユニバーサルワクチンですので、保護者にも接種必要なのでしょうが、自費であるため、なかなかうまい説明方法がありません。ワクチン外来では、ご家族への勧奨について、どうされていますでしょうか。

A10:B型肝炎ワクチンはWHOによって1992年にユニバーサルワクチンとして接種が推奨され、2012年には180のWHO加盟国で接種がされています。日本では1985年に母子感染防止事業が開始され、キャリアの母体から生まれてくる子どもへの感染(垂直感染)を予防するための対策が取られ、国内のB型肝炎キャリアの方の数は減少傾向にあります。一方で、B型肝炎ウイルスはキャリアの方の血液の他、涙、汗、唾液などにもウイルスが検出されることが知られていて、確実なウイルスへの曝露予防が難しい疾患です。近年では、母親以外の家族がB型肝炎のキャリアで、家庭内で子どもに感染させてしまうケースがウイルスの遺伝子系統解析により証明されたり、保育園などの集団生活で感染が疑われるケースもみられたりすることから、日本でもB型肝炎の定期接種化の必要性が積極的に検討されているところです。
ただし、一般に成人の感染の多くは性交渉などによって起こると考えられ、入院患者のDPCを使った推計では年間約1万人の急性B型肝炎感染が起こっていると考えられています。特定の方以外の方と性交渉の機会を持つことがない保護者での予防接種をどこまで勧めるかは考え方にもよりますが、特に体液に触れる可能性のある職業の方、B型肝炎の発生率が高い地域に長期間滞在される方、もともと肝臓の基礎疾患を持っている方などには、積極的に接種が勧められるワクチンであると考えられます。

参照:
Global Immunization Data (WHO)
http://www.who.int/immunization_monitoring/Global_Immunization_Data.pdf
B型肝炎に関するファクトシート(感染症研究所)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000bx23-att/2r9852000000bxqf.pdf
B型肝炎 知っておきたい最近の話題
http://www.kanen.ncgm.go.jp/study_download/20111202_01.pdf


Q11:麻疹、風疹、水痘、ムンプスに対する抗体は終生免疫と理解していましたが、最近は抗体価を定期的にチェックし、下がっていれば追加投与すべきと考えられているのでしょうか?  その場合、どれくらいの間隔で抗体価をチェックすべきなのでしょうか?

A11:Q8にも関連しますが、1回のワクチン接種で得られる免疫の獲得は100%ではないこと、獲得された免疫は時間の経過とともに漸減することなどから、必要に応じて2回目の接種や抗体検査を実施することがあります。院内感染対策のため医療従事者に向けに日本環境感染学会が公開しているワクチンガイドラインでは、ご質問の麻疹、風疹、水痘、ムンプスに関して、2回の予防接種が確認できる場合には、抗体検査は不要とされています。また、抗体価が基準値以下で予防接種が必要な場合においても、抗体価が陰性でない場合には、過去に感染曝露または予防接種歴があったと考えられることから、その後の抗体検査は不要となります。一方で、抗体価が基準値以上であっても、2回の予防接種歴が不明であれば、免疫の低下がないことを確認するために4-5年後に再検査が推奨されています。
上記を原則としますが、実際には獲得している抗体価のレベルとその低下速度によって一人ひとりの対応は異なり、個別の対応が必要なケースもあると考えられます。

参考情報:
院内感染対策としてのワクチンガイドライン 第一版(日本環境感染学会)
http://www.kankyokansen.org/modules/publication/index.php?content_id=4


Q12:がん化学療法中の患者さんへのワクチン接種は、一般的にはいつが理想でしょうか?(特に冬場のインフルエンザワクチン接種時期の質問をよく受けます) nadirを超えたぐらいが丁度よいでしょうか?

A12:Q4の回答と関連しますが、予防接種による予防効果の観点からは、できるだけ免疫機能が正常である必要があります。よって、抗がん剤を使用から十分に免疫機能が回復した後、または最初の抗がん剤を開始する前に予防接種を行う方法が良いと考えられます。一方、実際の診療では、必要な抗がん剤を適切な時期に使用するため、予防接種のために十分な時間を取ることが難しい状況が生じます。よって、予防接種とがん化学療法、双方の面から、それぞれの特性、必要性、影響等を十分に評価する必要があり、個別に専門的な判断が要求されます。


Q13:生ワクチンの同時接種はMRワクチンがありますが、それぞれの生ワクチンを同時接種しない場合は27日以上あけることとなると思います。同時でなければ27日以上あけなければならない理由に関してワクチンの有効性や安全性に関与する免疫のメカニズムなどがありましたらをご教示いただけないでしょうか。

A13:麻疹、風疹のワクチンは生ワクチンであるため、予防接種後には、実際のウイルスの感染により近い形で、抗体を獲得するための免疫反応が体内で生じます。よって、生ワクチンの接種を実際の病気に置き換えて考えてみると良いかもしれません。つまり、病気になった後(1回目の予防接種)、十分な免疫を獲得して体の状態が回復しないうちに(27日間以内)、次の感染が生じると(2回目の予防接種)、通常よりも症状(副反応)が強く出たり、回復までの経過(免疫獲得)が順調にいかなかったりすることが考えられます。


Q14:B型肝炎ワクチンに対するNone−Responderについて教えてください。
現在院内の職業感染対策マニュアルを作成していますが、1クール目で抗体価が      10mU/mLにならない場合、以前は2クール目にはアジュバンド含有ワクチンを使う方法もありましたが、現在は販売していません。2クール接種後も十分な抗体価を得られなかった職員が血液暴露した場合、HBIGに加えて、リスクに応じてワクチンを再再接種する必要はあるのでしょうか?

A14:全体の10%程度とされるB型肝炎ワクチンのnon-responderでは、再度の適切に3回接種を実施した場合にも、約半数の方が抗体を獲得できないとされ、そのような方に予防接種を繰り返す(7回目の接種をする)メリットは少ないと考えられています。ただし、抗体陰性者がB型肝炎ウイルスに曝露したことが明らかな場合には、少しでも発症のリスクを低下させることが重要であり、過去の接種歴とは無関係に、HBIGの他、再度のワクチン接種を行うことが望ましいと考えられます。


Q15:予防接種後の発熱や皮診を主訴に救急外来を受診した場合、アナフィラキシーや他の感染が明らかにないことを確認したら経過観察でよいのでしょうか?小児科の先生のフォローは必要ですか?

A15:発熱や皮疹も程度や性状により、様々な可能性が考えられます。また、既に救急外来を受診している状況であれば、受診された方は日常生活への支障があるなどの理由で、医療機関を受診する必要があると判断した背景が考えられ、医師が病態を評価することが望ましいと考えられます。
また、予防接種時には、生じうる副反応とその対応について、被接種者に十分な情報提供を事前に行っておくことも同様に大切です。


Q16:予防接種の知識は、アップデートが早いですが、おすすめのサイトを教えてください。

A16:国際標準的な専門的知識を得たい場合には、米国の予防接種諮問委員会のホームページが参考になります。日本語で医療従事者向けのワクチンの知識を勉強するには、日本ワクチン産業協会が毎年発行している「予防接種に関するQ&A」が有用です。一般の方に向けたワクチン情報としては、「KNOW VPD!」というホームページは分かりやすいかもしれません。
ワクチンは見方によっては良いものにも、悪いものにも見えることがあるため、情報を収集するにあたって重要なことは、発信されている情報の結論のみではなく、できるだけ医学に基づいた客観的な根拠となる情報を収集することであるように思います。そういった意味において、上級編かもしれませんが、最もおすすめできるサイトは世界の最新の論文を検索できる「PubMED」です(もちろん論文の批判的吟味も必要ですが)。

参考情報:
米国疾病管理予防センター 予防接種諮問委員会(英語)
http://www.cdc.gov/vaccines/acip/index.html
予防接種に関するQ&A (日本ワクチン産業協会)
http://www.wakutin.or.jp/medical/index.html
KNOW VPD!
http://www.know-vpd.jp/
PubMED(英語)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed



Q17:30分以上経過してからの副反応で、症状が強い場合の対処方法について。
医療機関を受診するとありますが、医療機関での具体的な対処方法を教えて下さい。

A17:診療現場では、まず発熱や局所反応などの有害事象について一般の診療と同様に評価を行います。予防接種後の有害事象にはワクチン接種によるものと、病気など全く別に原因があるものがあるため、その鑑別を可能な範囲で行う必要があります(確実な鑑別は困難なので両方の可能性を考えながら診療を行います)。一般に予防接種による有害事象は数日から1週間程度で自然に改善することがほとんどなので、日常生活に支障がある程の症状でなければ経過観察が可能です。そうでない場合には、所見に応じて通常の診療と同様に必要な検査、再評価、加療を行います。


Q18:授乳婦への風疹ワクチンへの影響で母乳中への影響はないといわれましたが、以前ポリオ生ワクチンの子供への接種で親への感染が話題になったことがあります。授乳婦への接種で、乳児への感染リスクも影響ないのでしょうか。

A18:正確に表現するとワクチン接種後の授乳により、児への影響が生じたとする報告はありませんが、母乳に対するワクチン影響が全くないとは限りません。全体のリスクとベネフィットを評価して判断する必要があります。
ポリオウイルスは主に腸管に感染するウイルスなので、経口生ワクチンによる母乳への影響は風しんワクチン同様に軽微であり、授乳による児への影響はないと考えられます。
一方で、黄熱ワクチンのように授乳により児への影響が報告されているワクチンもあるので、全ての生ワクチン接種が授乳による児への影響がないというわけではありません。


Q19:スライドに補足して免疫グロブリン投与時の予防接種投与間隔について言及してらっしゃいましたが、聞き洩らしてしまったので、教えていただけないでしょうか。

A19:Q13でお答えした内容と似ていますが、生きた病原体を用いたワクチン(生ワクチン)を接種することによる免疫獲得は、疑似的な感染を体内で生じさせる過程で成立します。免疫グロブリンの注射などにより、既に体内に抗体がある(受動免疫)と、その注射によって獲得された免疫が反応してしまい、自分の力で抗体を産生する過程(能動免疫)が妨げられてしまいます。免疫グロブリンを使用した後、どの程度の期間、生ワクチンの接種を控える必要があるかどうかについては、使用した免疫グロブリンの種類(半減期)や量などによっても異なります。多くの場合は3ヵ月以上、長い場合は1年近く生ワクチンの接種に影響を及ぼすことになります。ただし、RSウイルスに対するモノクローナル抗体(シナジス)や抗体を取り除いた洗浄赤血球の輸血による影響はないとされ、不活化ワクチンの接種についても免疫の干渉を理由に接種間隔をおく必要がありません。
逆に生ワクチンを接種後に免疫グロブリンを使用する場合には、接種したワクチンによる免疫獲得の過程に干渉しないように、2週間以上の期間を置く必要があります。


Q20:基礎からタイムリーな症例までわかりやすいご講演ありがとうございました。
もう一度風疹の予防対策について確認したいのですが、風疹の罹患歴がある方や罹患歴があいまいな方(男女ともに)、20代の女性で子供のころ一度接種を受けた方も2回接種を受けたほうが良いということでよろしいでしょうか?
基本的な質問で恐縮ですが、よろしくお願いします。

A20:Q7, Q8でお答えした内容と関連しますが、結論としては、全く予防接種を受けたことがない、またはウイルスへの曝露の機会もなかった方で、今後妊娠を考えているなどの理由で、より確実に予防を行いたい方以外では1回の予防接種でも一般には十分な予防効果が期待できます。また、予防接種を受けていない年代の方でも約85%の方が、子供のころに自然に感染するなどの理由で既に抗体を保有しているというデータもあります。
上記のことから予防接種以外にも、血液検査による風疹に対する抗体の有無を調べる方法も、料金がワクチン接種よりも安い(助成がなければ)、抗体の有無を直接確認できる、多くの方は予防接種が不要であり接種による副反応を避けられるなどの理由で、有効な予防対策の選択枝であると考えられます。一方で、抗体検査には検査が直接予防に結びつかない、結果が出るまでに1週間程度の時間がかかる、結果が陰性であれば再度医療機関を受診して予防接種を受ける必要があり、手間や費用が余計にかかるなどのデメリットもあるので、抗体検査を勧める際には十分に説明し理解を得る必要があります。


Q21:同時接種の『同時』とはどれくらいの時間の幅をいうのでしょうか?例えば午前10時ごろある医療機関でAというワクチンを接種し、同日の午後7時ごろ別の医療機関でBというワクチンを接種することは可能でしょうか?

A21:同時接種の定義ですが、同時なので基本的には同じタイミングで接種を受けることを指すと考えられます。一方で、国内と国際的に認められている接種間隔には違いがあり、不活化ワクチンの接種などでは予防接種後1週間以内に次のワクチンの接種が国際的には認められていることから、国際標準的な診療として、予防接種後の同日に別の医療機関で接種が行われることがあり、それを国内向けに説明する際には同時接種と表現することもあると考えられます。よって、生ワクチン同士の接種であれば、国際標準的にも4週間の接種間隔が必要ですから、同日であってもそれを同時接種と呼んで同日に接種を行う根拠には乏しいのではないかと思います。Q22の回答も併せてご覧ください。


Q22:基本的な質問ですが、同日に数本接種する同時接種は臨床ではよく行われていると思いますが、同日の複数接種でない場合に、生ワクチンでも不活化ワクチンでも一定の間隔を置かなければいけないのはなぜでしょうか。

A22:Q13, Q22でお答えした回答とも関連しますが、国際標準的に明確に接種間隔をおく必要がある予防接種は生ワクチン同士の接種に限られます。国内で不活化ワクチンを含めて接種間隔をおいている理由としては、予防接種により生じる副反応が不活化ワクチンであれば1週間以内、生ワクチンであれば4週間以内に生じることが多く、その期間に別のワクチンを接種してしまうと、生じた有害事象が接種されたどちらのワクチンにより生じたものか判断することが難しくなってしまうためと考えられます。
どちらの方法が正しいか正しくないかというひとつの答えはなく、お互いのメリット、デメリットを総合的に判断する必要があると考えます。


Q23:わかりやすく実践的な講義を有難うございました。BCGワクチンについて教えて下さい。
2013年4月1日に日本小児科学会がBCGの接種推奨期間を生後5ヶ月〜8ヶ月に変更しました。
今までBCG接種のために他のワクチンの接種がたびたび遅れていましたので、大変喜ばしい変更と考えています。ただ、運用については名古屋市では変化がなく、子供たちは変更前と同様3ヶ月健診でBCGを受けています。東京ではどのような状況でしょうか?また今後BCG接種を5ヶ月以降に誘導するために現場レベルでどのように働きかければよいのでしょうか。

A23:BCGの予防効果は乳幼児の結核性髄膜炎、播種性結核などに限られるため、早期の接種を促す目的で2005年度より接種期間を4歳までから生後6ヵ月までに変更されました。しかし、その後にBCG接種後の骨炎・骨髄炎の副反応発生が増加した背景から、生後早期のBCG接種との関連を疑う指摘もあり、予防接種ガイドラインの記載において、接種可能時期が生後6月未満までから生後1歳未満までに引き上げられました。
接種するタイミングについては、それぞれにメリットとデメリットがあります。Q9にも関連しますが、適切な接種方法は地域の疫学データにより異なります。例えばWHOは生後すぐに結核に感染してしまうリスクの高い発展途上国もあることから、BCGはB型肝炎ワクチンと同様に出生直後の接種を推奨しています。接種のタイミングが遅くなれば、接種による副反応のリスクを下げることができますが、接種による予防効果は必要な時期に予防される期間が短くなるというジレンマがあるわけです。
定期接種は予防接種法に基づいて、各市区町村の事業として行われています。厚生労働省は定期接種実施要領にて、標準的接種時期を生後5月に達した時から生後8月に達するまでと定めていますが、同時に「結核の発生状況等市町村の実情に応じて、上記の標準的な接種期間以外の期間に行うことも差し支えない。」と記載しています。
よって、それぞれに地域における結核のリスク、接種実施の効率、副反応のリスク、他のワクチン接種への影響などを総合的に考えて、それぞれの地域にとって異なる最善の接種時期が生じると考えられます。
東京における事情に詳しいわけではありませんが、東京においても各市区町村が接種時期を定めることが可能であり、名古屋市では名古屋市において最善と考えられるBCG接種時期について全体で検討を行い、意見の一致を得るための過程が必要とされるのかもしれません。

参考情報:
定期接種実施要領(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/teiki-yobou/07.html
第23回予防接種部会資料 BCG接種時期の見直しについて(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ones-att/2r9852000002onjx.pdf 
BCG Vaccine position paper (WHO)
http://www.who.int/wer/2004/en/wer7904.pdf

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Noroviruses

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本日からはNorovirusについて・・
講師はベイラー大学のHoonmo Koo先生。名前は中国的だけど、発音はかなり米国的+Hint of Chinese
(中国系のご両親の元に米国で生まれた方・・といった発音だね・・)

#1:Micro
・Calcivirusに属する(面白くない・・)
・培養法が無い+小さな動物モデル無い
 → 現在の知見は主として人間の集団発生などをもとにしたもの(超面白い・・)
 → だからワクチンとか診断法とか作成しにくいわけだ・・

#2:分類
・遺伝子による分類Genogroupで5ヶに分類
・このうち北米で問題起こすのはGenogroup?-4が主

#3:遺伝的に罹患しやすい人
・遺伝的に罹患しやすい人がいて、その人々はFUT2Geneが機能している
・このGeneが機能していると罹患しやすく、北米白人の8割が相当。
・寺沢教授:Norovirusに感染=呪われている(本当に遺伝子レベルで呪われていたのですね)

#4:病原性について
・Infectious doseが小さい=少量で病気を起こす
・二次感染が多い(治っても無症候性のウイルス撒き散らしAsymptomatic sheddingのため)
・環境を清潔する液体にも抵抗性。床や机の表面で数週間生存。
・Viral capcid antigeの変異が多い → 免疫システムから逃げる

Nelson Mandela

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The greatest glory in living lies not in never falling, but in rising every time we fall.

~ Nelson Mandela

南アフリカ共和国の政治家、弁護士。

反アパルトヘイト運動により反逆罪として逮捕され27年間に渡り刑務所に収容された。釈放後、アフリカ民族会議(ANC)の副議長に就任。その後、議長。デクラークと共にアパルトヘイトを撤廃する方向へと南アフリカを導き1994年に大統領に就任。民族和解・協調政策を進め、経済政策として復興開発計画(RDP)を実施した。(写真とともにWikipedia)

(本当にその通り!!! とAlways Fallingの編集長)

ドキシサイクリンが国内(アメリカ)で足りない

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というNewsが”ACP Internist”から来ました。

製造会社の都合など色々な要素が絡んでいるようです。先日も抗結核薬の不足の様子をお知らせしました。
人間社会ですから、色々な事が起きるでしょう。今回のようなDoxycyclineの不足なども。

しかし、ここからが米国政府の本領を発揮するところなのです。

抗菌薬の使用法、今回はDoxycyclineの使用法がキチンと標準化されている事の証左です。

即ち、

「この場合はDoxycycline以外を使え、この場合は足りなくてもDoxycyclineを使え・・」とAdvice。

http://emergency.cdc.gov/HAN/han00349.asp

http://www.fda.gov/Drugs/DrugSafety/DrugShortages/default.htm

このようなAdviceこそが現場に対して責任ある政府の姿でしょう。


「ワクチン、足りてる、問題無い、足りてる・・あっ!!足りなくなった。」
「適切に使うように頑張る事を勧める・・」というどこかの政府との違いを思います。

WHO: 世界における風疹と先天性風疹症候群(CRS)2012年

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国によって感染症の発生動向調査の取り方や、流行の状況が異なるので、比較は簡単ではありませんが。
最新のWHOをみるにつけ、来年発表される「2013年の風疹とCRS」のデータが怖いと思うのであります。

WHOのVPD各国データをみると、先進国でCRSが問題なのは・・・・です。

表は理研の加藤茂孝先生がつくってくださいました。



日本では風疹を全数報告だと知らない医療者もまだ多数いますし、風疹を多数診ていたけど検査診断だけを報告するのかとおもってたー(だから保健所に報告してなかったけど?)という方もいましたし、IgMとIgGの評価がよくわかりません(患者さんから最初の症状をよくきかないと解釈に問題が・・・)という人もいましたし。

いっぽう、母子感染例も、お母さんが明らかに風疹になったという自覚がある場合とない場合とあります。
なのでCRSサーベイランスをどうやるかということがWHOの資料などでも複数存在しています。
まさか日本でCRSサーベイランスのことを検討しなくてはいけなくなるとは専門の人たちも思っていなかったかもしれませんが。


こちらはネパールの事例。
Developing Rubella Vaccination Policy in Nepal―Results From Rubella Surveillance and Seroprevalence and Congenital Rubella Syndrome Studies
2011年 JID


内戦でMMRワクチンはじめ予防接種プログラムが止まってしまっている地域や、経済破たんで50%以下の接種率になってしまった子供たちがいる国。

大人や国の都合や事情で、本来ならなくていいはずの病気でお腹の中で死んでしまったり、一生かかえる障害をおわされたり。
怒りの声をあげれない子どもたちの代弁者に専門家がならなくては!です。


この表でCRSが多いベトナムの事情はこちらに。たいへん悲しいお話。そしてショッキングな写真。
http://www.mumyosha.co.jp/ndanda/11/vietnam05.html
http://www.mumyosha.co.jp/ndanda/12/vietnam03.html

でも!2013年から、14歳までの子に2回接種をはじめます。
JICAと第一三共がMRワクチン製造を支援しますよ。
がんばれベトナム。がんばれジャパン。

[満席になりました] 6/29 「HPVワクチン接種と小児のCRPS」医療者のためのVPDセミナー

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追記です: 以下のセミナーは受付終了となりました。

なお、入会すると、リアルなワクチンについての情報共有が行われているMLに参加できるほか、今回のセミナーの録画を視聴できるようになるそうです。

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今日の厚労省の会議の結果、HPVワクチンは定期接種のまま、積極的に接種しろとはよびかけない(調査がすむまで?)、積極的勧奨の差し控え というグレーな話になったとメディアが報じています。
これまた世界、先進国でびっくりニュースになりましたね。

で、ニュースが先で、お役所の文書は月曜日にきますね。
土曜日外来をする現場の方はとてもたいへん。
会議は木曜までにしてくれませんかね・・・・

数日前にとどいていたVPDの会のお知らせ。タイムリーな内容です。

これを機会に会員になるものいいですね。賛助会員は5千円ですし。MLの情報は大変参考になります。

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医療者のためのVPDセミナー「HPVワクチン接種と小児のCRPS」

2013年6月29日(土) 15:30-17:00 受付開始15:15

コンファレンススクエア エムプラス ミドル1
(千代田区丸の内2-5-2三菱ビル10階) 東京駅丸の内駅南口より徒歩2分

プログラム

15:30 開会あいさつ

15:35 HPVワクチン接種の意義と有害事象
      VPDを知って、子どもを守ろうの会 理事長 薗部友良

15:45 小児のCRPSとは
      JR総合病院 副院長 奥山伸彦

16:30 ディスカッション「HPVワクチンを安心して接種するために」

17:00 閉会

資料代 VPDの会 会員 無料
    一般(非会員) 1000円



参加希望の人は下記の内容を infoあっとknow-vpd.jp へ
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医療者のためのVPDセミナー 参加申し込み

会員区分: 個人正会員 個人賛助会員 法人会員 非会員
所属:
名前:
連絡先電話:
   携帯:
メールアドレス:

予防接種に関する質問や意見(自由記載)


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Noroviruses #2

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ノロウイルス続きます。

#1:疫学
・非細菌性の下痢症で原因究明できる最多原因!!
・最も多い食中毒の原因
・冬に多い
・ロタウイルスによる下痢が急激に減少し(ワクチンのお陰です)、ますますノロウイルスが目立つように。

#2:旅行者下痢Traveler's diarrhea
・一位は国試にでもでます。「ETEC、Enterotoxigenic E.Coli」
・なんと第二位はノロウイルス!

#3:免疫不全者のノロウイルス感染症
・酷い。とても酷い
・下痢の持続は3ヶ月(お尻が大変・・)
・入院は2ヶ月
・半数で輸液などのアシストが必要

(写真:東海大学で講義)

Noroviruses #3

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ノロウイルス 終わります。

#1:ワクチン
・NEJMに報告されてました。安全、効く、免疫源性あり。(経鼻?)
Atmar RL, Bernstein DI, Harro CD,
Norovirus vaccine against experimental human Norwalk Virus illness.
N Engl J Med. 2011 Dec 8;365(23):2178-87.
PMID: 22150036


#2:ワクチンの問題
・抗体産生の頻度、程度が不十分(一回の投与では不十分)
・免疫の付き方が自然感染よりも低い
・抗体持続期間短い・・(2年以内・・)
・Genogroup違うと効かない!!
・抗原性が変わり(Antigenic drift)免疫が認識できないかも・・

#3:ワクチンの今後
・経鼻でなくて筋注のものを治験している。
・Genogroupは?と?と療法混ぜてある。(Bivalent)
・一回の投与でも抗体反応とても良い

次回からはサルモネラ。



「必要な量、必要な分を必要なところに供給」できない前提で次の策

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三重出身からでている議員さんで千葉大学出身らしいので、(特に)ご関係の皆様はご支援よろしくお願いいたします。

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田村大臣閣議後記者会見概要 (H25.6.25(火)9:51 〜 10:11 省内会見室)

http://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/2r98520000035dnv.html

(記者)
 風しんなんですけれども、ワクチンが8月にも不足するおそれがあるというお話が以前ありまして、現場の医療機関の方に話を聞きますと、予防したいと接種を受けに来る成人男性はなかなか断れないという話がある一方、なかなかもうワクチンが手に入らないんだというような話も聞きまして、これに対する優先接種だけではなくて対策というのは何か考えていらっしゃるんでしょうか。

(大臣)
 6月20日時点でですね、在庫量、これメーカー、販売業者、卸販売業者等々の合計ですけれども、72万人分残っておりまして、そういう意味では十分にまだ量としては今すぐ切れるというような状況ではないということでございます。

一方でですね、やはり偏在が各医療機関や地域で起こるといけませんので、そこは卸販売業者の皆様方にですね、やはり必要な量、必要な分を必要なところに供給をいただきたいというお願いをさせていただいておりまして、どっかに何かがだぶついているというような状況が起こらないようにですね、しっかりとお願いをさせていただいております。

今すぐに足らなくなるという状況にはございませんので、その点は御理解をいただきながら、一方で、先週お願いをさせていただきましたように、このままの接種状況が続きますと、本当に皆様方のですね、御報道のおかげをもちまして、かなりこれ予防接種、進んでおります。

例年に比べればかなりのペースで進んでおりまして、そのような意味では風しんというものが蔓延(まんえん)をしていかない一定の効果というものをやはりこの予防接種は持っておりますので、我々としてはありがたい話なんですけれども、非常に高いペースで進んでおりますので、そうなってまいりますと8月に向かって需給が厳しくなる可能性があるということもございまして、なるべく必要な方にお願いをすると。必要な方というのは要するに妊娠の予定をされる方、予定されるといってもこれ、予防接種を受けた後、抗体ができるまでの間ですね、一定期間が必要でありますから、そこら辺のところを勘案していただきながら、妊娠を目指していただかなきゃいけないわけでありますけれども、そういう妊娠を予定される方、それから妊娠をされておられる方の御家族等々、周りで生活をされる方に関してなるべくというようなお話はさせていただいておりますけれども、現状まだすぐ切れるという状況ではないということではございます。
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「必要な量、必要な分を必要なところに供給をいただきたいというお願い」をしたいのは現場ですよ。
それを言わなくては(言えないけれど)なんかずれたムードが流れて、全体的によろしくない。
皆を盛り下げる発言というのはリスコミ的にもどうなんですかね。

卸にわかるわけがない。

予防接種の部会でも全国統一のデーターベース化の話が提案されていましたが、20-40代のおにいさんおじさんは、母子手帳もっている?ときいても「なんですかそれ?」状態の人もいますし、自治体の記録はまだ「予防接種台帳(二つ穴あけて黒いひもでとじる)」という前近代的な状況ですし、データーベースをつくっても他の地域と互換性や連動がなく、引っ越したらそれで終わり!
というような中で、どこにどれだけニーズがあるのかといわれても誰にもわかりません。

世の中の人は厚労省の不手際と誤解されているようですが、そもそも任意のワクチンの分について、厚生労働省がメーカーに強制的に何かをリクエストする権限じたいがないんですよ。日本は。
「お願い」はできます。

厚労省に「専門家」はいないじゃないかというのはいつも議論になりますが、そう指摘するなら、早く厚労省に電話やメールででも提案をしたんですか?専門家は、ということになります。

出遅れた感があるなら、今しゃかしゃか倍速で動きましょう。
赤ちゃんや妊婦さんを救いましょう。

東京都から3例目のCRSが報告された26日にあらためてそう思います。

クリニックに2本ずつしか入らないようなレベルだと現場が混乱しますから、1歳の定期分は、卸から流さないでポリオの集団接種のように保健所で公衆衛生医らがやったらどうですか?

一度販売してしまったものを集めることはコールドチェーンが破たんしてしまい難しいですから卸でとめないと。

「しかたがないこと」なんでしょうか?

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おかあさんのお腹のなかでがんばっておおきくなろうとしている赤ちゃんの命を奪うウイルスと、対策の手だてがあるのに(やらない理由を見つけたり、自分たちは悪くないんですよ、という言い訳探しに熱心な)この時代の担当者や専門家。

がんばって産まれてきた赤ちゃんと保護者へのサポート体制も考えないといけない時期にきました。

MRICに投稿されていた、当事者の声を転載させていただきます。

可児さんと西村さんはブログがあり、また、「産んでくれてありがとう」と書いているお子さんの手記が掲載されている文集についての詳細は下記のHPからアクセスすることができます。
http://www.stoprubellajapan.org/


風疹の流行はしかたなくて、妊婦さんが親族や医療者に中絶をせまられたり、赤ちゃんがお腹の中で死んでしまったり、本来は避けられたはずの先天性の障害がおきても、国としては容認するなら、なぜ日本の国の予算をつかってベトナムにMRワクチン製造工場を造ったり推奨したりするのでしょうかね、、と一般の人は混乱しますね。
また予防接種行政への不信の目につながりませんか?

2013年6月13日 JICA 「ベトナムで初となる「麻しん(はしか)」と「風しん」の混合ワクチンの国内製造を支援−日本の製造技術を生かし罹患率減少を目指す−」

"近年、多くの国で風しんの発症例が増加していることから、その罹患により小児の健康が損なわれるだけでなく、罹患した妊産婦が先天性の障害を持つ新生児を出産するリスクの問題も顕在化しており、WHOは各国に風しんの予防接種を勧告しています。ベトナムにおいても風しんの罹患率は著しく高く、MRワクチンの国内生産体制を構築し、安定したワクチン供給を推進することが急務となっています。"


以下転載です。強調は編集部内によります。

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母と子を風しんから守るためワクチンを打ってください

先天性風疹症候群(CRS)の子をもつ母
可兒 佳代、川井 千鶴、西村 麻依子

2013年6月27日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行  http://medg.jp
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私たちの子供は、CRSという病気をもって生まれてきました。私たち母親が妊娠中に風しんにかかったのが原因です。ずっと苦しい思いを抱いてすごしてきました。それなのに、去年からの風しんの流行で、すでに11人(2013年6月24日現在)のCRSのお子さんが生まれています。
もうこれ以上は待っていられません。田村憲久厚生労働大臣に、CRSの子の母の気持ちを知っていただき、そして国が主体となって風しんワクチン接種を推進してほしいと思い、私たちは立ち上がりました。

6月16日、新宿の国立国際医療研究センターで開催された『風疹の流行を止めよう緊急セミナー』に参加し、当時者としての気持ちを述べました。そして、翌17日に、厚生労働省に要望書と手紙を渡しに行きました。17日は、田村厚生労働大臣はもとより、副大臣や大臣政務官には会ってもらえず、結核感染症課の課長補佐の方に要望書をお渡ししました。とても短い時間でお手紙を読みました。要望書を渡しても、その方は無言で受け取っただけでした。私たちは、自分たちの思いが軽視されたように感じました。

その後の記者会見では、たくさんの報道陣の方々に集まっていただきました。すごく緊張しましたが、みんなの代表として伝えたい事を言いました。1番伝えたかったのは「この風疹の流行で、多くの赤ちゃんが中絶されている。これ以上、小さな命を亡きものにしたくない!」という事です。

記者会見の後も、たくさんの取材を受けました
・風疹の流行によって、今も不安な気持ちでいる妊婦さんがおられること
・『産む・産まない』の選択を迫られている人がいること
・亡くなっていく命があること
・それを風疹ワクチンによって無くしたいこと
・その為には臨時接種が必要な事
を伝えました。どうか思いが伝わりますように。

帰りに乗ったタクシーの運転手さんに、「厚労省で何かあったの?」と聞かれたので、「風疹ワクチンの臨時接種を求めるため要望書の提出をして、記者会見してきたのです」と、説明すると、運転手さんは「あれ、副作用あるんでしょ?」と。一般の方々にとって、ワクチンは必ずしも正しく理解してもらえていないことが多いです。

記者会見で理化学研究所の加藤茂孝博士が説明しましたが、日本で開発されたMRワクチンは、とても弱毒化されており、副作用がほとんどありません。ワクチンの副作用とワクチンを打たないリスクを天秤にかけた時、圧倒的にワクチンを打たないことで、麻疹や風疹に感染する健康リスクの方が高いのです。

6月18日、風しん患者数が10,102人と、1万人を超えました。しかし田村大臣は、風しん患者は「まだ一万人」とおっしゃっています。先進国で風疹が流行っているのは日本だけです。私たちにとっては『まだ』一万人ではなく『もう』一万人なのです。
この風疹の流行のために何人のお母さんがお腹の中の赤ちゃんを諦めたか分かりません。生きている命を殺したのです。風疹さえ流行らなかったら産まれていた命を、です。私たちCRSの子の母は先天性風疹症候群のお子さんが産まれると、胸が引き裂かれそうなくらい苦しくなります。本当に悔しい思いです。田村大臣と厚生労働省は、もっともっと先天性風疹症候群のお子さんが生まれても良いと考えているのでしょうか?それによる中絶が増える事も関係ないのかと・・・。

また、厚生労働省は、ワクチンが不足する可能性があるから、接種を、妊娠を希望する女性と、その周囲の方を優先するように通知を6月9日に出しました。これでは、風しんや、CRSはなくなりません。何故なら、私たち自身が、周囲には風しん患者さんはおらず、どこで誰から風しんをもらったか不明だからです。田村大臣のコメントは、やがて自然に風しんの流行が終息するのを待て、その間に起きることは仕方ない、という事だと感じました。

田村厚労大臣と厚生労働省は母と子供を守るつもりはないのでしょうか。CRSの子どもたちは何も悪くありません。どうか願いをきいて下さい。私達は、あきらめません。これからもワクチンによる風疹の撲滅を目指します。めざしましょう!ストップ風疹。
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Salmonellosis

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本日のお題はサルモネラでござる。

演者はCasey Barton Behravesh先生
タイトルはSalmonellosis Recent Multistate outbreak

#1:Epi
・食中毒で4800万/年の人が病気になる
・12万8千人が入院
・3000人死ぬ

・サルモネラで1200万/年の人が病気に(食中毒全体の何と25%)
・細菌性食中毒では最多(ダントツ) ちなみに大事なのはサルモネラ、赤痢、O157、リステリアなど
・400人死ぬ
・直接の医療費だけで3億6千5百万ドル/年
・O157感染症はこの10年、減少傾向。しかしサルモネラは同じ。


#2:Micro
・2500の血清型あり。一番多いのはTyphimuriumとEnteritidis


#3:Clinical
・潜伏期:半日〜3日
・病悩期間:4-7日
・症状、嘔吐と血便もありうる(う〜む。嘔吐か・・)
・酷いと髄膜炎、菌血症、関節炎
・治療:腸管感染症のみなら輸液・補液。腸管外なら抗菌薬。

Salmonellosis #2

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Salmonella終わります。

#1:PulseNet

今回はCDCが誇る食中毒サーベイランスシステム「PulseNet」のご紹介

以前、ご紹介した国立感染症研究所の実地疫学の生みの親、John小林のご専門でもあるPFGEによるサーベイランスです。

昔の食中毒は「あの食堂でラーメンたべた編集部員ほか多数の客が下痢」といったわかりやすいもの。

今日の食中毒は工場でレトルトに混入した胡椒による → 全国に広がりバラバラに発症。

ですから、コンスタントに問題を起こしたEnteric pathogenのPFGEで、菌の指紋をとり比較するというもの。
これを全国の80カ所以上のラボでやっているのです。


#2:最近の食中毒の特徴など

・工場などで作った食品による → 広範囲に広がる+認知しにくい
・既に「調理すみ」で売られてる → 各個人が食前にきちんと加熱しないと
・レストランで食事するひと増加 → より多くの人の「手」が関与
・輸入食品をより多く消費 → 海外の衛生状態・管理に依存


#3:面白い事

・Loyaltyカード:まあ、スーパーのお客様カードみたいなもの。これで、過去に何買ったかトレース出来る。
・もっと興味のある方: CDC.gov/salmonella へどうぞ。

腸管原虫感染症

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米国で歴史上最大の腸管感染症集団発生の原因

それは赤痢などの細菌ではなくてクリプトスポリジウムという原虫。
何と感染者の数は40万人以上という集団発生が米国でありました。
@Milwaukee

という事でサルモネラの次はクリプトスポリジウム&ランブル鞭毛虫 です。
ランブル鞭毛虫は狸やビーバーの尿から小川に入り発熱するので「ビーバー熱、Beaver Fever」というらしい。

演者はCDCのJulia W Gargano先生
お題は「Parasitic infection in the water supply」です。

#1:クリプトスポリジウムによる史上最大の集団発生の事実
・40万人以上が罹患
・104人死亡
・上水道の障害で水道水飲んだ人の半分以上が病気に

#2:水道汚染の原因
・台風で水源が濁った
・水源から水を引き入れる入り口の場所が悪い
・監視装置が機能してない
・Filter機能してない
・水道の管理基準を遵守してない。

(写真:ビーバー Wikipediaより)


100円均一と感染症診療 と その周辺(なるべく汚さない)

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青木編集長と日経メディカルで対談をしてくださった本康先生。

「染色液以外の道具は100円ショップで揃えました」そうです。

ぐらせん話を当ブログに掲載する許可をいただきましたので紹介です。

そういえば・・・ナースや薬剤師さんにも教えて、クリニック内でも染めてもらえるようになったドクターがいるそうです〜。
東京都看護協会のICNコースは群馬大学の佐竹先生のラボで実習をしてましたね・・・。

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学生(6年生)の頃、市中病院への救急実習で、夜間頭痛の男性来院。

学生レベルでは普通(?) の頭痛かなと思っていました。担当した研修医の先生も、頭痛薬を処方して・・・、ところがその後、指導医の再診があり、“これは入院”と言われました。きょとんとした私と研修医の先生。
指導医が言うには、少し首が固い、話し方がややおかしいとのことでした。全然そうは見えませんでしたが、腰椎穿刺、指導医にすぐに検査室へ来るように呼ばれました。
グラム染色ではグラム陽性双球菌がみられ、指導医のテンションは高く、グラム染色の大切さを語ってくれました。PCGで治療は開始されましたが、その後病棟で痙攣が起きたと聞いて、自分だったら帰宅させていたと思うと学生ながらに怖い思いをしました。

研修医1年目、病棟の横に自分たち用の検査室がありました。

当時から、尿沈渣は自分たちですることになっていましたが、グラム染色も可能でした。
1年上の先輩にやり方を教えてもらい、その辺りを染色液まみれにしながらやっていました。スライドグラスをアルコールで拭くとか、尿は沈渣前という技は知らなかったため、それはそれは見にくい検鏡であったと思います。肺炎や尿路感染は自分たちで初期診断を付けるということを教えてもらった時期でした。見えるとうれしい(テンション↑)もので、膀胱炎が治っても染色していました。見えないのは治癒判定として有用と理解したのはずいぶん後のことでした。

大学病院から市中病院へ出ると、オーダーは出すものの、実際に染色をしたり、検鏡したりする機会はなくなりました。

グラム染色の結果が、GPC,GPRと書いてあっただけでは、何が起因菌か、検体の状況が適正であったかわかりません。当時、細菌検査室に確認に行くということもしませんでしたので、培養結果を待つといった雰囲気になっていました。

大学病院へ戻って田辺先生が来てから、再びグラム染色指導がしっかりできるようになり、細菌検査室との交流も始まりました。いい時代になってきました。病棟のPCにグラム染色アトラスがはいったのもこのころです。私は、感染性心内膜炎の経験がある程度ありますが、多くは培養結果で治療を考えていました。血培のグラム染色があると知ったのもずっと後のことでした。心内膜炎は、感染症治療とともに重要なのは手術適応とタイミングです。いろいろなところで私は話していますが、診断と同時に外科と情報を共有することが大切です。いつでも送ってきていいよと本心から思っている外科医はそうはいないと思います。ちなみに血培2セットの抵抗は循環器医にはあまりないと思います。心内膜炎疑いの時は、もっととっていましたから。コンタミの怖さはある程度分かると思います(私の医局だけかもしれませんが)。

感染症医にとってグラム染色は必須のものと思いますが、循環器内科医にとって心電図は重要なものです。しかし、心電図を見ないで洞調律、ST低下、期外収縮といわれてもピンときません。最近は全自動で所見が印刷され便利になりましたが、どうしても本物をみないと診断は難しいものです。
言葉だけで正常とか言われると某日のドクターGのようになるかもしれません。同じように外注で染色結果の紙切れをみても、GPC2+、GNR1+,GPR1+なんて書いてあっては、役に立ちません。診療所では、エコーも胃透視も尿沈渣も自分で見て所見をとるわけです。グラム染色もその一環であり、特別な気概は不要だと思います。見えたものの菌名までは到達しないことも多いと思いますが、少なくとも染色によって細菌がいるかどうかと4分画の内どれかがわかります。これに自分のところのアンチバイオグラムがあれば、広域抗菌薬を必ずしも第一選択にせずとも済むと思います。

診療所あるいは細菌検査室のない病院でのグラム染色の開始は、検体の取り扱いと廃棄物の問題があり、一概に何処でもというわけではないと思います。今回、染色にあたっては、多くの書籍やネットでの情報を得て行ったわけですが、昔を思い出してやったわりには、結構うまく染色ができたので、テンションが上がってしまいました。お恥ずかしい限りです。スタッフにもこうして診断ができるといいねといいながら見せていました。開業医で染色をされている先生は多くいらっしゃいます。ただ大事なのはそれをどう抗菌剤の選択に生かすかだと思います。結局すべてNQでは寂しい感じがします。私は感染症医ではありませんし、今の研修医の先生方のようにきちんとした勉強もしていないので、偉そうなことは言えません。でもこんな経緯でまた始めた次第です。

写真は100円ショップで買ったタイマーや楊枝、受け皿など。700円分と家のこわれたドライヤーです。流しは結構汚れるので、レンジパネルを張ってすることにしました。排液は一応一般排水とは違いますが、追求しないでください。

(写真:編集長と本康先生。カメラマン:中山博敬氏)



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「先に抗体検査」でいいのか

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感染症の施策を決める時に専門家に相談をしているのかどうか、
その地域に専門家がいてちゃんと行政とつながっているのかわかりませんが、
でてきた「ごちそう」やそのタイミングをみて判断されてしまうのは事実。


風疹もそうですが、ある感染症が流行をしているときに、早く対処をしないと2次、3次、4次感染と感染のネットワークが拡大していくわけです。

専門用語(英語)では「地域でウイルスが循環している」といいます。
ウイルスのサーキュレーションです。

拡散してしまうと、そのフォローのために必要な労力も大きなものになっていきます。

あるレベルを超えるとそんな簡単には止められなくなる。それが感染症。

だから麻疹などは「1人でたらすぐ対処」として大騒ぎするのですが。

(まあ、借金だってすぐ返せば利息は小さいですが、長期に放置したら返すの大変!なじたいになりますし、肥満だって。。。以下略)

風疹は放置して感染させてしまっていい、、というウイルスではありません。
「いや〜増えているね!」と眺めっぱなしでいいウイルスではありません。

対策もあります。

なぜかよくわかりませんが、抗体検査を先にしろという人たちがいるみたいですね。
素人がそんなこといったら?ですが、専門家がいうからには根拠と責任のロジを考えているのでしょう。

「先に検査→接種するかどうかきめる」が妥当なのは、周囲で流行がみられていない「平時」のときの対応です。

周囲で大流行をしていて(アウトブレイク時)、接種が遅れたら発症してしまうかもしれないときに、まず先に検査しましょ!というのは間違っています。

なので、その判断の最初にあるのは「うちはいたって平和。波も穏やか」という
Evidenceや周辺状況をふまえたリスクアセスメントが終わっていることが重要です。

この判断の責任者はだれか?であります。まさか事務方ではないでしょう。
医療関係の、感染症の訓練を受けた専門家のはずです。
責任を引き受ける人ですから。


地域の感染症発生動向の数字に責任を負っているのは地方感染症情報センターです。
どこが看板をかかげているかは自治体によります。

臨床医がFAXで保健所に発生届を提出
   ↓
保健所の担当者がNESIDに入力
   ↓
自治体の担当者が情報を確認(不明な点があったらこの時点で医療機関に確認)
    ※自治体によってはWeb速報として時差のない形で週報として公表
   ↓
感染研と厚労省結核感染症課が集約してIDWRで公表
   ↓
医療関係者やほかのひとが(時差のある、少し前の)感染症の状況を知る

です。見ている数字のタイムラグを知っておくことは非常に重要です。

SARSで学んだ台湾や中国が、電子カルテからリアルタイムでアウトブレイク情報を行政や中央政府が把握できるようなシステムに変えたときに、大きく差をつけられてしまいましたが、私たちが仕事をしている国は、このような情報システムであると知っておくことは大切です。

ぜひ一度、地元の「感染症情報センター」が出している(はずの)週報を読んでみてください。

読みにくい、情報が足りない、こういった情報が必要だという声をぜひ届けてください。

担当者は臨床経験がある人ばかりではありませんし、「どのようにフィードバックをすればいいのか」という決まりもないので、かなりその質に差があります。
内容がプアでも、その時の担当者個人のせいではありません。
皆で地域の正確な情報をつくっていこう、という仕組みを提案していくことが大切です。

また、情報の精度の大もとは臨床医の報告ですので、「報告しないもん」「面倒だもん」と後ろ向きにならずに、フィードバックへの提言とともに、地道に報告をお願いします。

何が全数報告なのか、自分の病院は定点指定になっているのかなどは、5分くらいで学べることなので、一回も一覧表をみたことないなーという方はぜひ見渡してみてください。


さて。
流行していないところではおきないかもしれませんが、流行しているところでは検査をしたり結果を待っている(外注だと数日かかりますよね)間に感染や発症のリスクがありますし、麻疹とちがって風疹はその効果を得るまでに2週間ほどかかりますから、「抗体検査を先に」と延期を遅らせた結果、発症してしまったときにおこりうる身体的および社会的リスク(デメリット)についての了解を得る必要があります。

万が一(ってワクチンでの副反応の100万分の1よりは確率的に高い流行地域がありますよ)
感染→奥さんや職場の女性に曝露させて問題化した、というような場合に生じる様々な問題についてその責任を問う・場合によっては賠償問題になるときに、「誰が」その責任を負うかを伝えておく必要があります。

「あんたが先に検査しろっていったんじゃないか!」といわれかねません。
(ちがうちがう。市だよ)


抗体検査を<誰に>すすめられて、
それは現在のアクションとして妥当であると<誰が>言っていて、そのメリットとデメリットの両方を説明して、患者さんが理解・同意したときに可能となります。

医療過誤事件 事例005
福岡高裁/麻疹後急性心筋炎死亡事故判決の意義(メモ)


この判例からの学びとして、コミュニケーションのなかで、

感染することや合併症に関する予見可能性の存在
適切な説明により合併症の重篤化という結果を回避する可能性の存在

などを伝えて、理解していただいて、同意をいただくということであります。


(この事例は多くの医療者が衝撃をうけたものでありました)
十分な説明とは何か?

はしか感染死訴訟

小児科医が逃げるはずだ


採血にきて、ワクチンにきて、、と2回受診する手間はご本人たちの負担でありますが、都心部のように医療機関アクセスがよいところだとしても、待合室での感染リスクなどもある地域では曝露機会を増やすことになります。

また、採血は試薬不足問題がおきたりしていますので、検査を一律化して大丈夫なのかという問題は確認済みなのかきいてみたいところであります。

行政はワクチン代と検査代を比較したのかもしれませんが、医療者の手間暇という間接経費はどうみているのでしょうね。

採血は簡単なことだと考えている人がいたらそれも怖いです。
ワクチンで皮下注射や筋肉注射をするのと、静脈からの採血と技術的にはどちらがシンプルで事故がないと思いますか?
日常行われている採血は必要があって、その先の利益が多いことで容認される医療行為ですが、今回のような風疹対策の一環として妥当なのかどうかは地域やその人個人の状況に依存してくるように思います。

医療安全推進者ネットワーク資料:
No.158「健康診断の採血時に患者の神経が損傷され、RSD又はカウザルギーが発症。患者の損害賠償請求を棄却した一審判決を破棄して、請求を認めた高裁判決」
仙台高裁秋田支部平成18年5月31日判決 判例タイムズ1260号309頁



少なくとも、ご本人がさっさとワクチン接種したいんですけど?
何回も病院に来るのたいへんなんですよ、という状況の中で、医療者サイドから、杓子定規にまず検査なんですよ、、、とはいえないということです。

抗体検査しないとワクチン代が無料にならないというような事務的な問題についてのクレームまで病院が受けたらたいへんですので、ぜひ自治体には「風疹対策ホットライン」などを設置していただき(新型インフルエンザのときのような)、接種希望者への一元的な相談対応をしていただければと思います。

ワクチン接種・公費補助のロジを複雑にしている自治体の皆様よろしくお願いします。



日本にいく2週間前にはMMRワクチンを(または免疫確認)

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日本の風疹要注意!を一番最初に出していたのは香港だったとおもいます。2012年。


一番新しいところでは、WHOの北米中南米地域PAHO。

7月1日 PAHO Epidemiological Alert: International travelers―Risk of measles or rubella infection 1 July 2013


"Travelers over 6 months old who are unable to present the documents indicated should be advised by Member States to obtain vaccination for measles and rubella or preferably the MMR (measles, mumps, and rubella) vaccine. Ideally, the vaccine should be administered at least two weeks before departure."

2週間たたないと効果がないので、抗体検査で1週間おくらせて、ワクチン接種から2週間、、、の3週間は流行エリアでは大変なリスクですね(平時状態の地域とは違う怖さがあります)


その少し前にECDCが感染研のグラフまでひっぱって注意喚起。
健康百科 欧州衛生当局も日本への渡航注意情報「風疹予防接種歴の確認を」(7月2日)


米国CDCがしびれをきらしてついにアラートをだし
風疹流行の日本への渡航、米が注意情報(6月20日)


その前には、2007年に麻疹をもちこまれて大激怒していたカナダがアラート

カナダ公衆衛生局が「日本の風疹大流行」で渡航注意情報(5月29日)


国内の風疹第一号が日本から帰ってきたですよー、の台湾。

日本帰りの風疹症例 台湾(4月9日)


夏休みで帰省したり親類を訪問したり観光したりとまた人が移動する季節です。
ウイルスが拡散したり、妊婦や赤ちゃんに影響をしないよう、皆で守ってまいりましょう。

京都→名古屋→信州

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今日はこれから京都府立の藤田先生と一緒にKIDSです。

そして、明日は名古屋の掖済会病院。

名古屋からびゅーんと信州にでかけて信州ICとなっています。

各地で皆様にお会いできるのを楽しみにしています。


感染症コンサルタントによるG染色

7/13 〜学会報告に向かない症例の検討〜HIV感染症のど真ん中を学ぶ

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編集長が沖縄県立中部病院で血液曝露事故でC型肝炎に感染し、ベッド上でうなっていたときに指導医の先生からもらったMMWRに掲載されていたのがHIV感染症。

ケンタッキーでは本当に空気感染しないのかな・・とドキドキしながら診察。

日本に警告のお知らせをしたら、「日本人は清潔好きだから感染しない」と専門家にいわれ、
国立国際医療センター(当時)でひとりぼっちではじめたHIV外来。

採血も青木、血液を運ぶのも青木。

病院のエレベーターに乗ったひとから「青木先生と私は同じエレベーターに乗って大丈夫でしょうか?」ともいわれ・・・。

そんな時代からみると、

最前線の若手のドクターたちが果敢に予防、治療、患者さんのQOL改善に取り組んでいる姿を頼もしく思います。
先生方を支援するために、今しばらく手伝う案件として残しているプロジェクトです。

関心ある先生、どうぞいらしてください。

すでに80名くらいうまっていますが、あと10名くらいは入れるみたいです。(定員になったら受付終了)

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第2回AIDS/HIV Green Onion(AGO)

〜学会報告に向かない症例の検討〜

日時: 2013年7月13日(土) 15:00 〜 18:25
会場: 丸ビルホール&コンファレンススクエア 7F 丸ビルホール
〒100-6307 東京都千代田区丸の内2-4-1丸ビル

このたび、HIV感染症の症例ならびに現場の問題を共有する場として、「第2回AIDS/HIV Green Onion〜学会報告に向かない症例の検討〜」を開催させていただく運びとなりました。
会名の”Green Onion”は、生では辛いし、炒めたら甘い、剥いたら涙もでる、そして、剥き続けても最後には、何も残らないこともあるたまねぎ(Green Onion)を、HIV感染症の難しい症例に重ね合わせ、命名致しました。万障お繰り合わせのうえ、積極的なご参加を賜りますようお願い申し上げます。

【プログラム】
15:00-15:05 本会の開催にあたり
堀 成美 (HCMI-J事務局)

15:05-15:10 開会の辞
青木 眞 医師 (感染症コンサルタント)

<特別講演> 15:10-16:10 (60分)
「HIV感染症とAging〜骨粗鬆症、腎機能、脂質代謝異常のマネジメント〜」
座 長:
山元 泰之 医師(東京医科大学病院 臨床検査医学科)

演 者:
塚田 訓久 医師(国立国際医療研究センター病院 エイズ治療・研究開発センター)

16:10-16:20 休憩

<症例呈示> 16:20-18:20 (120分)
「困難症例に対するアプローチ」
座 長・コメンテーター:
青木 眞 医師(感染症コンサルタント)
相野田 祐介  医師(東京女子医科大学病院 感染症科)

症例呈示:
村松 崇 医師(東京医科大学病院 臨床検査医学科)

18:20-18:25 閉会の辞 山元 泰之 先生(東京医科大学病院 臨床検査医学科)

【対象】臨床医・その他医療従事者(HIV診療の経験は不問) 定員 100名(先着順)
【参加費】無料
【申し込み方法】
下記の内容を本セミナー(AGO)登録事務局 0713ago@or.knt.co.jp へご連絡ください。
? 氏名 ?所属 ?e-mail ?TEL ?現在の立場:診療医・研修医(前期)・研修医(後期)・その他( ) ? ご施設宛書類(要・不要)
ご所属施設の規定を遵守した先生ご自身の旅費実費提供について、登録事務局よりご連絡申し上げます。
※ 個人情報は今回のセミナーに限定し、厳重に扱います
※ 会終了後に情報交換会の用意がございます

共 催
HIV Care Management Initiative-Japan (HCMI-J) / MSD株式会社
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風疹流行と対策の中長期シナリオ

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卸の人ならワクチン流通という各論の推計値が重要ですが、感染症対策の責任者やリーダーにとって今必要なのは、中長期のシナリオであります。

2012年の風疹増加の兆候のときのリスクアセスメント(があったかどうかしりませんが)のときには迅速な対策はとられませんでした。

明確なアクションを起こしたのは東京都。2013年3月14日です。
ついで神奈川県や世田谷区では、行政の長がリーダーとして会見で風疹流行とその危機について触れ、関係者への呼びかけを行いました。
半信半疑だった各自治体が、助成などに動いたのは、大流行地域ならば背に腹は代えられずでしょうし、(すごく日本的ですが)助成がマジョリティになったときに「どうしてうちの市だけやらないんだよ!」という声に押されて、あるいは孤高の勇気(誤解)や根拠でやらないという選択もなく、東京都はみな助成となりました。

まあ。島でも報告されてしまいましたし(持ち込みですよ)。大火事のなか、ちょろりん消防車での水かけはじまったのでした。

しかし、このような流行が起きたときにどうすればいいかということは教科書的にはすごくシンプルで、感受性者の集団に対して臨時で短期間の集中的なキャッチアップを行うことであるので、それをあえてとらないとなると、科学的にも裁判的にも説明責任を求められるわけです。

ここで重要なことは、新型インフルエンザのときにそうであったように、国内の各自治体で状況が違うことです。
最後まで「報告ありません・・・・平和です」といっていた山形県と、阿鼻叫喚の図もみた兵庫県では、「自治体として」「リーダーとして」やることの順位や量も異なっていました。


1つのシナリオではやれない。地域事情にもとづかないとまずい。修正も必要だ。
そう思った現場のひとたちが自主判断をはじめてから現場の負担は少し減りました。


その意味で、先に抗体検査をしてゆっくり接種にのぞみましょう、といえる自治体と、そんなこといっているうちに発症→職場全滅みたいになる地域では、リーダーのやることがちがいます。

「地域の感染症発生動向調査に留意をして自治として取り組むべし、必要な費用は国が支援する」というのが筋です。


東京都のお役所の人が、厚労省の「お願い」を、「命令」だと誤解して(そもそも厚労省は協力の依頼をできても、指示や命令はできないんですよ)、検査を先にと口走ったりして各地でもめていますが、本来この話は「自治」ですから(厚労省がそういっています)、思考停止にならずに自分で考えないといけないんですよ。でないと、住民は守れません。

このような中でアイデアとしてエイズ検査のように夜間や土日に迅速風疹検査を無料でやったらたいしたものです。
抗体検査の負担を住民や医療機関におわせないでください。
採血して外部業者や衛研にだすくらいなら保健所でいいとおもいます。エイズ検査は今それほど数ないですから、臨時でスライドしたらどうでしょうね。

もっとも、衛研からは「そんなこと書くなよ、迷惑だよ」といわれてしまうかもしれません。
いまは本物の風疹がたくさんきていて検査依頼も増えていますので。


本題にもどりますと、中長期シナリオというのは、ワクチンの在庫の試算を机上でして「足りる」「足りない」「やっぱりあまった」「でも接種率高まっていない」というようなことを妄想するのではなく、

疫学データをていねいにみて、この先どうなるのか。ある指標をみながら、シナリオに応じて対策を準備してきりかえていくことだとおもいます。

まだ終息の気配がないところでいうのもなんですが、今回の流行は「終わり方」がたいへんクリティカルになります。

まず、7月4日の参院選告示や熱中症キャンペーンへの切り替えにともない、風疹の報道は減っていきます。

増えている(知っている)、ワクチン足りない(そうらしいね)、女性や赤ちゃんが危険な目にあっている(日本では平時から関心低いネタ。さらにがんばって産めばバッシング、産まなくても非難)。

で?何か新しことは?ぼくたち新しいネタないと記事かけませんよ?的なかんじになっていくと、地味な感染症対策への関心は落ちます。

ワクチン接種も広まっていますので、流行のスピード抑制にも貢献していますが、病気が減ってくれば「もうだいじょうぶ」と誤解する人も増えます。

成人の流行がこれだけ広がり、感受性者のケアもしないままうやむやになると、だらだら流行が続きリスクにさらされる女性や赤ちゃんは減りません。また数年後同じようなことがおこることは教科書的には基本的な事項です。

2004年の教訓を医療者や政策担当者は生かせませんでした。
2013年の学びをどうすればいいか。

対策チーム中で終息に向けてのロジをたてるひと、そして、今年度後半にたくさんうまれるであろう、風疹ウイルスの影響を受けた赤ちゃんたちを早期に必要なケアにつなげていくためのロジを、ワクチンがたりない!という中で取り組まないといけません。

誰かがやるだろう、では悲しむ人が増えます。
自分の専門領域でできることは何かを考えてください。

地域のリーダーには、「おわらせかた」についての提案をしましょう。



余談ですが・・・いろいろな方がくださるアドバイスのなかで多くを占めるのは、これからどうすればいいかということではなく(そういった話は海外の専門家のメールの中に書いてある)、なぜ今うまくいっていないかの理解として、失敗解説を読んでみろということです。

日本には戦略とかロジがないんだよ。
失敗をみとめないから、後に引けないし変われないんだよ。

まあ、そこに答えはないのですが。
子どもたちのために提案をしなくてはいけないことは何かはわかります。

そうやって自国リーダーに殺されたのは若い人たちでしたね。

いま、この国では生まれてくる子どもの数も少ない国ですから、「今このひとりを救うのだ!」という気合と責任感で風疹対策にのぞみたいとおもいます。

救う方法があるのに、何もしない。思考停止は危機発生時の一番の失敗の原因。

国がやりましょうという前に、流行地は「風疹対策会議」をつくり、関係者で連携して危機を乗り越えるほうがいいですよ。
皆で困ってワクチン流通を混乱させて対策が破たんし、1期の赤ちゃんたちが麻疹になったりしたら目も当てられません。


参考までにご紹介いただいた本。

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)クリエーター情報なし中央公論社

「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマクリエーター情報なしダイヤモンド社

戦略の本質 戦史に学ぶ逆転のリーダーシップクリエーター情報なし日本経済新聞社

日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条 (角川oneテーマ21)クリエーター情報なし角川グループパブリッシング

危機の日本人 (角川oneテーマ21)クリエーター情報なし角川書店


#ストップ思考停止

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ネガティブさんの出すオーラはバイオハザードなみに危険です。
思考停止になった人に何かいってもだめかもしれないので、あてにすると一緒に2次災害にあう可能性もあるので常に戦略的思考で動く人たちと、救命ボートを探し、津波の来ない高台に守るべき弱いひとたちから逃し、次なる(もっとよい)手を待ちます。

余談ですが・・・歪みさんには特徴があり、

認知の歪み:モンキークリニック
白黒思考
マイナス化思考
べき思考
感情的推論
飛躍的推論
部分的焦点づけ
自己関連づけ
過度の一般化
過大評価・過小評価
レッテル貼り

の解説を読んでおくと、あら?なぜこの人はこんなこと口走っているのかしらあ?という理解に役立ちます。
かわいい漫画キャラクターが登場しており、学生に紹介すると(難しいことがやさしく書いてあるので)感謝されます。


歪んじゃうひとがいるいっぽう、前向きな提案や戦略を考えることができる人もいます。

既存の概念とか自己の縛りから自由なリーダーたちです。

その代表格はもちろん岩田先生。

6月13日のブログ記事 「(今なら)MRワクチンは1回だけでよい」

現在、定期接種の1期は1歳、2期は小学校に入る前、です。ですが、他の国(流行していない国)では、2期が「9歳」というところもあります。
もともとなぜこの狭い1年間だけ無料で、それを1日でもこえると有料になって「受けなくていいよ」と思われるような対応なのかはよく知りませんが、「キャッチアップ」という概念や仕組みを導入すれば、まずいまは1歳の接種分のワクチンを守り、2期分は臨時で数年ずらしてもよいことにすればワクチンは足りるのではないか?です。

フィージビリティで考えたときに、多少麻疹は流行するかもしれないが、MMRワクチンを輸入するのやだから、こっちにする!という人もいるかもしれません。


お金が厳しいよう・・・・という人には「休まれたり女性社員や顧客にうつしたり(されたり)したら会社も不利益」と素早く判断して社員の接種費用を補助するリーダー

ヤフー、サイバーエージェント、サクラグローバルホールディング、テルモ、東横インなどなど(中小企業も多数)

こんど、京都の医療機器系の会社「三笑堂」も社員のワクチン費用補助をするそうです。


行く暇がないよう・・・・という人には、巡回診療でやりましょう、と支援する久住先生・ナビタスクリニックような活動もあり、日曜日や夜に臨時でワクチン外来をする医師あり。

富田林医師会の日曜、夜22時までのワクチン外来(しかも無料)

ライフスタイル:風疹、集団接種でストップ!(サイバーエージェントの集団接種



ワクチンがないよう・・・・と困っている人には、確保の努力をする人たちあり。


MMRワクチンは数年前からトラベルクリニックなどで使用されていて、今回の緊急事態ではじめて日本で使われているわけではないことは少し調べるとわかるのですが、、、、

現在はメディアの関心も高まっています。

すでにMMR/MMRVワクチンを輸入する医療者のネットワークもたちあがっており、クローズドのMLでの情報交換もその安全や質のために役立っています。中心となっているのは家庭医の先生方です。

Facebook MMR, MMRV で風疹を封じ込めて子供を守ろう

ホームページ 輸入MMR/MMRVワクチンで風疹・CRSの排除を!

読売新聞の今朝の記事 「風疹未承認ワクチン助成、県が検討」

読売早い・・というか、動きが早いリーダーはやはり神奈川。

オリンピックを誘致したいとか、うちはInternational!というところの首長や責任者も国際基準で現実検討をしてください。

ざっくり安全なんですかあ?とか聞いてくる人もいますが、医者なんだから自分でデータを読んでくださいよ(日本より分母が大きいですよ)、違法でもなんでもない、医療の範囲で行われていることを(しかもほかにいいアイデアがないときに)どう否定するのかよくわかりません。

めざすのはグローバルとかオリンピックなんだけど、子どもや女性は鎖国っぽさがただよう2013年夏。
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